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肝斑を薄くするレーザートーニングの効果や注意点について

シミ取り・肝斑・毛穴治療 (レーザートーニング)

解説 口コミ広場編集部
監修 中村寿 医師

公開日:2019/01/16


年齢を重ねてくると多くの人で共通する肌トラブルのひとつがシミです。そんなシミにはいくつもの種類があり、それぞれで予防法や治療法が異なることをご存知でしょうか。

とくに老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)と肝斑(かんぱん)のふたつは、見た目は同じようなシミに見えても、実はまったく異なるタイプのシミです。そのため、日頃のスキンケアや治療法は正しい知識を持って慎重に見極めなければなりません。

そこで今回は30歳を超えたあたりから目立ち始めるとされる女性特有のシミである「肝斑」に焦点を当てて、効果的な治療法のひとつとして注目されている「レーザートーニング」について効果や注意点、クリニックの選び方などを交えて詳しく解説します。

監修 中村寿

THE CLINIC NAGOYA 【ザ・クリニック名古屋】 院長(医学博士)

1998年 3月 久留米大学医学部卒業
1998年 4月 同大学外科学教室入局【救急医療、麻酔科を研修した後、呼吸器・乳腺外科の臨床、研究を行う】
2005年 3月 医学博士(医博甲第969号)取得
2005年 4月 東京都内美容外科クリニック(美容外科・形成外科・美容皮膚科)勤務
 10,000症例を超える豊富な施術・執刀経験と治療実績
2007年12月 ザ・クリニック名古屋を開院
2011年 4月 医療法人ジュエリメディカル設立

肝斑の特徴と原因

肝斑とは30歳代から40歳代の女性に多く見られるシミのひとつです。両頬骨の周辺に左右対称に薄い茶色もしくは茶色の小さな斑点が現れることが特徴です。なかには鼻の下や額の中心に出来る人もいますが、その大半は老人性色素斑と混ざるようにして表面化します。


肝斑が出来る原因はこれまでに解明されていませんが、肝斑の特徴が女性特有のものであることや、生理周期に合わせて濃淡が変化すること、妊娠や出産を機に表面化したことなどから女性ホルモンとの関係が強い症状と考えられています。また、経口避妊薬(ピル)の服用や、更年期に合わせて発症したり濃淡が変わることも確認されています。

一方で、閉経を迎えた女性では肝斑が薄くなっていったり、消えたりする事も確認されています。


肝斑と他の「シミ」の違い

肝斑はホルモンバランスの影響によって発生するという特徴は違うものの、色など見た目としてはシミの大半を占めるとされる老人性色素斑(日光性色素斑)や雀卵斑(そばかす)などの症状に似ています。

老人性色素斑は主に紫外線や刺激を受けてメラニンが過剰に生成され色素沈着を引き起こすことでシミになるもので、雀卵斑は遺伝による先天性のものにはなりますが、やはり着色の原因としてはメラニンの色素沈着によるものなので基本的には同じ症状です。


原因は違うといっても、全て「メラニン」による着色という点では変わらないため、以前はこれらの異なる性質のシミと肝斑をまとめてケアする方法として、ビタミンCやトラネキサム酸が含まれている美白化粧品や、医療機関で処方されるハイドロキノンやトレチノインなどの医薬品が用いられることが主流でした。

しかし一方で、肝斑は明確な原因が特定できていないため、これらの方法で完治させることは難しく、またハイドロキノンなどの刺激は場合によっては肝斑を悪化させる可能性もあるため、扱いが難しいとされてきました。


肝斑の治療は「飲み薬」で発生を抑えるものが中心

そんな肝斑も、近年では「トラネキサム酸」という成分の薬を服用する事で、症状が抑えられるという事が分かってきたため、皮膚科における肝斑治療が非常に行いやすくなりました。

なぜトラネキサム酸が肝斑の症状を抑えるかについては明確な理由が判明はしていないのですが、メラニンを作る成分の働きを抑える作用などが影響していると考えられており、トラネキサム酸を約8週間服用して新しい肝斑が作られるのを防ぎ続ける事で、肝斑の無いキレイな肌を手に入れる事ができます。


ただし、この薬による治療は今ある肝斑を解消するものではない為、効果が中々見えにくく、すぐに肝斑を解消したいという点には向いていません。

そこで、すでにできている肝斑を治療するために主流になりつつあるのがレーザートーニングと呼ばれる光治療(レーザー治療)です。


肝斑に効果的なレーザートーニングとは

肝斑に効果的とされるレーザートーニングとは、従来のレーザー光とは異なる方法で光を照射することで肝斑によるシミを薄くして、最終的に消してしまう新しい技術です。


これまで肝斑にはレーザー光を使った治療は適していないとされていました。

その理由は、レーザー光は光が当たる中心部分だけが強くなり、中心部から周辺にかけては光が弱まるという特性があるため、言い換えれば、ムラができやすい光の特性を持っているという点にあります。

濃く一点だけにできるようなシミの場合は強いエネルギーを当てて破壊しやすいのですが、小さなシミが無数に広がるような肝斑の場合、このようなレーザー光の特性はエネルギーが強くあたる場所と弱く当たる場所で効果の違いが生じ、かえって症状(炎症によるムラの拡大)を悪化させるため不向きとされていたのです。


そこで開発されたのがレーザートーニングという手法。

従来のレーザーとは異なり、ムラなく均一に光を照射できる特性があり、肝斑のように小さく広範囲に広がるシミにも有効とされています。また、レーザートーニングで使用される光は微弱なエネルギーのため、肌への刺激が少なくメイクや洗顔、ダウンタイムなど日常生活に影響が少ないことも特徴です。


現在では美容クリニックごとに様々なレーザートーニングの機材が使用されており、基本的な構造こそ同じですが、波長やパルス幅を始めコストなどの違いがあります。


レーザートーニングの注意点や副作用

レーザートーニングによる肝斑の治療を受ける際に、あらかじめ知っておくべき注意点や副作用などがあります。


レーザートーニングの注意点


レーザートーニングは複数回治療が主流

レーザートーニングによる肝斑治療は基本的に一度だけでは終わりません。

多くのクリニックでは5回から10回程度の複数回治療が主流です。この理由はレーザートーニングに使われる光が非常に微弱であるためで、表面側から徐々にシミを除去していく方法であるため、肝斑を完全に除去するためには複数回の治療が必要になります。

クリニックや使用機材にもよりますが、1-2週間に1度の通院を数ヶ月繰り返すことが一般的で、レーザートーニング治療は肝斑のシミを時間をかけて徐々に消していくイメージです。

ただ、一回の治療で効果が無いというわけではなく、表面側にある肝斑は除去できるため、色が薄くなり透明感はアップします。

あくまでもレーザートーニングでキレイに肝斑を消していく場合、このくらいの回数が必要となってくるものとなります。


紫外線対策はより入念に

レーザートーニング治療期間中は患部を中心にして普段よりも刺激に弱い状態が続きます。とくに紫外線と摩擦による刺激には細心の注意を払いましょう。

これを怠ると、肝斑の症状が悪化したり、老人性色素斑などの症状が出やすくなる可能性があります。


レーザートーニングは保険適応外の治療

レーザートーニングは美容目的の医療に該当するため健康保険の適応外です。そのため、治療を受けるための金額はクリニックによってバラバラで、高額のクリニックも存在します。

「安いところが悪い」「高いところが良い」というものではありませんので、肝斑治療の実績などが多く、満足度が高いクリニックを選ぶようにすると良いでしょう。


また、多くのクリニックでは複数回治療を前提として、5回パックや10回パックなどセット料金が用意されているため、複数回のプランを利用することでコストを抑えられます。


レーザートーニングの副作用


炎症の可能性

レーザートーニングで使用される光は微弱な光ではあるものの、治療後に赤みや弱い刺激が続くことがあります。多くのクリニックでは治療後にクーリングを行うため帰宅時までには解消されますが、敏感肌の人や体調によっては一時期な炎症が起こることもあります。

炎症が酷い場合は他のトラブルに繋がる可能性もありますので、早めに医師に相談して適切なケアをするようにしましょう。


治療後の肌の変化

レーザートーニングの治療後は一時的に肌のコンディションが変化することがあります。とくに刺激に敏感になり乾燥しやすくなることや、普段以上に日焼けをしやすくなります。これらは紫外線対策や保湿ケアで予防可能です。


このようにレーザートーニングにはコストや時間などの注意点に加えて、肌がダメージを受けやすいという側面があることを理解しておくようにしてください。


レーザートーニングのクリニック選びから治療までの流れ

肝斑に有効な治療法であるレーザートーニングですが、全国の美容クリニックや医療機関などで様々なプランが設定されています。ここでは受診するクリニックの選び方や、治療時の基本的な流れについて解説します。


クリニックの選び方

レーザートーニングを受ける際に重要になるのがクリニック選びですが、ひとつの基準として「様々な種類のシミ治療に対応しているかどうか」ということがあります。別の言い方をするならば「機材が豊富または多機能か」ということになります。


肝斑は老人性色素斑や雀卵斑(そばかす)などに混ざるようにして表面化するため、クリニックがこれらにも対応する機材を持ち合わせているかを確認する必要があります。


一般的に老人性色素斑や雀卵斑によるシミは出力が強く集中的な光を使用するのに対して、肝斑には弱く均一な光が用いられます。そのため、肝斑だけでなく老人性色素斑や雀卵斑の治療にも適応した機材を持っているかはクリニック選びの重要な要素です。

これは単純にどのシミでも対応が可能かどうかというだけではなく、複数のシミに対する治療知識を持っている事が、肝斑などを正確に見極めるために重要であるという事もその理由です。

簡単そうに思えるシミの治療ではありますが、シミを見極める力や最適な治療法の実施ができるかなど、医師の知識による違いは大きいので、医師、医院選びは慎重に行うようにしましょう。


この他に、コストを抑えられるような「治療5回分セット価格」や、一定の効果が見られない場合の再治療や返金保障、治療によるトラブルへの対応なども事前に確認するといいでしょう。


レーザートーニング治療の施術の流れ

いざレーザートーニング治療を受ける際は以下のような流れが一般的で、1回の治療は施術後のクーリングも含めておおよそ30分程度とされています。


1.洗顔

医師やカウンセラーに肌の状態を見てもらうためにメイクを落として、素肌の状態にします。患部周辺に産毛がある場合は剃毛を奨められる場合があります。


2.診察およびカウンセリング

医師およびカウンセラーとシミの状態や肌の状態を入念にチェックし、レーザートーニングへの適性を判断してもらいます。自身の肌の特徴やこれまでの肌トラブル、治療の影響などこの時点でしっかり確認してください。


3. 照射

光から目を守る保護眼鏡を着用し、両頬で10-15分程度照射をします。輪ゴムで弾かれるような軽い痛みがありますが、必要に応じて麻酔クリームを塗布するクリニックもあります。


4. クーリング(アイシング)

治療後は肌が熱を持った状態になるため、冷却パックを顔に乗せて10分程度冷やします。この時点で赤みや火照りは消えることがほとんどです。


5. メイクまたは紫外線対策

必要に応じてメイクをやり直すことが可能です。メイクが不要な方でも紫外線対策だけはしましょう。


レーザートーニング治療の行程で最も大切なのは「診察およびカウンセリング」です。安全性が高い治療法ですので過度な心配は不要ですが、納得できるまで話しをして治療に挑むようにしてください。


まとめ

レーザートーニングは肝斑に有効で安全性が高い治療法のひとつです。コストや治療期間の課題はあるものの、現段階では肝斑に最も効果的な治療法と考えられています。

ぜひ、事前に正しい知識を身につけて治療の際の基準にしてください。

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