ニキビにも種類がある。それぞれの特徴とケア方法
ニキビ・ニキビ跡の治療 (その他(ニキビ治療))
公開日:2019/01/16
また、ニキビにもいろいろな種類があることをご存知ですか?ニキビの種類によって、予防法も対処法も、まったく異なるのです。間違ったケア方法で頑張っても、ニキビは改善しません。正しい知識を身につけ、適切なケアをすることで、辛いニキビとさよならをしましょう。
監修 中村寿
THE CLINIC NAGOYA 【ザ・クリニック名古屋】 院長(医学博士)
1998年 4月 同大学外科学教室入局【救急医療、麻酔科を研修した後、呼吸器・乳腺外科の臨床、研究を行う】
2005年 3月 医学博士(医博甲第969号)取得
2005年 4月 東京都内美容外科クリニック(美容外科・形成外科・美容皮膚科)勤務
10,000症例を超える豊富な施術・執刀経験と治療実績
2007年12月 ザ・クリニック名古屋を開院
2011年 4月 医療法人ジュエリメディカル設立
こんなにある!ニキビの種類と特徴とは
まずは、ニキビの種類とその特徴を知ることが大切です。ニキビの原因や特徴から、今あなたを悩ませているニキビがどの種類なのかを把握してくださいね。正確な知識は、ニキビ撃退の第一歩なのです。
1.白ニキビ
額や顎にできやすいのが、白ニキビです。これはまだ炎症に至っていないニキビの初期で、正しいケアをすることでこれ以上の悪化を防ぐことができます。逆に、この状態のうちにケアをしておかなければ、痛くなったり痕が残ったり、どんどん悪いニキビへと進化してしまうので、気をつけましょう。
白ニキビの原因は、皮脂や肌の老廃物が毛穴につまることによって起こります。肌の油分が過多だったり、乾燥肌のため皮脂分泌が多すぎたりする方に起こりがちなニキビです。また皮脂が原因のため、顔以外の場所にもできることもあります。
詰まった皮脂や老廃物などの事を角栓(コメド)と呼ぶ事もあります。
医学的にはニキビ=尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)や吹き出物の扱いになりますが、白ニキビは肌に炎症が起こっていないため、細かく言えばニキビの前段階。
炎症を起こしていない状態のため、治療は角栓を除去する方法のみとなります。
2.黒ニキビ
皮脂や汚れなどが毛穴をふさいでしまって、毛穴の中に角栓が詰まった状態が白ニキビですが、それを放置することで皮脂や角栓が酸化して黒くなったものが黒ニキビです。これも白ニキビと同様、比較的初期のものではありますが、油断はできません。
とはいえ、ときどき黒ニキビの芯が気になって爪などで無理に押して取り除こうとする方がいますが、これは絶対にやってはいけないことです。反対に悪化してしまうのでやめましょう。
黒ニキビの原因は、やはり皮脂です。きちんと肌のケアができていないと、皮脂が過剰分泌されてしまい、ニキビの原因になります。また、睡眠不足やストレスでホルモンバランスが崩れると、ニキビができやすくなることも知っておきましょう。
黒ニキビもやはり炎症までは発展していない状態のため、角栓の除去が解消法となります。
3.赤ニキビ
白ニキビや黒ニキビをケアしないままでいると、徐々に毛穴内部の皮脂や角栓量は増加していきます。この状態は、肌にいるアクネ菌などの菌が増殖するのに適した状態で、皮脂や角栓を栄養分にして、菌が増殖していきます。
アクネ菌は皮脂を食べて「脂肪酸」という酸性の物質を作り出す働きを持っている菌。健康な肌であれば、この脂肪酸によって肌が弱酸性に保たれ、雑菌の増殖を防ぐというバリア機能を発揮します。
しかし、この脂肪酸も量が多ければ肌にとっては強すぎる刺激となり、肌の細胞を破壊していく事に。
毛穴内部でのアクネ菌の増殖と共に大量に作られた脂肪酸は、毛穴の中から細胞を破壊していき、炎症をひき起こします。その結果として、触ると痛い状態にまで赤く腫れた状態が、赤ニキビです。
赤ニキビにまでなってしまうと、肌の細胞が炎症によって破壊されているため、治ってからも痕になる可能性がでてきます。
炎症状態の肌は、摩擦刺激などによってもダメージが広がってしまいやすいため、気になるかもしれませんが、頻繁に触ったり、潰したりしないように注意が必要です。
白ニキビや黒ニキビが炎症を起こすと赤ニキビになるので、初期段階でニキビができてしまわないようにすることが重要です。その上で、もしできてしまったら、正しいケアをしてスムーズに治すのがベストです。
赤ニキビ以降のニキビについては、肌の炎症を抑えるような軟膏などが有効となります。
また、白ニキビや黒ニキビが赤ニキビにならないようにするためには、菌の増殖を抑えるような軟膏などを早めに利用する事も有効です。
4.黃ニキビ
黃ニキビはかなり重症なニキビの種類に含まれます。
赤ニキビの炎症がさらに進み、酸によって溶かされた細胞や、白血球によって退治された菌が黄色い膿となって蓄積された状態が、黃ニキビと呼ばれます。
こうなる前に対処するのが一番なのですが、既に黃ニキビまでなってしまっている場合は、他のニキビよりも意識をして治しましょう。
黃ニキビは、赤ニキビ以上に痕になる可能性が高くなります。膿を指で押し出したくなるかもしれませんが、やめてくださいね。肌の回復力を高めてあげるケアが重要です。
また、黄ニキビは毛穴の中心が膿によって白~黄色でぶっくりと膨らむため、ぱっと見で白ニキビと判断して角栓を除去しようとする人が多くいます。
白ニキビと黄ニキビは見た目上似ている面もありますが、赤みが出ているようであればそれは炎症を引き起こしている黄ニキビですので、無理につぶしたりしないように気を付けましょう。
5.紫ニキビ
これまでにご紹介したニキビに比べて、最も重症なのが紫ニキビと呼ばれるニキビです。これは、ニキビの炎症がより肌の深くにまで進行する事で、皮膚の奥深くにある毛細血管を傷つけて内出血を引き起こし、膿と血液が混ざり合って溜まる事で、しこりのようになっている状態です。
「結節性ニキビ」「嚢腫(のうしゅ)」とも呼ばれます。
炎症が毛穴の周辺にまで及んでいるため、痕に残る可能性も非常に高い状態です。
紫ニキビの状態まで及んでしまった場合は、なるべく早く治すというだけではなく、跡に残らないように適切なケアを心がける事が大切になります。
ニキビの正しいケア方法と予防対策とは?
自分のニキビの種類を知ったら、次に正しいケア方法を知る必要がありますよね。潰したり、洗顔時に無理やりごしごしこすったり、間違ったケア方法とは今日でさよならしましょう! 以下に、適切なニキビケア方法をお知らせします。
1.初期段階ニキビのケア方法
まだ初期である白ニキビは、比較的すぐに治すことができます。悪化する前に治し、炎症を食い止めましょう。そのためには、まずは肌を清潔にしておくことが大切です。泡立てネットなどで作ったたっぷりの泡で、優しく洗顔しましょう。人肌くらいの温度のお湯で洗い流すのもコツです。他にも、栄養バランスの取れた食事と規則正しい生活を心がけることで、白ニキビは徐々に改善していくでしょう。
黒ニキビも初期ですが、酸化している分、白ニキビよりも固くなってしまっています。洗顔前に、半身浴や蒸しタオルで毛穴を開いてあげましょう。そして、白ニキビと同じように優しく洗顔をしてください。また、黒ニキビには、抗酸化作用のあるビタミンCを食事に取り入れるのもおすすめです。
ニキビの原因には角質が乾燥などによって荒れる事も含まれますので、日ごろの保湿ケアも大切です。
ただし、オイル成分が多い保湿は毛穴の詰まりを悪化させたり、肌が乾燥しやすくなる原因になる事もありますので、同じ油分でもセラミドのように角質層に浸透するようなタイプや、逆に完全に肌と混ざらないワセリンなどの保湿剤を使うと良いでしょう。
洗顔で中々解消できない場合は、皮膚科で角栓の除去施術を受ける事も有効です。
面皰圧出によるケアや、ケミカルピーリングなどの施術によって毛穴詰まりを解消し、白ニキビや黒ニキビをすばやく解消する事が可能です。
2.炎症を起こしたニキビのケア方法
炎症を起こした赤ニキビは、まず肌に刺激を与えないようにする必要があります。可能な限り、ファンデーションなどのメイクも控えるほうがいいですね。もちろんスキンケアも大切ですが、洗顔のしすぎは逆効果です。皮脂はニキビの原因ですが、肌にとっては、ある程度の皮脂は必要なことを覚えておきましょう。
赤ニキビよりも炎症が悪化した黃ニキビは、自分で無理にケアをしないほうが望ましいです。基本的になるべく刺激を与えないようにしておけば、自然と炎症は治まっていきますが、症状が長引く程痕に残る可能性も高くなるので、なるべく早い段階で、皮膚科に行きましょう。
皮膚科で行われるケアとしては、炎症状態を抑えるための内服薬・外用薬の処方の他、レーザー治療による炎症部分のケアや、肌のターンオーバーを促進する治療が複合的に行われます。
3.重症なニキビのケア方法
黄ニキビや紫ニキビのようにニキビが悪化していってしまうのは、体内の環境による問題も大きいといえます。
体内環境が整っていて健康な免疫作用が保たれていれば、炎症が起きても早期に収まって赤ニキビ程度で済む場合が多いからです。
体内環境を整えるためには健康的な食生活の他、半身浴や運動をして血行を良好に保つ事、そして十分な睡眠が基本となります。
免疫機能の低下は腸内環境にも影響するため、便秘解消など腸内環境を整えるケアも積極的に行いましょう。重度なニキビをケアし、作らないためには、食事や睡眠など日々の生活を改善する事も見直しましょう。
重度なニキビが繰り返してしまう場合は、ピルなどを利用した「ホルモン療法」によって、皮脂が分泌しやすいホルモンバランスの改善を図る治療や、皮脂の分泌を強制的にストップして皮脂腺の過剰な働きを正常に戻していく「イソトレチノイン療法」など、ニキビが出来やすい肌質を根本から治療する方法もあります。
4.ニキビ跡のケア方法
重度なニキビで炎症が真皮などに達してしまった場合、色素沈着によるシミやクレーターのようなニキビ跡が残ってしまう事があります。
ニキビ跡は肌の回復によって多少は落ち着きますが、真皮層での色素沈着や、肌細胞の瘢痕化という現象によるクレーターが自然と治る事はまずありません。
この場合は、レーザーによるメラニン色素の除去や、フラクショナルレーザーという手法によって肌に細かな穴を開けて再生させる治療など、医療的な対応を行う事で、ニキビ跡の無いキレイな肌を手に入れる事ができます。
思春期にニキビを繰り返して跡が残ってしまっている場合は、美容皮膚科での治療を検討してみてください。
ニキビを予防するには
無事にニキビを撃退したら、再発しないように予防が肝心です。また、現在ニキビがない方も、これから先ニキビで悩まないために予防をしましょう。
ニキビ予防に一番効果的なのは、やはり正しい洗顔です。白ニキビのケア方法でご紹介したように、優しくぬるま湯で洗顔します。そして、食事のバランスや睡眠、部屋の保湿など、日々の生活習慣に気を配ることでニキビは予防できます。特別なことをするというよりも、毎日がニキビ予防だと思って過ごしてくださいね。