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手術以外でワキガを治療する方法とは?その効果と特徴をまとめました

わきが手術・多汗症治療 (ミラドライ)

解説 口コミ広場編集部
監修 藤本卓也 医師

公開日:2019/04/25


ワキガを治療したいけど、手術はしたくないという人は多いと思います。
ワキガを解消するためには、汗腺を目視で除去していく手術が最も確実な方法ですし、保険適用で受ける事もできる唯一の手段にはなりますが、手術は数日間固定が必要なものや傷跡が残ってしまうものがあるので、そう簡単に踏み切れるものではないですよね。
それでも病院でワキガの治療を受けたいという人のために、今では手術をしなくてもにおいの改善ができる治療メニューを設けている病院も増えています。今回は、病院で主に行われている手術以外のワキガ治療について、その効果や特徴、メリット・デメリットなどを詳しくご説明します。

監修 藤本卓也

こまちクリニック 院長

大阪医科大学付属病院形成外科にて田嶋定夫教授の最後の門下生として研修医時代より頭蓋顎顔面領域の治療に従事する。
その後、大阪市立総合医療センター形成外科研究医、大阪市立大学形成外科研究医を経て大阪市立総合医療センター形成外科医長となる。
顔面の先天異常の手術を専門とし、頭蓋顎顔面外科学会ガイドライン作成にも委員としてたずさわる。
その後、日本美容医療協会所属クリニックにて年間500件を超える美容外科手術を経験し、 “こまちくりにっく”院長に就任する。
形成外科と美容外科の技術を融合し、美容外科の修正手術や顔面先天異常の成人手術など難易度の高い手術もこなす。

1. ミラドライ

ミラドライは、手術をしないワキガ治療としてはすでに主流となっている方法の一つで、日本国内でも15,000件以上の治療実績があります。


その治療方法は、マイクロウェーブという電磁波をワキに照射して、においの原因となるアポクリン腺や、汗の原因となるエクリン腺の機能を停止させるというものです。もちろん切開の必要は無く、肌の上から電磁波を照射するだけでワキガや多汗症を改善できる、手軽かつ画期的な治療方法です。


ミラドライのメリット

・傷が残らない

・ダウンタイムがほぼ無い

・多汗症も改善できる

ミラドライは切開の必要が無く、皮膚の上から機械を当てて施術するだけですので、傷跡を残したくないという人にはとても適しています。照射後は多少の腫れやしびれ、引きつれ感がありますが、その殆どは1週間程度で消えていくとされています。

また、固定の必要が無いので、施術の直後から日常生活をいつも通り送れるというのも大きなメリットです。仕事の休みが取れない人や、まだ手術をできないお子さんでも気軽に受ける事ができます。


そして、ミラドライはワキガだけではなく、多汗症のための治療でもあります。においだけでなく、汗の量が多くて困っているという人は同時に両方の治療ができるのでとても効率的です。


ミラドライのデメリット

・再発する事がある

・料金が高額

ミラドライが他の切らないワキガ治療の中でも優れているのは、半永久的な効果が見込めるというところです。ボトックスといった注入治療など効果が一時的なワキガ治療がある中で、1回の治療で一生においから解放されるという大きなメリットがあるからこそ選ばれてきたとも言えます。


ですが、実際にミラドライを受けた人の中には「数年後にはにおいが戻ってきた」と感じている人も少なからずいるようです。照射する前のにおいの強さに戻る事はなくても、照射によって破壊しきれなかった汗腺が活動を再開することで、においの何割かは戻るケースもあるという事は知っておいてください。

なぜにおいの再発が起こってしまうかというと、そもそもミラドライは肌表面から、熱刺激によって汗腺を破壊するという方法であるため、全ての汗腺を破壊する事が出来ず、一部が残ってしまう可能性があるという事が一つの理由です。

施術後しばらくはそれまでのにおいと比べて気にならなくなるため治療効果を感じていますが、一定期間が過ぎるとその状態に慣れ、今度は前よりも少ないニオイでも気になってしまい、再発したと感じてしまうといった状況になる事で、ワキガが再発してきたと感じやすいのです。


また、ミラドライの料金はどの病院でも比較的高額になっています。保険適用での手術であれば自己負担が両脇5万円以下程度で受けられるのに対し、ミラドライは一般的には両脇で30万円前後に設定されていますから、そうそう気軽にできるものではありません。

中には、1年以内に再発した場合は再度照射ができる保証付きのプランなどを設けている病院もありますが、その場合さらに高額になってしまいます。治療方法としては手軽でも、まだまだ金銭面では手軽な治療では無さそうです。

ミラドライのよくある疑問

副作用や安全性について

ミラドライは、多汗症治療において2018年6月4日に日本厚生労働省より新しく医療機器製造販売承認(薬事承認)を取得しました。さらに、日本の厚生労働省にあたる米国のFDAに認可されている機器です。照射する電磁波は人体への害が無い事が認められているので、副作用などの心配はありません。

ただし、ワキの汗腺を破壊するようにマイクロウェーブを照射するため、少なからず熱刺激による肌のダメージがあります。施術後しばらくはヤケドのような痛みを感じたり、炎症を起こしたりする場合があるので、この場合は医師の指示に従って適切なケアを行いましょう。


照射後の注意点

照射した当日は入浴や飲酒は禁止です。2〜3日はアイスパックで冷やすようにすると、腫れが早く治まります。また、腕を大きく動かすような激しい運動もしばらくは避けてください。


2.ビューホット

ミラドライが肌の表面からマイクロウェーブを照射してアポクリン汗腺の破壊を目指すのに対し、直接電極の付いた針を差し込み、電極から出る高周波によってアポクリン汗腺の破壊を行う方法がビューホットです。

直接電極を差し込む事によって、除去対象であるアポクリン汗腺と物理的に近い距離で施術が行えるという点がミラドライとの違いです。また、ビューホットは現状、未承認の機器です。


ビューホットのメリット

ミラドライ同様、肌の切開などが必要ないため、ダウンタイムが短くすぐに日常生活を送れるとされています。


また、ミラドライではワキ以外の部位に対応が行えませんが、ビューホットではスソワキガなどワキ以外の部位も処置が行えるというのもメリットです。

ビューホットのデメリット

実際に体験している方の口コミなどを見ると、切開は行いませんが、電極がついた複数のハリを差し込むため、肌に針を差し込んだ跡が色素沈着してしまうという点をデメリットとして多く挙げられています。


やはり、傷跡や色素沈着によって外見的に跡がつくのは困りますよね。


針の跡は長い場合では半年から1年以上かけても消えない事があるため、跡が残る事を懸念する場合には他の方法を選んだ方が良いでしょう。

また、ミラドライと同様、汗腺を完全に破壊しきれない可能性があり、再発する場合がある事もデメリットといえます。


3. ボトックス

ボトックスは、シワの改善などで知られているメニューですが、汗止めとしても大きな効果があります。ボトックスには神経からエクリン腺に伝わる、汗を出す命令を遮断する作用があるので、注入後はその部分の汗腺が働かなくなり、汗が出なくなります。注射のみの治療なので、5〜10分ほどで終了し、その後の通院も必要ありません。ワキだけでなく、手や足・額などの汗止めとしても使用されます。


ボトックスのメリット

・汗がすぐに止まる

・ダウンタイムがほとんど無い

・1回の料金がお手頃

ボトックスは即効性があり、注射後3〜4日で汗がピタッと止まります。また、注射を打つだけなので目立ったダウンタイムも無く、いつも通りの生活が送れます。当日は入浴や激しい運動は控えなければいけませんが、注意点はその程度です。


料金も3〜6万円前後とそれほど大きな金額では無いため、手軽にワキガ、多汗症の治療を始めたいという人にもおすすめできます。


ボトックスのデメリット

・効果の持続期間は半年程度

・においへの効果は不安定

ボトックスの効果は、4ヶ月後くらいから徐々に薄れていき、半年後にはほぼ無くなると言われています。永続的に効果を出すためには、4ヶ月〜半年ごとに繰り返し打たなければならないので、結局長い目で見れば高額になってしまうというデメリットがあります。そのため、ボトックスは汗の出やすい季節だけ打つなど、期間的に行うにはよい治療方法です。


そして、ボトックスは本来、多汗症の原因となるエクリン腺の活動を抑える治療です。においの原因となるアポクリン腺は活動しているため、人によっては思うような効果を感じない事もあります。軽いワキガの人なら、汗の量が減る事でにおいが拡散されずに軽減したと感じる事もあるので、自分に合っているかどうか、まずは一度医師に相談してみると良いでしょう

ボトックスのよくある疑問

ボトックスの安全性

ボトックスは、ボツリヌス菌から抽出された成分です。ボツリヌス菌はもともと人体に害のあるものなので、ボトックスの安全性について心配になる人も多いようです。

ですが、医療用に使用されるボトックスは無害化されているものなので危険は無く、安全性が認められています。医療現場でも、ワキガ治療だけでなく眼科や脳神経外科などさまざまな用途で使用されています。


ボトックスが打てない人

ボトックスは、妊娠中の女性やすぐに妊娠する可能性のある女性は打つ事ができません。ボトックスの胎児への影響は「流産と何らかの関係があるかも」という程度ですが、万一の事を考えて妊娠中の女性は禁止となっています。また、念のためボトックスを打ってから3ヶ月は避妊をして下さい。


ボトックスの繰り返し利用

ボトックスは、繰り返し何度も施術を受けていると、体がボトックスになれて効果が弱くなってしまう場合があります。

この場合には一度ボトックス施術を休止し、暫くしてから再度利用するようにすると良いでしょう。

この点でも、ボトックス注射は夏場だけの期間限定などで利用する事をおすすめします。


4. 医療用制汗剤

軽度のワキガで本格的な治療をするほどでも無い人や、とにかく手軽ににおいを抑えたいという人は、医療用の制汗剤を病院で購入するという方法もあります。医療用制汗剤は、市販の制汗剤と違い持続効果が高く、何度も塗り直す必要がありません。


クリニックで取り扱いがあるのはパーピレックス(Perspirex)という制汗剤ですが、これは汗腺にフタをする事で汗を抑える効果があります。インターネットでも販売されていますが、病院で購入する方が安心です。


医療用制汗剤のメリット

・とにかく手軽で使いやすい

・何度も塗り直す必要が無い

医療用制汗剤は、とにかく手軽で誰でも使用できるというメリットがあります。市販の制汗剤と違い、一度塗るだけで65%の汗が抑えられる状態が3〜5日間続く事が医学的にも認められているので、軽いワキガの人ならこれだけで十分においを抑えられるでしょう。


旅行などで長時間人と一緒にいる時や、制汗剤を塗り直す暇がない時などにとても便利に使えます。料金は病院で購入する場合は4,000円〜5,000円前後ですが、毎日使用する必要が無いのでコストパフォーマンスはいいでしょう。


医療用制汗剤のデメリット

・強いにおいがある人には不十分

・かゆみが出る事がある

医療用制汗剤は汗の量が減る事でにおいの拡散も防げるので、軽いわきがの人には効果があります。ただし、アポクリン腺を抑制する効果があるわけでは無いので、においが強い人にはあまり効果が無いかもしれません。


また、パーピレックスは塗った後に肌にかゆみを感じる事があります。普通は洗い流せば時間とともに消えていきますが、もしかゆみが続くようなら使用を中止してください。


医療用制汗剤のよくある疑問

医療用制汗剤の安全性

パーピレックスはかゆみを感じたり、肌が弱い人には向かいないというデメリットがありましたが、新処方になってから刺激を抑えた処方に改善されています。アレルギーのもととなる塩化アルミニウムなどの成分も抑えているので、敏感肌の人でも使用できます。


医療用制汗剤の使い方

パーピレックスは、就寝前に乾いた肌に塗り、翌朝しっかり拭き取るという使用方法になっています。初めは5日〜1週間毎日続けると、徐々に汗が出なくなってきます。効果が出てからは、週に2〜3回の使用で十分です。


まとめ

手術以外でワキガを治療する方法は、半永久的な効果を望むならミラドライ、一時的な効果で十分ならボトックス、そして本格的な治療までは必要無ければ医療用制汗剤などがあります。


どの方法も切開が必要無いので、傷跡やダウンタイムなどのリスクは手術と比べればほぼありません。ただし、効果の持続期間が長いほど料金も高額になるので、自分が望んでいるほどの効果があるのか、事前にしっかりカウンセリングで医師と話し合ってから治療を受けるようにしましょう。

ワキガの治療では手術でも殆ど傷跡が目立たないような手法もありますので、まずは一度症例数の多いクリニックに相談し、目的に合った治療方法を検討してみてはいかがでしょうか。

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