医療脱毛中に日焼けはNG! 脱毛前後でしっかりとケアが重要!
医療脱毛
公開日:2018/12/05
監修 竹内孝基
エースクリニック 名古屋院 理事長 ANNEX院院長
【平成12年】大塚美容形成外科勤務/金沢院院長を歴任
【平成18年】名古屋院院長に就任
【平成22年】エースクリニックを開設
日焼けと脱毛のメカニズム
日焼けと脱毛には、一体どんな関係があるのでしょうか?まずは、日焼けと脱毛、それぞれのメカニズムを説明します。
①日焼けのメカニズム
皮膚は、「表皮」「真皮」「皮下組織」の三層から成り立っています。中でも表皮は、有害な紫外線などから体を守る働きをしています。表皮は「角層(角質層)」「顆粒(かりゅう)層」「有蕀(ゆうきょく)層」「基底層」の四層から成り立っていて、最下層に位置する基底層では、新しい細胞「ケラチノサイト(角化細胞)」を作り出しています。基底層で作られた細胞は、有棘層、顆粒層へと押し上げられ、角質層に到達します。ケラチノサイトは角質層で角質細胞となり、最終的に垢となって剥がれ落ちます。
また、基底層には、日焼けの原因となる「メラノサイト(色素細胞)」があります。紫外線を浴びると、まず角質層で紫外線を反射します。約0.02mmの厚さの角質層にはバリア機能があり、体内に外部の刺激が侵入するのを防いでいます。
しかし、角質層で全ての紫外線を反射できるわけではなく、一定量の紫外線は角質層をくぐり抜けてしまいます。こうした紫外線から真皮を守るために活躍するのがメラノサイトです。
紫外線が侵入してくると、基底層にあるメラノサイトはメラニン色素を作り出します。メラニン色素は茶色や黒の色素成分で、有害な紫外線を吸収し、真皮を守っています。
このように肌は真皮の細胞を守っているため、強い直射日光(紫外線)を浴びると、皮膚の中の基底層にあるメラノサイトが働いて、メラニン色素の分泌が促進されます。
前述の通りメラニンは茶色や黒っぽい色をしていますので、肌内部にあるメラニン色素の量が増えていくと、肌が次第に黒くなっていきます。これが日焼けのメカニズムです。
②永久脱毛のメカニズム
医療レーザー脱毛では、黒い色素(メラニン色素)に反応する特殊なレーザーを使用しています。レーザーを照射すると、肌表面にある黒い毛にエネルギーが吸収されて、熱が毛根に集まり、毛の組織を破壊します。
毛根の細胞を破壊する以外にも、毛母細胞に栄養を与えるバルジ領域にダメージを与える脱毛機もあります。毛根が破壊されることで、ムダ毛は自然と抜け落ちていきます。
毛を育成する毛母細胞や、栄養などを供給するバルジ領域が破壊される事で、毛が成長する機能が失われるため、永久脱毛の効果を得る事ができます。
クリニックで行うレーザー脱毛だけでなく、エステで行う光脱毛でも、基本的には同じ原理で、黒に反応する光エネルギーを発します。ただし、照射出力の違いから、効果に差が見られます。
毛母細胞を破壊するレベルのエネルギーは医療機関でしか取り扱う事が出来ないため、永久脱毛の効果を発揮できるのは医療機関での医療脱毛だけとなります。
エステサロンの脱毛は、生えている毛を除去する「除毛」か、出力が高くても毛母細胞にダメージを与えて生えてくる毛を弱らせていく程度の効果に留まります。
また、レーザー脱毛や光脱毛の効果が出るのは、メラニン色素を多く含んだ成長期のムダ毛のみです。毛穴は常に毛が生えているわけではなく、毛が毛根部分から生えて成長を続けている「成長期」以外にも、退行期、休止期といったサイクルがあり、この3つのサイクルを繰り返しています。これを毛周期と呼んでいて、体の部位にもよりますが、おおむね約2、3ヶ月かけて、このサイクルを1周することになります。
脱毛が基本的に複数回のコースとなっていて、1度だけ照射しても脱毛が完了しないのは、このような理由からです。成長期の毛に合わせて照射しなくてはならないため、クリニックのレーザー脱毛であれば、平均して5、6回通う必要があります。エステサロンの光脱毛は出力が弱いため、レーザー脱毛より通う回数は多くなります。個人差もあるため、照射回数がさらに増える人もいます。
日焼けすると脱毛できない理由
脱毛はメラニン色素に反応するレーザーを使用します。日焼けをしていなければ、黒い毛と毛根のみにレーザーが反応します。毛と毛根のみに効率良くレーザーを照射することができれば、脱毛効果は上がります。
しかし、日焼けをした肌はメラニン色素が沈着しているので、レーザーを照射することで、肌にもレーザーが反応してしまい、光が吸収されてしまうのです。 本来、毛と毛根に集中するはずの光が皮膚に吸収されてしまうと、脱毛の効果が低下します。
②日焼け肌は痛みを感じやすい
日焼けをすることで、脱毛時に感じる痛みも大きくなります。日焼けをしていなければ、照射した時に感じる痛みは、光がムダ毛に反応する時の痛みだけです。しかし、日焼けをした肌にはメラニン色素が沈着しているため、必要以上に光が反応し、より広範囲に痛みを感じることがあります。
また、日焼けは皮膚が軽い火傷をしている状態のため、肌がダメージを負っています。肌のバリア機能も失われ、刺激を受けやすくなっているので、通常よりも施術時の痛みを強く感じます。
③肌トラブルが発生しやすくなる
日焼けをしているということは、肌の水分が失われ、乾燥している状態です。非常にデリケートでダメージを受けやすい状態なので、脱毛することで色素沈着やシミ、炎症による赤みといった様々な肌トラブルを引き起こします。
また、肌のバリア機能が低下しているため「毛嚢炎」になる確率もあがります。日焼けをしていると肌表面の細胞に傷がついているため、菌が入り込みやすくなっている事から、レーザーの照射で毛穴にダメージが加わると、傷に菌が入り込み、毛穴が炎症します。この毛穴の炎症を毛嚢炎といいます。
脱毛NGになる日焼けのレベル
日焼けといっても、海やプールに行って真っ黒になることもあれば、日常生活で紫外線を浴び続け、うっすら日焼けてしまうこともあります。脱毛が出来なくなるのは、一体どの程度日焼けをした時なのでしょうか。
日焼けして肌が赤くヒリヒリしていたり、海やプールでこんがり焼けた肌は、炎症が収まるのを待たなくてはなりません。
一般的には、洋服との境目が一目で分かるレベルの日焼けだと施術できません。落ち着いてくる目安は、約3ヶ月です。日焼けした部位としてない部位の差が少しで、うっすら日焼けをした程度であれば、日焼けが落ち着くまで1ヶ月ほど様子を見てください。
ただし、季節によっても紫外線量は変わりますし、しっかりと紫外線対策をしていればメラニン量も早く落ち着くため、早めに脱毛が可能になる場合もあります。
①春・冬での日焼けと脱毛の関係
春と冬は基本的に紫外線量が少ない上に、厚着をしていることが多いため外線対策をせずに外出しても、日焼けをすることはないと思われがちです。
しかし顔や首など、雪に反射して紫外線を浴びることもあるので、注意が必要です。
2ヶ月以内に日焼けをしていた場合は、脱毛がNGになる可能性もあるので、その場合は、さらに1ヶ月ほど間隔を空けたほうが安心です。
ただ、春は3月あたりから紫外線量が徐々に増え始めるので、日焼け対策も始めるようにしましょう。
②夏・秋は日焼けしやすいため脱毛時により注意が必要
紫外線量の多い5月〜9月は、UV対策が必須です。
もし3ヶ月以内に屋外に出ることが多く、紫外線対策をしていなかったのであれば、脱毛は避けたほうが良いでしょう。紫外線量が最も多い時期に、何の対策もせず肌を露出していたのであれば、肌は日焼けしています。
ちゃんと紫外線対策をしていた場合で、日焼けの状態も強くなければ脱毛が可能となりますが、そもそも肌の色については個人差があるため、クリニックやサロンのスタッフの判断に任せるのが一番です。
脱毛するならば、普段から紫外線対策を怠らないようにしましょう。日焼けした可能性があるならば、前もってスタッフに相談してくださいね。
日焼けをしてしまった時の対処法
どんなに注意していても、日焼けしてしまうことがあるかもしれません。そこで、脱毛中に日焼けをしてしまった時の対処法を紹介します。
①冷やして肌の炎症を抑える
日焼け直後は軽度の火傷と同じなので、日焼けしたら日焼けした部位を冷やして、炎症と火照りを鎮めなくてはなりません。
肌の炎症を抑えずに放置しておくと、紫外線の刺激だけではなく肌の炎症による刺激によってもメラニンが作られやすくなるため、日焼けの度合いが進行します。
日焼けした肌を冷やす時は、保冷剤をガーゼやタオルにくるんで患部に当ててください。ただし、氷を直接肌に当てると、ダメージが大きくなってしまうこともあります。集中して一箇所だけ冷やし過ぎると、凍傷になる恐れもあります。
冷たいシャワーで冷やすのもおすすめですが、水圧が高過ぎると肌に負担がかかるので、水圧にも注意が必要です。また、冷たすぎる水を浴びると体調への悪影響となる場合もあるため、体温より温度を下げ過ぎない事も大切です。
②しっかりと肌の保湿をする
日焼け後の肌は水分が奪われて乾燥しているため、肌のバリア機能も低下しています。
そこで、日焼けをした後の肌には、保湿が必要です。低刺激の保湿化粧水をたっぷり使い、ハンドプッシュで優しく肌になじませます。パッティングしたり、擦ったりすると、肌のバリア機能が低下するので、気をつけてください。
万が一、重度の日焼けをしてしまった場合は翌日までに直すということはほとんど不可能ですので、気を付けましょう。
③ビタミンCを摂る
ビタミンCは活性酸素を抑える抗酸化作用を持つため、紫外線によるダメージにも効果が期待できます。ビタミンCはメラニンのもとになるチロシンの生成を抑制するほか、メラニン色素を薄くする作用もあります。さらに、コラーゲンの生成に必要な栄養素でもあり、肌細胞の生まれ変わりを促進するため、ダメージを受けた肌も早く回復させます。
ビタミンCの他には、リコピンやビタミンEなども高い抗酸化作用がありおすすめです。特にビタミンEは紫外線により傷ついた毛細血管のダメージを回復させる働きなどもあるため、充分な量を摂取しておくようにしましょう。
④脱毛の予約をキャンセルする
酷い日焼けをしてしまった時は予約をキャンセルして、日焼けが落ち着いた頃に次の予約を取りましょう。無理に脱毛を受けても、出力を上げられず十分な永久脱毛効果が得られない可能性が高くなります。
また、上記で紹介したように、保湿やビタミンCの摂取などの日焼け対策も続けるようにしてください。
■脱毛後も日焼けがNGな理由
日焼けがNGなのは、脱毛前だけではありません。脱毛後の日焼けもNGです。
レーザー脱毛や光脱毛では、ムダ毛の周辺の細胞にダメージを与えます。肌はレーザーによるダメージを受けて敏感になっているので、日焼けによるダメージも受けやすくなっています。
日焼けのダメージが加わると、火傷や赤み、炎症、シミ、乾燥などの肌トラブルに繋がる可能性も出てきます。脱毛後も日焼けしてはいけないので、しっかりUV対策をして外出するようにしてください。
■脱毛後のアフターケア
①紫外線対策は衣服から
脱毛後の肌は非常に敏感になっています。すぐに日焼け止めを使用することで肌に負担がかかり、肌のトラブルを招く場合もあります。
そこで、施術当日のUV対策には、日傘や帽子のほか、アームカバーやサングラスを利用して肌の露出を控えましょう。どうしても日焼け止めを塗りたいという場合は、クリニックやサロンのスタッフにも相談しましょう。
脱毛から1週間ほど経てば、肌の状態も落ち着いてくると言われています。脱毛後、1週間は肌の露出を控え、極力日焼けしないよう注意が必要です。
日焼け止めもSPFの数値が高いものを選びがちかもしれませんが、SPFの数値が高いと肌にかかる負担も大きくなるため、SPF30程度で十分です。
また、肌への負担を軽減するためには紫外線吸収剤ではなく紫外線散乱剤をメインで使ったものを選ぶなど、肌への負担が軽減されるように工夫しましょう。
②体温を上昇させない
脱毛後、運動などによって体温が上昇すると、急な血流の増加によって照射部分に炎症が起きやすくなります。そのほか、痒みが出たり、汗や雑菌が毛穴に入ると、毛嚢炎になる可能性もあります。
飲酒も血行が良くなって体温が上がるので、痒みを感じたり、ポツポツとした赤みが出る場合もあります。激しいスポーツや飲酒のほか、エステやマッサージも体温が上がるので、脱毛当日は避けましょう。
③入浴はシャワーで済ませる
脱毛当日は38度から40度程度のシャワーを浴びましょう。ただし、水圧が高過ぎると、肌の表面に傷がつくだけでなく、肌表面の皮脂を落とし過ぎてしまいます。バリア機能も低下するので、シャワーの水圧には注意してください。
また、湯船に浸かることで、体温が上がって血行が良くなります。前述の通り、血行が促進されると脱毛当日は赤みや火照りなど、軽い火傷のような症状が現れることもあります。湯船には雑菌も多いので、肌が敏感な状態で湯船に浸かると、毛穴に雑菌が入り、炎症を起こす可能性も。入浴は脱毛当日は行わないようにしましょう。
体を洗う時もタオルでゴシゴシ擦るのではなく、石鹸やボディソープをよく泡立てて、優しくなでるように洗いましょう。
温泉や岩盤浴、サウナもNGです。
④保湿ケアには注意が必要
脱毛当日は体内に熱がこもっているため、毛穴が開いた状態です。油分を含んだ市販の保湿クリームを使うと、毛穴に詰まってしまい、炎症を引き起こす可能性もあります。脱毛当日に保湿を行う場合は、ローションやジェル、またはクリニックで処方される専用の保湿剤を使いましょう。
翌日以降は、保湿クリームを使っても構いません。また、次回の脱毛まで保湿ケアを続けることで、肌のダメージが修復され、脱毛効果も上がります。
⑤自己処理は控える
脱毛後は最低でも、3日程度は自己処理を控えましょう。肌の状態によっては、1週間程度様子を見ると安心です。自己処理をする時は、負担の少ない電気シェーバーを使って、処理してください。
カミソリや毛抜き、除毛ワックスなどを使った自己処理は肌への負担も大きいのでなるべく避けましょう。
まとめ
日焼けをした肌は紫外線によるダメージを受けているので効果が薄くなるだけではなく、脱毛の刺激が加わり、様々な肌トラブルを引き起こす恐れがあります。また、脱毛することで肌が敏感になっているので、脱毛したら日焼けを避けなければなりません。夏に脱毛をするのであれば、日焼け対策を忘れないでください。
それでも脱毛をしたいという場合は、肌トラブルを避けるためにも、自己判断を控え、クリニックのスタッフに申し出てくださいね。