ボトックス注射で改善できるしわとそうでないシワの違い
しわ・たるみ整形(注入、糸、フェイスリフト) (しわ取りボトックス)
公開日:2018/12/12
シミについては紫外線をしっかり防いでいればある程度予防する事が可能とよく知られていますが、一方でシワについては年を取ると誰でも出来てしまうものと諦めている人が多いかもしれません。
そんな加齢によって生じる肌トラブル「シワ」を解消する美容医療の一つがボトックス注射で、シワが気になる場所に注射を打つだけで簡単に悩みが解消できると、高い人気を誇っています。
しかし、このボトックス注射で解消できるシワは一部のシワのみ。今回は、ボトックス注射によるシワ解消の効果や、解消できるシワの種類などについて詳しく解説いたします。
シワが出来る原因
まず、シワ解消のボトックス注射について詳しく解説する前に、なぜシワが出来るのか、その原因について確認しましょう。
実は、シワが出来る原因は単なる加齢というものだけではありません。
加齢による肌のハリの減少
シワが出来る原因の一つ目は、加齢による肌のハリの減少です。
人の肌は目に見えている「表皮層」と、その奥にある、肌の土台としての役割を持つ「真皮層」という二つの層に分かれていますが、この真皮層は、若く健康的な状態であればたっぷりとコラーゲンやエラスチンで満たされており、強い弾力のある状態です。
しかし、加齢によって真皮内でコラーゲンを作り出す細胞の働きが弱くなったり、紫外線によってコラーゲンが破壊されたり、コラーゲンを作り出す細胞がダメージを受けたりすると、真皮内部のコラーゲン量は自然と減少して、弾力を失っていってしまいます。
コラーゲンが減少する事での変化は風船を想像すると分かりやすいのですが、空気がパンパンに入った風船も、空気が抜けるとしぼんでシワシワになっていくように、コラーゲンで作られていたハリが失われると、肌は「余り」が発生するようになって、垂れ下がるようになります。
この垂れ下がった肌が、他の皮膚に覆いかぶさるようになる事で深いシワが出来るようになり、特にほうれい線や首のシワといった深く目立つシワが発生します。
筋肉の緊張による肌のヨレ
一方、肌にある程度弾力が残っていても、シワが出来てしまう場合があります。
それが筋肉の緊張による「表情ジワ」で、笑った時の目尻や、怒った時の眉間に出来る線が、そのままシワのように定着しているものです。
こうした表情ジワは、同じような表情を取りすぎる事によって肌にクセがついたものと思われがちですが、多くの場合は肌にクセがついているのではなく、特定の表情をとる時の表情筋の動きが過剰であったり、表情筋が硬直したりする事で出来ているもので、肌自体はまだ弾力を保っている状態です。
そのため、表情筋をリラックスさせるマッサージや、クセに気を付けて過ごす事で表情筋の過剰な動きを抑えれば、シワの状態が自然と解消されやすいものでもあります。
ボトックス注射は表情筋を一時的に弱める治療
シワの解消のために利用されるボトックス注射は、ボツリヌス菌という神経麻痺をさせる毒素を体に害が出ない程度まで薄め、筋肉に注射する事でその働きを弱めるという作用を持つ治療法です。
前述のようにシワの原因の一つは表情筋の「過剰な働き」によるものですので、表情ジワの原因となっている筋肉をボトックス注射で弱める事で、シワの改善を行う事が出来るのです。
筋肉の働きによるシワがある程度長期間続いていた場合は、筋肉が弱まっても一定期間肌にクセづいたシワが残りますが、表情筋によるクセが無い状態で過ごしているうちに、体の代謝機能によってシワが目立たなくなっていきます。
ただし、ボトックス注射の働きは永続的なものではなく、ボトックス注射によって筋肉の働きを抑える事ができるのは、注射後約半年程度。その後はまた表情筋に力が入りやすくなっていくため、表情の癖などが変わらない限りは大体1年程度でシワの改善効果が無くなる事となります。
ボトックス注射は表情ジワ以外には効果が無い
表情筋によるシワに対しては高い効果を発揮するボトックスですが、肌内部のコラーゲン減少によるシワについては、ボトックス注射で改善する事が出来ません。
あくまでも筋力を弱める作用しかありませんので、ほうれい線や首のシワなど肌がたるんで折りたたまれる事によって出来るシワについては、高密度焦点式超音波(HIFU)、サーマクールなど肌のコラーゲン生成を促進する治療や、糸によって引き上げるフェイスリフト、ヒアルロン酸注射によって肌に内側からハリを作る治療を行う必要があります。
ボトックス注射をより高い効果で受けるために
ボトックス注射は注射によって表情筋を弱めるだけの施術であるため、最近では皮膚科や産婦人科などでも取り扱われる事がある治療法の一つです。
しかし、ボトックス注射によるシワの改善効果をしっかりと得るためには、医師やクリニック選びなども重要となります。
何故医師やクリニック選びが重要となるのか、ボトックス注射をより高い効果で受けるためのポイントをご紹介します。
ボトックス注射を打つ場所によって効果は大きく変わる
ボトックス注射は、注射した場所の周囲の筋肉のみを弱める治療法です。当然のことながら、シワの原因となっている筋肉を的確に見分け、注射を行わないとシワ改善の効果は発揮されません。
更に言えば、間違った筋肉にボトックス注射を行ってしまうとシワが改善されないどころか、表情がぎこちなくなるようになってしまう事もあり、ボトックス注射後に上手く笑顔が作れなくなってしまったというケースも考えられます。
どこにどの程度の注射を行うかは、医師が施術を受ける人が持つ表情筋の使い方のクセなどを見て、必要と思われる場所に打つ事になりますので、医師が知識不足であれば、当然ボトックス注射でのシワ改善効果は低くなります。
どの筋肉の働きによってどのような表情になっているかというのは、形成外科的な視点が無ければ判断が難しい部分でもありますので、しっかりとこうした知識を持っている医師を選ぶ事が、ボトックス注射の効果を高めるために大切です。
ボトックス注射の薬剤によって効果が変わる
ボトックス注射で利用される「薬剤」には、ドイツやアメリカで作られたものの他にも韓国などで作られたものなど、様々な種類があります。
基本的には同じ「ボトックス」ではあるのですが、やはりどうしても薬剤の生成方法などによって効果の度合いや持続時間には差があり、質の良い薬剤を利用すれば、その分高い効果を得やすくなります。
また、注意が必要なのはクリニックによっては一回の施術で余った分を他の人の治療に利用するというケースも存在し、十分に効果が発揮される分量を実は注射されないという可能性もゼロではありません。
そこまで悪質なクリニックが多く存在するわけではありませんが、クリニックとしてはなるべく安く手に入る薬剤を使用して経費削減をしたいというのも実情であり、特に他と比べて大幅に安い価格で治療を行っているクリニックについては、質のよくない薬剤を利用している可能性もあるため注意が必要です。(もちろん低価格で質の良いものを利用しているクリニックも沢山あります)
どの薬剤が高い効果かというハッキリとしたデータはありませんが、クリニックによっては独自に色々な薬剤を試し、最も反応が良いものを厳選して利用しているという所も数多くありますので、こうした調査を行っているクリニックを探す事で、より高い効果でのボトックス注射治療が受けやすくなります。
ボトックス注射の効果がある間に表情の癖を治す
ボトックス注射によって表情筋を弱められる期間は、半年から長くて1年程度。
しかし、この期間が過ぎれば必ず元の状態に戻るというものではなく、表情筋の働きが弱っているうちに、表情のクセもしっかりと修正していく事が出来れば、ボトックス注射の効果が切れてからも表情ジワの再発を防ぐ事が可能です。
クセはついつい出てしまうものですが、表情筋が弱っている時期はそのクセも意識して治しやすい時期ですので、日常生活の中でしっかりと癖を見直して、根本的な表情ジワの解消に繋げましょう。
ボトックス注射は耐性がでる場合がある
稀にですが、ボトックス注射を繰り返していくと、薬の効果が薄れてしまうことがあります。耐性ができた場合は、ボトックス注射を半年以上中止したり、使用薬剤を変える必要があります。
ボトックス注射は表情ジワの改善以外にも様々な治療に利用される
以上、ボトックス注射で改善できるシワや、治療効果を最大限有効に受けるためのポイントをご紹介しました。
ボトックス注射は表情ジワの改善以外にも、手のひらやワキから出る汗の量を抑える事での多汗症治療や、口角を下に引き下げる筋肉の働きを弱めて、口角が上がりやすくする治療など、様々な目的で利用されている治療法です。
いずれにしてもボトックス注射の治療効果を十分に発揮するためには、どの部分の筋肉や組織の働きを弱めれば良いかという的確な判断が出来る医師や、質の良い薬剤の使用を行っているクリニックを選ぶ事が重要なポイントとなりますので、簡単な治療法だからといって安易に値段の安い場所を選ばず、しっかりと治療実績や発表している情報、評判などを比較して治療を受けるようにしましょう。
また、シワの改善にはそれぞれのシワに効果的な治療をしっかり選択する事が大切です。ボトックス注射では改善できないシワや、ヒアルロン酸注入では改善できないシワなどそれぞれに最適な治療法がありますので、色々な治療法を適切に使い分けられるクリニックを選ぶ事が、シワの悩みをしっかり改善できる治療を受ける事に繋がります。