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膨らみのあるシミは「イボ」の一種?治療法は?

ほくろ除去・あざ治療・イボ治療 (イボ治療)

解説 口コミ広場編集部
監修 宇井千穂 医師

公開日:2019/07/11


肌の印象を一気に老けさせてしまう「シミ」。白い肌は七難を隠すとも言われますが、シミが出来ないようにスキンケアを頑張っている人は多いのではないでしょうか。

そんなシミは、一般的に原因が紫外線による刺激だと知られていますが、実はシミの中には紫外線による刺激とは全く異なる原因でのシミも多く存在します。

それどころか、実はシミではなく「イボ」に近い症状もあって、この場合は解消するためのケア方法が通常のシミとは全く異なり、また場合によっては保険適用での治療が可能な事もあります。

今回は、そんな普通のシミとは異なるシミ状のイボ脂漏性角化症について、症状の見分け方や改善するための治療法などを含めご紹介いたします。

監修 宇井千穂

やさしい美容皮膚科・皮フ科 秋葉原院/シミレーザー東京 院長

2003年 北里大学医学部卒業
2004年 公立福生病院勤務
2006年 土佐清水病院勤務 同時に非常勤として銀座の某クリニック勤務
2019年 やさしい美容皮膚科・皮フ科秋葉原院 開院

膨らみのあるシミは「脂漏性角化症」を疑って

顔や体に出来るシミというと、パッとイメージするものは、肌の一部が黒っぽかったり、茶色っぽかったりする色に変色した状態ではないでしょうか。

一般的にシミと呼ばれる症状は、肌の最も表面側にある「表皮」内部に、メラニン色素という黒や茶色の色を付ける色素成分が沈着する事で発生するものですので、シミによって肌に膨らみが出来るという事はありません。


もし黒褐色状のシミがイボのように膨らんでいたら、それはただのシミではなく、「ほくろ」または「脂漏性角化症」別名、老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)を疑ってみる必要があるかもしれません。

ほくろについては多くの人が知っている通りのものですが、ほくろは色素を作る細胞そのものが異常を起こしてしまったもので、小さいものは数ミリから、大きいものは数センチまで広がる場合があります。


脂漏性角化症は、「年寄イボ」と呼ばれており、その原因も皮膚の老化が主な原因で、年配者ほど発症していく人の割合が増えていく症状で、紫外線などの影響によって出来た良性腫瘍の一種です。

主に顔、首、体にその症状が見受けられ、加齢と共に数も増えていきやすくなります。しかし、脂漏性角化症は決して年配者だけに起こる皮膚腫瘍ではなく、早ければ30~40代の人にも見受けられることがあります。

普通のシミ(老人性色素斑)と脂漏性角化症の見分け方

脂漏性角化症も普通のシミとされる老人性色素斑も、その原因が紫外線などによるダメージであることは共通しています。ただし、ケアを行うためのアプローチはそれぞれ異なるため、まずは自分の症状がどちらかを見極める事が大切です。

まずは、これらの見分け方について、それぞれの特徴の違いをご紹介します。

一般的なシミ=老人性色素斑(日光黒子)

老人性色素斑とは、別名「日焼けシミ」とも呼ばれる最もポピュラーなタイプのシミです。

主な原因は、強い紫外線による肌ダメージの蓄積で、シミの多くはこの老人性色素斑に該当します。

紫外線刺激によって何故シミが出来るのかというと、まず強い紫外線を浴びると、人の肌では肌を紫外線から守るために、シミの元である「メラニン色素」を沢山作り出す事が理由の一つ。

メラニンは一定期間ごとに、肌のターンオーバーと共に体外に排出されて無くなっていきますが、メラニンの作られる分量が多いと、肌に残りやすくなってシミになってしまう可能性が上がります。


また、人の肌は若く健康的な状態であれば通常28日周期でターンオーバーが行われますが、加齢の他、紫外線ダメージで肌の機能が低下する事によって、ターンオーバーの周期が長くなっていきます。一説には肌のターンオーバー周期は年齢に1.5をかけた日数とも言われ、20歳頃までは約30日(28日)、お肌の曲がり角と言われる25歳では約38日。30歳では45日と、徐々に伸びていくと言われていますが、ここに更に紫外線のダメージが加わると、その周期はより長引いていく事になります。

メラニンは肌のターンオーバーと共に排出されていきますので、ターンオーバーが長くなればその分、メラニンが肌に留まる期間が長引き、シミの状態が引き起こされるようになります。


更に、紫外線で肌の細胞が傷つくと、メラニンが肌のターンオーバーが行われない「真皮層」に入り込んでしまう事があり、こうなるとメラニンが自然と排出される事は無くなり、どれだけスキンケアを頑張っても残り続けるシミとなってしまいます

このように、紫外線の影響によって出来たメラニンが、紫外線などの影響で排出されなくなるものが「老人性色素斑」です。


老人性色素斑の色は茶褐色状であることが多く、大きさは数mm~数cmの円形、楕円形、多角形、不正型の形のものまで様々。しかし、どのような形でも共通しているのは、あくまでも表皮や真皮に色素が蓄積されているだけの症状であるため、決して突起していることはなく皮膚の表面上に平坦に表れます。

主な発生部位としては、顔や手の甲、背中の上部といった、紫外線が当たりやすい部位です。


老人性色素斑は老人性という名称がついていますが、早ければ20~30代から症状が出てくる人もあり、強い紫外線を浴びる生活をしていると若くても沢山出来てしまう場合があります。

また、肌のターンオーバーが衰退してくる40代半ば以上になると、ほとんどの人に見受けられるようになります。


脂漏性角化症

脂漏性角化症は突起した皮膚の良性腫瘍の1つです。

腫瘍というのは細胞の異変によって発生するもので、老化などによって出来やすくなるもので、肌においては紫外線による肌細胞の老化が大きな原因となります。


良性腫瘍と悪性腫瘍の違いは、悪性の場合は除去してもわずかに残った腫瘍から再発しやすいという点や、他の部分に転移してしまうという特徴があり、良性の場合はこうした心配がないものです。

ただし、良性のものでも放置しておくと徐々に大きくなるため、場合によっては神経など圧迫して体に害を及ぼす場合があります。


脂漏性角化症の見た目としての特徴は凹凸があり、表面がザラザラしている点です。しかし、ときに比較的滑らかなものもあり、膨らみが少ないものは普通のシミと区別が難しいものもあります。

見分けが難しい場合は、時期によって色が薄くなったりする事もなく、徐々に大きくなる一方であれば脂漏性角化症の可能性が高くなります。


色調、形、大きさも様々ですが、基本的には黒灰~茶褐色の色をしており、大きさも数mm~数cm以上、形状もよく見ればちょっと突起していると思われるものから、かなり大きなものまで幅広いです。基本的には痛みや腫れなどもなく無症状ですが、かゆみなどを伴うこともあります。

脂漏性角化症は、発症した当初から突起しているものもありますが、老人性色素斑が長年放置された結果、症状が悪化して脂漏性角化症になってしまうこともあります。


脂漏性角化症と症状が類似している悪性腫瘍も?

実は、脂漏性角化症を判断する場合に気をつけなければならないことがあります。

それは、脂漏性角化症と有棘細胞がんやメラノーマなどの皮膚がんの初期症状と非常に似ているため、その該当のシミ状のイボが良性のものでなく悪性腫瘍である可能性があることです。

こういった悪性腫瘍の症状は、自分で見分けをつけることは困難ですので、当然皮膚科で診察してもらうことになりますが、医師の目視診察だけでも分からない場合があります。

その際は、病変の一部を切除し(生検)、顕微鏡による病理検査を行います。

また、脂漏性角化症のような形状のシミ状のイボが顔や体にどんどん増えてきてしまった時に気を付けなければならないのは、レーザートレラー症候群という内臓関連のがんの可能性も否定できません。

つまり、脂漏性角化症のような形状のシミ状のイボが痛みやかゆみが全くないからといって決して油断ができないため、なるべく早い段階で専門医の診察を受けるようにしましょう。


脂漏性角化症は皮膚科で除去しないと消えない

脂漏性角化症自体は良性の腫瘍ですので、特に慌てて治療が必要なものではありませんが、やはりどうしても見た目がきれいな症状とは言えないため、なるべくなら綺麗に除去してしまいたいですよね。

しかし、シミであればある程度しっかりとスキンケアを行う事で、メラニンの排出を促進して薄くしていく事が可能になりますが、脂漏性角化症の場合は、肌の代謝を促進したところで解消できるものでは無く、皮膚科での治療が必要となります。


更に、普通のシミである老人性色素斑などと併発してしまうと、見た目もかなり悪くなってしまいますし、治療も一層困難になりますので、症状が目立ち始めたと感じたら早期に対処する方が望ましいでしょう。


脂漏性角化症の治療には、内服薬、外用塗布薬などはほぼ効き目がないため、対処法としては外科的な切除を行うか、凍結させる、あるいはレーザー対処法などの選択肢になります。では、具体的にどういった治療方法があるのかご紹介します。


液体窒素による凍結治療

脂漏性角化症に限らず、イボ治療としてポピュラーな方法が、液体窒素による凍結治療です。その方法は、液体窒素温度マイナス196.8℃を綿棒にしみこませ患部にあて、細胞を凍結させます。この凍結と解凍を繰り返し行い脂漏性角化症のイボを砕いてしまうのです。

この方法である程度満足のいく状態になるには複数回治療に通う必要がありますが、完全に変異した細胞を除去しきれなかった場合は、そのあとに再発する可能性もあります。

この治療方法は、麻酔も難しい手術も必要なく、1回あたりの施術時間もきわめて短時間で終了するごく簡単なもので、術後ケアもほとんど不要なことから高齢者の脂漏性角化症に悩む人に適しています。しかし、治療後1~2日はちょっとした痛みや水ぶくれのような症状が見受けられます。



レーザーによる除去法

脂漏性角化症の治療として近年用いられる機会が増え、一定の効果が認められている方法がレーザー治療です。レーザーといっても様々な機械がありますが、脂漏性角化症に最も適しているとされるレーザーが炭酸ガスレーザーです。

炭酸ガスレーザーが他のQスイッチレーザーと異なる点は、波長10,600nm(10.6μm)の赤外線領域の光で肌に含まれる水分に反応した熱エネルギーを使って照射を行うため、皮膚の表面を傷つけず深部まで光が効率よく浸透し母斑細胞全体を取り除くことが可能な点です。これは、凍結治療で取り切れないような深い部分にも有効です。

炭酸ガスレーザーの施術は局所麻酔を行い、施術時間も1照射5~10分と実に短時間に終了します。施術時の出血もほぼなく、ダウンタイムなどもほぼ気にする必要はありません。


保険適用で治療できる場合とそうでない場合

脂漏性角化症の治療情報などを検索していると、保険適用可能としているクリニックの情報とそうでないところが見受けられますが、これは一体どういった基準なのでしょうか。


まず、脂漏性角化症の治療自体は基本的に保険適用が認められています。

しかし、これはあくまで「美容目的でない場合」に限られているもの。顔のシミが見た目上気になるから除去したいという目的であれば「美容目的」と判断されますが、一方で脂漏性角化症が痒みや痛みを生じている場合や、脂漏性角化症によって洗顔などが適切に行えず、肌の疾患を起こしやすくなるなど、除去する事が健康上必要と認められる場合には保険適用での治療が行える事となります。


このあたりの線引きは医師の判断によって行われるものであるため、同じ症状でもクリニックよって保険適用が認められる場合と、そうでない場合が分かれる事もあります。

また、保険適用が認められたとしても、治療法は凍結治療で無ければ保険適用が認められない場合や、レーザーでも保険適用可能な場合など、クリニックによる差が生じる事もあります。


また、脂漏性角化症だけの状態であれば保険適用での治療が可能でも、そこに普通のシミである老人性色素斑と併発がある場合は、保険適用での治療が行えなくなるという場合もあります。


このようにどの治療にどの程度までなら保険適用をしてくれるかは、個々の医療機関の判断になりますので、詳しくは来院する予定のクリニックにお電話やネットの問合せフォームなどで事前に確認しましょう。


まとめ

いかがでしたか?今回はシミ状のイボである脂漏性角化症について、症状の見分け方や改善するための治療法など詳しく解説させていただきました。脂漏性角化症は、セルフケアをいくら頑張っても回復に向かうことはなく、皮膚科で除去しないことには症状が改善することはありません。

また、治療せずそのまま放置して年齢を重ねていくと症状は悪化の一途をたどりますので、思いついたらなるべく早期の対処が必要になります。脂漏性角化症を自覚したら、まずはできる限り保険適用を良心的に対応してくれるクリニック探しから始めてみましょう。


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