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レーザーだけで完全にタトゥー除去するのは難しい? 本当にキレイに消すために必要な治療法とは

タトゥー除去 (レーザー除去)

解説 口コミ広場編集部
監修 橋本健太郎 医師

公開日:2018/11/15


若い頃に入れてみたものの、後になって消したくなったタトゥー。入浴施設やプールなどでの入場規制といったトラブルの他、デザインに対しての価値観が変わったなど、様々な理由でタトゥー除去を行う人が増えています。

タトゥー除去を行うためには皮膚切除やレーザーによる治療法がよく知られており、最近は特に手軽に行えるという事からレーザーによる治療が人気です。

しかし、実はこのレーザーによるタトゥー除去。ただレーザーを当てて色素を消せばいいというわけではなく、本当にキレイにタトゥーを消すためには更に一歩踏み込んだ治療が必要となる事はあまり知られていません。

今回は、タトゥーを本当にキレイに除去するための治療法の選び方をご紹介します。

監修 橋本健太郎

静岡美容外科橋本クリニック 院長

2004年  日本大学医学部卒業 医師免許取得
     同大学で麻酔科医として勤務
2004年~ 日本大学病院勤務
     以後、美容外科医、形成外科医として経験を積む
2008年  南青山クリニック院長 就任
2010年  銀座アテナクリニック本院開設
2016年  静岡美容外科 橋本クリニック開設

タトゥーは単純なレーザー治療ではキレイに消えない? その理由は

タトゥー除去について正しい知識を得るために、まずタトゥーというのがどのような原理で行われているのか、そしてレーザー治療がどのようなメカニズムで行われているのかについて確認しましょう。


タトゥーとは?

タトゥーは、皮膚に対して特定のインクを入れ込む事で肌に様々な形の絵や模様を表現するものです。

通常、皮膚はターンオーバーという仕組みで一定期間ごとに細胞が入れ替わっているため、皮膚の表面に落ちないインクを使って絵を描いたとしても、暫く時間が経てば垢となって剥がれ落ちてしまいます。

一方、タトゥーはこのターンオーバーがおこっている部分よりさらに深い部分。肌の真皮層という所まで針で穴を開け、そこにインクを流しこんで模様やイラストを作ります。

皮膚や真皮層より表面側の、表皮層という部分でしか入れ替わりが発生しないため、真皮層に入れたインクは時間がたっても薄くなる事が無く、基本的に一生残り続ける事となります

また、真皮層に針で穴を開けて損傷させるという事は、個人差はあれど瘢痕を必ず形成します。(瘢痕とは盛り上がった傷の事です。)そのため、タトゥーを入れている肌には、多かれ少なかれ肌の盛り上がりがみられます。



タトゥーシールとタトゥーの違い

タトゥーのような肌へのペイントをもっと手軽に楽しむ方法として、タトゥーシールなどのアイテムがあります。

タトゥーシールは、肌表面に張り付けてシールのインクを肌に転写する事で、タトゥーのような模様や絵を肌に付けるというものです。

タトゥーという名前はついていますが、こちらはターンオーバーがおこる表皮層の範囲にインクでペイントするだけのもののため、一定期間が経過すれば垢と共に剥がれ落ちます。分かりやすくいえば、石鹸などで落ちにくいインクで色を付けているだけのものなので、消えなくなるという心配はまずありません。


タトゥーと刺青の違い

一般的には同じようなものとして認識されているタトゥー刺青ですが、実際には少し違いがあり、インクを差し込む深さがタトゥーよりも刺青の方が深いとされています。

これによって表れる違いとしては、刺青の方がより色が薄れるなどの変化が起こる可能性が少ないと言う事や、刺青の方がインクを入れる場所が深い事で、肌の細胞が傷ついて「瘢痕化(はんこんか)」という変化が引き起こされるため、刺青をいれた場所が少し盛り上がったような状態になるという点です。

いれる時の痛みについても、刺青の方が深いため痛みが強いといわれます


タトゥーや刺青のレーザー治療とは?

以前はタトゥーや刺青の除去というとその部分の皮膚を切除して縫い合わせる方法のみでしたが、最近はレーザーによる治療が多くなっていています


レーザーによるタトゥー除去は、簡単にいえば肌に定着しているタトゥーの色素をレーザーによって破壊して小さくする事で、体外への排出を促すというものです。


体の機能には、体の中に入り込んだ異物を排除するという仕組みがあり、その働きを担っているのがマクロファージというものです。マクロファージは体内に入り込んできた異物を食べて無害化し、膿や老廃物として排除する役割をもっていて、体の中に細菌やウィルスが入り込んでもすぐに風邪をひかないのはこうした機能が正常に働いているからです。


タトゥーの色素はそもそも体にとって異物ですが、色素成分が大きすぎるため、マクロファージが取り込む事ができず、排除されずに残り続けている状態。そのため、レーザーでタトゥーの色素を粉砕して細かくすれば、その色素は体の機能によって自然と排出されていく事になります。

この流れによって、タトゥーの色を薄くしていくのがレーザーによるタトゥー除去です。



タトゥー除去で利用される2種類のレーザー

タトゥー除去で用いられるレーザーとしてはナノ秒発振レーザー(ルビー、アレキサンドライト、YAGレーザー)とピコ秒発振レーザーとよばれる2種類があります。

ナノ秒とピコ秒の違いは、簡単に言えばレーザーのエネルギーが照射される間隔

ナノ秒とは10億分の1秒、ピコ秒とは1兆分の1秒の事で、ナノ秒レーザーを照射して間が開くという事を繰り返すものがナノ秒発振レーザーで、ピコ秒レーザーを照射して間が開くという事を繰り返すものがピコ秒発振レーザーです。


この違いによってどのような効果の違いがあるのかというと、これには熱緩和時間というものが関係しています。熱緩和時間とは、どのくらい熱が加わると、その熱が周囲に分散しはじめるかといった時間を表すもので、例えば熱緩和時間が1秒であれば、1秒間の間レーザーを当てられている時はレーザーの熱を貯め込み、1秒を過ぎるとレーザーの熱を周囲に拡散して、緩和しようとする作用を示します。

周囲に熱が拡散されると、その熱によって周囲の細胞がダメージを受けるため、熱緩和時間以上にレーザーを照射してしまうと、周囲の細胞がダメージを受ける事となります。


タトゥー除去の場合、タトゥーのインクをレーザーで破壊していきますが、タトゥーや刺青のインクは熱緩和時間がピコ秒と非常に短いもの。そのため、ピコ秒発振レーザーであれば、周囲の細胞を傷つけて瘢痕化させる事が無く、インクのみを効率的に破壊していく事ができます。

この事から、最近ではタトゥー除去にピコレーザーが多く使われるようになり、より精度の高い除去が行えるようになってきています


レーザーでのタトゥー除去は、刺青色素の種類によってレーザー光を使い分ける事が重要

レーザーでタトゥー除去を行う場合、タトゥーの色素に反応しやすい光を使う事で、より効率よく刺青色素を破壊していく事ができます。

刺青色素の種類によって、それぞれ効果的なレーザーの特徴は下記のようになっていますので、自分が消したいタトゥーの色に対応したレーザーを扱うクリニックを選ぶ事なども、タトゥー除去の効果を高めるためのポイントとなります。


タトゥー除去で利用されるレーザーの波長にはいくつかの種類がありますが、代表的な波長が、「1064 nm(ナノメートル)」「785nm」「755nm」「670nm」「532nm」の5種類でそれぞれに吸収されやすい色が異なります。


黒色

黒い色の色素は、基本的に全ての波長(光の種類)のレーザーで反応します

ただし、どの波長でも効果が同じというわけではなく、波長が長いものの方がより深い部分の色素を破壊できるため、高い効果を発揮しやすくなります。


青色・緑色

青色と緑色は波長が中間のものが最も吸収されやすく、効果の高い順に下記の通りとなります。

670>755>785>532>1064


紫色・黄色・オレンジ色・肌色

紫色・黄色・オレンジ色・肌色は波長が短いものの方が吸収されやすくなります。

532 nm >670 nm >755 nm >785 nm >1064 nm


赤色

赤色については、やや特殊な順序となります

532nm>1064 nm >670 nm >755 nm >785 nm


白色

白い色はどのレーザーでも反射してしまうため吸収されにくく、レーザーを照射すると黒色化するリスクが非常に高くなっています

ただし、黒色化したら1064nmのレーザーで除去する事が出来ます



以上のように、刺青色素の種類によって反応が良いレーザーが異なりますので、最適なレーザーを利用して、細かくタトゥー除去の施術を行えるクリニックをえらぶ事が、キレイにタトゥーを除去するためのポイントとなります。


タトゥーの色を消しても肌の盛り上がりが残る事が多い

以上のように、レーザーによるタトゥー除去はタトゥーの色素を破壊する事で、体外へ排出されていくのを促す治療法ですが、実はタトゥーを入れる事によって引き起こされる肌の変化というのは、色素による変化だけではありません。


前述のタトゥーと刺青の違いの所でもご紹介しましたが、刺青では肌に色素を入れるため針で細胞を傷つける際瘢痕化という状態が引き起こされて肌に多少の盛り上がりが作られるようになります。

実は、この瘢痕化は刺青の場合のみに起こるのではなく、インクを入れる深さが浅いタトゥーでも、やはりある程度の瘢痕化が引き起こされ、肌がうっすらと盛り上がった状態になっています。

このそもそも存在する盛り上がりなどの影響もあって、レーザー治療ではタトゥーが綺麗に除去できず、ヤケドの後のように肌が若干盛り上がった状態で残るとも言われます。

仮にタトゥーや刺青を皮膚ごと切除したり、移植したとしても真皮層にダメージが残るため結局瘢痕を形成します。



タトゥーの色素除去と同時に瘢痕部分のレーザー治療も行えばよい

それでは、タトゥーは結局レーザー治療でキレイに除去できないのかというと、そうではありません。単純に言えば、タトゥーの除去と同時に、肌の瘢痕化も治療してしまえばよく、瘢痕化された肌の治療もレーザーで行う事が可能です


肌の瘢痕部分を治療する方法としては「フラクショナルレーザー」といって、細いレーザーで肌に細かく穴を開ける方法があります。

このフラクショナルレーザーはニキビ跡に出来たクレーターなどにも利用されるもので、瘢痕化によって固くなった肌に細かく穴を開け、正常な肌の細胞での再生を促して行く事によって、肌の瘢痕を解消していくものです。

タトゥー除去で利用されるピコレーザーにも、ピコフラクセルというフラクショナルレーザーとしての照射方法があるため、まずは通常の照射によってタトゥーの色素を破壊し、その後でフラクショナルレーザーの照射を行って瘢痕化部分を治療していくという治療を同時に行う事が可能です。

従来のフラクセルレーザーはCO2レーザーというただ単に皮膚に穴を開けるだけのレーザーだったのに対して、ピコフラクセルレーザーはYagレーザー(タトゥー、刺青を除去する時に用いる波長)を用いて肌に穴をあける為、1度の来院でインクに対して2度の照射を行う事が出来ます。

したがってピコフラクセルの併用により瘢痕治療はもちろん、短期間でタトゥー、刺青除去を行えるというメリットまでもあります


このような治療を行う事で、色素の除去と瘢痕部分の解消を同時に実現し、キレイにタトゥーを除去する事ができます。

まだまだタトゥーのレーザー治療は色素を破壊する治療のみというクリニックも多いので、肌の瘢痕部分など色素以外のケアも同時に行うクリニックを選ぶ事が、タトゥーを本当にキレイに除去していくためのポイントとなります。


実は奥が深いタトゥー除去だからこそ、慎重なクリニック選びを

レーザーによるタトゥー除去を取り扱うクリニックは数多くありますが、中には単純にレーザーを照射して色素を破壊すれば良いという考えで治療を行っているところも多くあります。

レーザーによって色素を除去する治療としては、タトゥー以外にもシミ治療などがありますが、シミ治療にしてもタトゥー除去にしても、色素に対してレーザーを当てれば誰でも同じような治療結果が得られるというものではなく、しっかりと肌の状態を見極め、最適な治療法を選択する事が、キレイな治療結果を得るために必要不可欠です。

最適な治療を受けるためには、十分な症例を経験して豊富な知識をもった医師を見つける事がもっとも重要なポイントとなりますので、口コミやクリニックが発信している情報をもとに、本当に信頼できるクリニックを見つけて下さいね。

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