こうべ花時計クリニック

施術の解説

幼少時から左の瞼の開きが悪かったとのことなので先天性の眼瞼下垂なのでしょうが、本人いわく今まで手術を受けたことがなく、また瞼に傷跡もないことから今回が初回の手術と思われます。
かなり重度の下垂で、挙筋機能検査（親指で眉毛を強く抑え前頭筋の働きによる眉毛の挙上をブロックし、純粋に眼瞼挙筋の力だけでどれだけ瞼が開くかを調べる検査）で挙筋の機能はほぼ皆無なのがわかります。
押さえている指を離した状態での瞼裂高は約5㎜ほどですが、この瞼の開きは前頭筋の働きによるものと思われます。
このような挙筋機能が極めて弱い症例では挙筋前転術を行っても効果がないため、大腿筋膜移植による前頭筋吊り上げ術を行いました。
太腿を2～3cmほど切開し大腿筋膜をいう薄いシート状の組織を採取します。
私のやり方ではこれを3本のひも状の組織に分割し、皮下トンネルを通したこの組織を眉毛部分の前頭筋と瞼板の間に縫着し移植します。
つまり大腿筋膜のひも状の組織を介して前頭筋の働きをダイレクトに瞼に伝えるわけです。
これにより術前に比べて眉毛を少し挙上するだけで楽に瞼が開くようになります。