THE ONE.

施術の解説

ニキビの炎症が引いた後に「痕」として残ってしまうことがあり、「痕」にはいくつか種類があります。

①炎症後紅斑：皮膚の炎症による毛細血管の拡張・新生
②炎症後色素沈着：皮膚の炎症に伴って生じる皮膚のメラニン色素の異常増加
③萎縮性瘢痕：表皮が陥凹した状態
④肥厚性瘢痕：創の範囲を超えない盛り上がり
⑤ケロイド：創の病変を超えて盛り上がりがあるもの

今回はこの中で主に萎縮性瘢痕や毛穴におけるピコフラクショナルの効果を、症例を元にお話しします。

萎縮性瘢痕は形によってIce pick型、Rolling型、Boxcar型に分かれます。
萎縮性瘢痕で厄介なのは、炎症によって真皮組織が破壊されて線維化を生じ、組織収縮と表在筋腱膜層の癒着が起こり凹みが維持されること。
凹みを改善するにはこの表在筋腱膜とをつなぐ線維組織を断ち切ることが必要になります。
また瘢痕組織の周囲の皮膚は皮膚の弾性の低下と弛緩した状態が見られ、凹んでいるところの硬い部分と周りの緩んでいる部分のコントラストによってより瘢痕が目立ってしまうことも要因の一つとも考えられています。

フラクショナルレーザーはニキビ跡や毛穴にフラクショナルレーザーは皮膚に微細なマイクロレーザーを点状照射し皮膚を傷つけて、その傷を修復する際にコラーゲン・エラスチン・プロテオグリカンの再構築・増殖が起こり、凹んだ部分を浅くする、瘢痕周囲の弛緩した皮膚を引き締める、凹んだ部分の辺縁が削れて滑らかになることで瘢痕が目立ちにくくなることから、ニキビ跡や毛穴改善、肌のタイトニング、傷跡修正に用いられます。

さてTHE ONE.にあるDiscovery PICOでピコフラクショナルといった場合には1064nm QスイッチYAGレーザーでのフラクショナルを言います。通常のピコフラクショナルではablative（蒸散する・削る）作用はないのですが、Discovery PICOにはあります。
通常ablativeなレーザーといえば10600nm CO2レーザー、2940nm Er:YAGレーザー、2790nmEr:YSGGレーザーですが、これらはレーザーで穴を開けたように蒸散されるので強力に皮膚の再構築が進むため効果が高いのですが、ダウンタイムが長いことや、肌質によって色素沈着を起こしやすいことがデメリットでした。

このデメリットをピコ秒で照射することで、皮膚の再構築を強く促しつつも炎症後色素沈着を起こしにくいメリットがあります。
またnonablativeな作用として熱刺激によって真皮の真皮コラーゲンやエラスチン線維の新生と、真皮乳頭層におけるエラスチンネットワークの回復が行われます。
またこのnonablativeな作用の一つにLIOB(Laser-induced optical breakdown)があり、これは組織内に空砲を生じることでこれが修復していく過程で肌への再生効果に加えて、ニキビ跡で起こっている線維化によってできた組織収縮と表在筋腱膜層の癒着を断ち切る効果があります。
このablative/nonablativeな効果を出力を調整することでどちらも目的に合わせて使用することが出来ます。

さて長くなってしまいましたが今回のモニター様。お悩みの毛穴・ニキビ跡に対して行った治療は以下の通りです。
①フラクショナルレーザー(ablative/nonablative)
②ゼオスキン：トナー・デイリーPD・ミラミン
③経過中に老人性色素斑に対しSPOT照射

毛穴の縮小、フェイスラインに認めていた萎縮性瘢痕の凹凸感の改善が見られています。
また施術による色素沈着を出来るだけ予防するため、スキンケアでハイドロキノンを取り入れ、施術前よりもトーンアップしていますね。
ご参考になれば幸いです