肌が乾燥しているとシミになりやすい理由とケア方法
シミ取り・肝斑・毛穴治療 (シミのレーザー治療)
公開日:2019/01/11
そこで今回は、肌が乾燥しているとシミになりやすい理由と、シミケアの方法を紹介したいと思います。
監修 宇井千穂
やさしい美容皮膚科・皮フ科 秋葉原院/シミレーザー東京 院長
・日本美容皮膚科学会
・日本抗加齢医学会
・日本レーザー学会
・日本胎盤臨床医学会
・アラガンボトックスビスタ注入認定資格
・アラガンジュビダーム注入認定資格
肌にシミができる仕組み
皮膚は、一番外側から「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層に大きく分けられます。また、一番表面にある表皮は約0.2mmの薄さで、角質層、顆粒層、有棘層、基底層という4つの層から成り立っています。
表皮は主に表皮細胞(ケラチノサイト)からできており、この表皮細胞を作り出す工場の役割をしているのが基底層です。基底層の細胞は、血液から栄養素を受け取って細胞分裂を行う事で、新しい表皮細胞を作り出しています。
新しい表皮細胞が作られるとその上にある角質層から有棘層の細胞が押し上げられていき、徐々に細胞が肌表面に移動していきます。最終的に角質層の一番表面まで来ると、酵素の働きによって細胞が剥がされ、垢となって剥がれ落ちるため、基底層で新しい細胞が作られ続けても肌の厚さが極端に変わるという事はありません。この働きが肌のターンオーバーです。
そして、表皮には表皮細胞以外にも、色素細胞(メラノサイト)というものが存在しています。
色素細胞も基底層に存在する細胞ではありますが、その活動では新しい表皮細胞ではなく、メラニンと呼ばれる茶色や黒の色素を作り出します。
このメラニンは、日傘のような役割をするもので、表皮細胞の「核」を覆うように存在する事で、紫外線のダメージを吸収し、細胞が傷つかないようにするためのバリアとして働きます。
メラニンは外部からの刺激、特に紫外線による刺激を感知すると沢山作られるようになり、
基底層にあるメラノサイトの中で、チロシナーゼという酵素が増加し、メラニン色素が作り出されます。
メラニンがある事自体は、紫外線などの刺激から肌を守るために必要なものですが、増え過ぎるとケラチノサイトに送られるメラニンの量も増加して、肌の色を暗くくすませたり、日焼け状態にします。
また、メラニンは表皮細胞の核の周囲に入り込んでいるので、通常は肌のターンオーバーと共に排出されていくのですが、ターンオーバーの乱れなどによって適切に排出されなくなると、色素沈着を起こし、これがシミとなって現れます。
また、強い紫外線によって肌の細胞がダメージを受けると、メラニンが表皮内だけではなく、真皮内に入り込んでしまう場合もあります。
この場合も、表皮のターンオーバーによって排出されなくなる事から、シミとなって現れるようになります。
乾燥しているとシミになりやすい理由
肌は、適度な水分と油分を保つことによって、外部から雑菌などによるダメージが加わるのを防いでいます。そのため、肌が乾燥しているとバリア機能が低下してしまい、肌は刺激を受けやすくなります。
肌が刺激を受けやすい状況というのは、肌の細胞が傷つきやすい状況という事。そのため、肌はバリア機能を強化しようと、肌の防御機能の一つであるメラニンを多量に生成するようになります。
また、バリア機能が低下しているという事は、紫外線からのダメージも受けやすくなるという事でもあるため、紫外線刺激も浴びやすくなって、シミの元となるメラニンをどんどん作り出します。
秋冬は乾燥と美白ケアを怠るためシミが出来やすい
乾燥によってシミが出来やすくなる事は、資生堂の研究でも明らかにされていて、研究によると、シミ悪化因子というシミがある部分に多く存在する因子が、乾燥によっても発生するという事もがわかっています。
シミが出来ないようにケアをするというと、夏の日差しが強い時期というイメージが強いですが、紫外線が減ってきたからといって美白ケアを辞めてしまうと、「シミ・リバウンド」が起きてしまうとも言われています。
これは、紫外線量の多い春夏は美白ケアを怠らないことで、メラニンの生成も抑止されているのですが、美白ケアを辞めてしまう冬は、メラニン環境が美白ケアを始める前の状態に戻ってしまい、シミが増えるのに適した状態になるため、夏のように強力な紫外線でなくてもシミが作られてしまいやすくなるというものです。
シミ対策は夏だけでなく、乾燥が進む秋冬も気を抜けません。乾燥によってメラニンが生成される秋冬は、美白ケアに加え、乾燥対策も充分に行う事で、肌のダメージを防いでシミが出来ないようにケアを行いましょう。
乾燥によるシミのケア方法
乾燥によるシミ対策には、美白ケアと保湿が欠かせません。そこで、美白ケアと保湿をする際のポイントも紹介したいと思います。
①美白ケアをする
日焼け止めを塗る
肌を守るためには、少しでも紫外線を浴びないようにして、メラニンの生成や、肌のダメージを防ぎ、シミを増やさないことが大切です。そこで、欠かせないのが日焼け止めです。
紫外線は、太陽から放出されて地球に降り注ぐ光線の一種で、波長の長さからUV-A(A紫外線)、UV-B(B紫外線)、UV-C(C紫外線)の3つに分けられます。そのうち、UV-Cはオゾン層に吸収されて地球には届かないので、私たちの肌には直接関係ありません。
問題は、UV-AとUV-Bです。中でも波長の長いUV-Aは、曇りの日や屋内にいても真皮に届き、シミやシワなどの原因になります。一方、UV-Bは、長時間の日焼けで皮膚が赤くなるなど、炎症の原因になります。
日焼け止めは、SPFとPAで紫外線を防ぐ効果を表しています。SPFはSun Protection Factorの略で、UV-Bを防止する効果を数値で表しています。SPFの後ろにある数字が大きいほど、UV-Bの防止効果は高くなります。PAはProtection Grade of UVAの略で、UV-Aを防止する効果を表す目安となっています。PAの後ろについている+の数が多いほど効果は高くなり、PA+〜PA++++までの4段階に区別されます。
しかし、日焼け止めの成分は効果が強いもの程、肌に対して刺激になりやすいものも多いというのは事実。いくら効果が高いといっても、冬場の日常生活で、SPF50/PA++++の日焼け止めを毎日塗っていたら、肌にかかる負担は大きくなってしまうため、よくありません。
長時間紫外線を浴びないのであれば、SPF10~30/PA++程度の日焼け止めでも十分です。ただし、スノボーやスキーなどウィンタースポーツで長時間屋外にいるようであれば、「雪焼け」と言われるように、反射した光などで強い紫外線を浴びる状態となりやすいため、SPF30/PA+++以上の日焼け止めを使うと安心です。
日焼け止めは手のひらにたっぷりと広げ、顔の外から内へと少しずつ移動しながら、押し込むように塗っていきます。
肌に負担が少ないものを選ぶのであれば「紫外線散乱剤」が中心で利用されているものの方が安心ですが、紫外線散乱剤は汗などによって流れやすかったり、しっかりと効果を発揮させるためには白浮きするような塗り方が必要であったりというデメリットもあるので、こまめな塗り直しやメイクの邪魔をしないように使いたいという場合は紫外線吸収剤のものを利用するなどで使い分けましょう。
美白コスメを使う
美白ケアには、日焼け止めに加え、美白コスメも取り入れましょう。ダメージを受けた肌には炎症を鎮める抗炎症成分の入ったコスメを選ぶと良いでしょう。美白ケアには、メラニンの生成を抑制する美白有効成分の入ったコスメを使用するのがおすすめです。
美白有効成分とは、厚生労働省が「メラニンの生成を抑え、シミやソバカスを防ぐ」と認めた成分で、アルブチンやトラネキサム酸、コウジ酸、ニコチン酸アミド、プラセンタエキス、エラグ酸、ビタミンC誘導体など、20種類ほどの成分があります。
アルブチンはコケモモなどの植物に含まれる成分で、メラニンを作り出すチロシナーゼの働きを阻害することで、メラニンの過剰生成を抑制します。
トラネキサム酸はメラノサイトの活性化を抑制するとともに、肌荒れを抑制する作用もあります。
コウジ酸はお酒や醤油などの発酵食品に使われる麹から生み出されたもので、チロシナーゼの活性を抑制し、メラニンの生成を防ぐ作用があります。コウジ酸には活性酸素や炎症の発生を抑制する効果、黄ぐすみの原因となる糖化を防ぐ作用もあります。
ビタミンBの一種、ニコチン酸アミドは、メラニンの生成を抑え、シミやソバカスを防ぐほか、血行促進効果や肌荒れを改善する効果もあります。
プラセンタエキスは哺乳類の胎盤から抽出した成分で、美肌を作るために欠かせない成分が豊富に含まれています。チロシナーゼの働きを抑制するほか、抗炎症作用や活性酸素を除去する作用もあり、メラニンの生成を防いでくれます。新陳代謝も活発にすることから、肌に蓄積したメラニンを排出します。
ポリフェノールの一種であるエラグ酸には、チロシナーゼの活性を抑制する働きがあります。
ビタミンCは美白効果や抗酸化作用に優れた成分ですが、水に溶かすとすぐに酸化してしまうという弱点がありました。そこで開発されたのが、ビタミンC誘導体です。ビタミンC誘導体は肌に吸収された後に分解酵素でビタミンCへと変わります。酸化することなく、肌内部にビタミンCが浸透します。
美白効果が最も強い成分としては「肌の漂白剤」とも呼ばれるハイドロキノンがありますが、ハイドロキノンは効果の強いものだと医療機関でしか取り扱えず、また少なからず肌に刺激を及ぼしやすい成分でもあるため、専門の皮膚科医師の処方のもとで利用するようにしましょう。
②保湿をする
シミが出来やすくなる原因には乾燥も非常に大きな要因となりますので、秋冬のシミケアには美白ケアに加え、保湿ケアも忘れないでください。
保湿ケアは、化粧品などの利用によって肌に潤いを与えても、空気が乾燥していればすぐに水分が蒸発していってしまうため、まずは周囲の空気に湿度を持たせる必要があります。屋外では難しいですが、部屋の乾燥を防ぐためには、加湿器などを使って部屋の湿度を保ちましょう。
また、化粧水はたっぷり使って水分補給するだけではなく、肌の水分が蒸発しないように「保湿」成分をしっかりと使う事が大切です。
肌の水分を保湿して閉じ込める成分としては、セラミドやヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチン、といった、肌に元々存在する成分が安心です。特に、セラミドやナノ化されたヒアルロン酸、コラーゲンといった成分は角質層内に浸透し、肌内部から潤いを維持するために働いてくれますので、積極的に利用しましょう。
特に乾燥しやすい時期については、肌内部での保湿だけではなく、グリセリンやワセリンなどの成分で、肌表面に油分での膜を張るようなケアも必要です。
いくら化粧水をたっぷり使っても、上からフタをしなければ、化粧水は蒸発してしまいます。さらに言えば、化粧水が蒸発する際に肌の水分も一緒に蒸発するため、より肌が乾燥してしまいます。ですので、保湿美容液や乳液、美容クリームといった保湿ケアも省略しないでくださいね。
シミのケアと肌の乾燥対策には光治療も効果的
紫外線や乾燥の影響によって出来てしまったシミを解消するためには、フォトフェイシャルなどの光治療が効果的です。
光治療はシミのメラニン色素に反応する光を利用する事で、メラニン組織を破壊して排出されやすくするほか、肌の細胞を光の熱刺激によって活性化させる事で、ターンオーバーを促して新しい肌細胞が作られやすくします。
肌内部の保湿成分は肌のターンオーバーによって作られるため、光治療によって代謝を促す事は肌の乾燥対策にも効果的です。
光治療によって肌質を改善すると、シミがそもそも出来にくい状態を目指す事が出来ますので、是非利用してみてください。
まとめ
以上のように、シミは夏の強い紫外線刺激によって出来るだけでではなく、肌が乾燥することでもシミが増えるため、紫外線量が減ってくる季節も手を抜くことは出来ません。
秋冬の乾燥しやすい時期にできるシミを防ぐには、美白ケアと保湿ケアを行うことが大切です。美白ケアでは、紫外線を浴びないようにすることと美白有効成分の入ったコスメを使用する事を実施し、保湿ケアでは水分補給に加え、潤い成分を逃さないことが大切です。
紫外線だけがシミを増やす原因ではないので、一年中気を抜かず、シミ対策を続けてくださいね。