そばかすは思春期を過ぎれば消える? 消えない場合の治療法は?
シミ取り・肝斑・毛穴治療 (そばかす治療)
公開日:2019/03/14
監修 笠井美貴子
シロノクリニック 銀座 副院長
大森赤十字病院(内科、外科、皮膚科)で研修
2011年 東京女子医科大学病院皮膚科勤務
2012年 三井記念病院皮膚科勤務
2014年 都内美容クリニックにて経験を積み・・
2015年 シロノクリニックに入職
そばかすと一般的なシミの違い
シミの種類はさまざまで、そばかすもシミの仲間として分類されています。しかし、一般的なシミとそばかすには、ある特徴的な違いがあります。
まず、一般的にシミと呼ばれる「老人性色素斑」は、加齢によるターンオーバーの遅れや紫外線の影響によって現れ、その大きさや形は不規則で、大きいものであれば1㎝を超えるほどのものが、ぽつんと体の一部にあらわれます。
一方のそばかすでは、1~5mm程度の細かい円形のシミが、主に顔の中心線を挟んで左右広範囲いに現れます。
このように、一般的なシミとそばかすには見た目の違いがありますが、ほかにも大きな違いもあります。それは、先天性(遺伝)なのか後天性なのかという違いです。
一般的なシミの場合では長年紫外線を浴び続けてきたことがきっかけで、肌の老化とともに現れてくるという特徴がありますので、「後天性(生まれたあとの生活習慣などが強く影響するもの)」だということがわかります。
基本的に年齢を重ねた方に現れやすく、日々の紫外線ケアなどによって防ぐ事ができます。
それに対して、そばかすは幼年期の子供に多く見られる症状であり、遺伝的な要素による影響が大きい「先天性」のシミ。そのため、シミではあっても幼少期からあらわれやすく、また紫外線などのケアを十分に行っていても発生してしまう事があります。
こうして現れた幼年期の子供のそばかすは、思春期までに色素が濃くなることはあるものの、それ以降では徐々に薄くなる傾向にあります。
ただし、先天性とはいっても外部からの影響は受けるため、特に紫外線の影響を受け続けると肌がダメージを負ってしまう事などから、色素が薄くならないこともあります。
そばかすにも後天性のものがある
以上のように、基本的にはそばかすというと遺伝要素によって幼少期から発生する先天的なものを指しますが、一方で子供のときにはそばかすが気にならなかったのに、思春期以降になって現れるそばかすもあります。
もちろんこの場合でも遺伝的な要素が関係している可能性は考えられますが、強い紫外線を浴ないようにケアしていれば発生しない事などから、遺伝要素よりも生活習慣などの影響が強いものであるという事ができます。
後天的に表れたそばかすの場合、加齢とともに薄くなっていくという事はあまり期待できませんので、そばかすを薄くしていくためのケアや、医療機関での美白治療などが必要となります。
そばかすって消えるの?治療方法は?
そばかすが完全に消えるとは言い切れませんが、専門的な治療を受けることで、目立たないレベルにまで薄くすることは可能です。それでは、そばかす治療にはどのような種類があるのか見ていきましょう。
ケミカルピーリング
サリチル酸やグリコール酸などを配合した薬液をそばかす部分に塗り、ターンオーバーを早めてそばかすを改善する治療法です。この治療は顔全体のくすみ改善効果も期待できますが、効果の現れ方が緩やかであるため、気長に治療を受けていく必要があります。
そばかすを根本的に解消するというより、そばかすによって出来たメラニンの排出を促す事で色素を薄くしていくというケアになります。
ケミカルピーリングはターンオーバーを強制的に早めて行ってしまう治療法ですので、加齢によって古い角質層が蓄積し、ターンオーバーが遅くなっている肌タイプの人にはお勧めですが、ターンオーバーがある程度早く行われている若い年齢の方にはあまり必要ありません。
先天的なそばかすではなく、後天的なそばかすのケアとして取り入れると良いでしょう。
Qスイッチレーザー
Qスイッチレーザーという種類のレーザーをそばかす部分に照射して、そばかすの色素を剥がす治療法です。レーザーのパワーが強いため、1回の治療で高いそばかす改善効果を期待できますが、肌への刺激も強いため、治療後には医療用テープで治療部分を保護しておく必要がある場合も。この期間をダウンタイムと呼び、レーザー治療のダウンタイムはおよそ1週間程度必要になります。
レーザーは黒いそばかすの色素だけに反応を示すため、それ以外の皮膚組織を傷つける心配はありません。ダウンタイムが必要というデメリットはありますが、この治療法は直接そばかすの色素にアプローチする事からそばかす改善の確実性が高いため、最もおすすめできるでしょう。
ただし、注意が必要なのがそばかすと似ている症状の「肝斑」というシミで、肝斑の場合はレーザー治療など強い刺激となる治療を行う事で色素がより濃くなってしまう可能性があります。
シミのケアにはこうしたシミのタイプを見極められる経験や、治療技術が必要となりますので、口コミなどを参考に信頼できる医師を探す事が大切です。
光治療
レーザー治療とほぼ同様の原理でそばかすを改善できる治療法ですが、光にはレーザーほどのパワーはないため、レーザー治療よりも効果の現れ方が遅いという特徴があります。しかし、パワーが弱い分だけお肌が受ける刺激も弱いということですので、敏感肌の方にはおすすめできる治療法だといえるでしょう。
レーザーよりも刺激が少ない分、広範囲の治療に向いているため、そばかすがある範囲が広い場合にもおすすめです。
そばかすの解消にはセルフケアもしっかりと
そばかすを解消していくためには、体の外からのアプローチだけではなく、普段摂取する食品にも注意を払って体の内側からもしっかりケアをしましょう。
そばかすの改善には美白効果を期待できるビタミンCの摂取がおすすめできますので、少量であってもなるべく毎日摂取することを心がけてみてください。
それと同時に、紫外線対策も必ず行わなくてはなりません。先天性のそばかすであっても紫外線影響を受ければ色素が濃くなる可能性があります。お出かけの際には、日焼け止めや化粧下地、ファンデーションなどを活用して、お肌が直接紫外線を浴びないように注意しましょう。
左右対称のシミは「肝斑」の可能性
前述のように、そばかすと似ている症状に「肝斑」というシミがあります。
そばかすも肝斑も同じような場所にできる事が多いため間違いやすいのですが、そばかすが不規則に細かくちらばって現れるのに対し、肝斑は左右対称に現れるという特徴があります。
また、もう一つの見た目の違いとしてそばかすは輪郭がハッキリとした点状のシミが広く出来るのに対し、肝斑は輪郭がぼんやりとしたシミが広がるような形で作られます。
肝斑は、妊娠などでホルモンバランスに乱れが生じたときに現れることが多く、30代以降から発生しやすく、60代以降などは年齢とともに徐々に薄くなるといわれています。紫外線の影響を受けると色素が濃くなることもあります。
そばかすのようなシミが妊娠中に現れたら、それを即座にそばかすと決めつけるのではなく、肝斑という特殊なシミの可能性も疑ってみましょう。肝斑はレーザーなど強い刺激がある治療では余計に悪化する可能性があるため、肝斑をそばかすだと勘違いして間違ったケアを行うと、さらに症状を悪化させるリスクも高まります。
肝斑はトラネキサム酸内服薬や外用薬での治療となることが多いため、一般的なシミやそばかすとは別のシミとして捉える必要があります。
そばかすは適切な治療で改善できます
先天性のそばかすは思春期を超えたあたりから自然に薄くなるといわれていますが、紫外線などの影響を受け続けると色素が薄くならず、逆に濃くなることがあります。また、後天性のそばかすであっても紫外線の影響を受けやすいという点では、先天性と同様です。
いずれの場合であっても、そばかすは専門的な治療を受けることによって薄くすることが可能です。なかなか薄くならないそばかすでお困りなら、ひとまず美容外科や美容皮膚科に相談し、治療を前向きに検討してみてはいか