毛穴の開きにケミカルピーリングは効果があるの?
シミ取り・肝斑・毛穴治療 (毛穴の引き締め)
公開日:2018/11/15
毛穴トラブルの解消に向けた治療方法の一つとしてケミカルピーリングがありますが、そもそも毛穴の開きがなぜ発生するのか、そして解消するためにはどういう対策が必要なのかという事を知っておくと、ケミカルピーリングの上手な取り入れ方もより分かりやすくなります。
毛穴の開きが発生する原因は主に3種類
そもそも、私達を悩ませる「毛穴の開き」が何故発生するのか、その原因は大きく分けて3つの種類に分ける事が出来ます。
皮脂や角栓が詰まって開く「詰まり毛穴」
毛穴が開いてしまう原因の一つ目は、毛穴の内部に皮脂や角栓が詰まって毛穴を押し広げてしまう事でできる「詰まり毛穴」です。
詰まり毛穴というと広告のイメージなどからメイク汚れなどが毛穴の内部に詰まってしまっているものを想像しますが、毛穴に詰まってしまうものの殆どは皮脂や皮膚の古い角質が混ざってできる角栓。メイクなどによる汚れは毛穴の出口を塞いでしまって毛穴詰まりの原因となりますが、毛穴の内部に詰まるものは基本的に肌が自分で分泌している皮脂なのです。
角栓が毛穴に詰まって出来るトラブルといえば「にきび」が思い浮かぶと思いますが、毛穴に角栓が詰まって押し広げている状態は、まさにニキビの一歩手前といった状態。角栓やつまった皮脂を栄養にして皮膚の常在菌が増殖し、炎症を引き起こすとニキビとなります。
また、毛穴の詰まりは毛穴を押し広げるだけではなく、毛穴周辺の肌の代謝も悪化させる事から、毛穴周囲の肌が十分な厚みに育たず、毛穴がすり鉢状に広がったように見えるようにもなります。
詰まりによって毛穴が開いてしまっている場合、単純にその詰まりを解消する事が出来れば毛穴の開きも解消でき、また清潔な状態に保たれている事で毛穴周囲の角質も充分に育つので、丁寧な洗顔などが予防・解消のために重要となります。
にきび痕や傷跡などのクレーター
二つ目の原因が、にきび痕や傷跡などに出来てしまう、いわゆるクレーターです。
傷跡に出来る場合は毛穴と特に関係が無い位置にできますが、ニキビ痕として出来る場合はニキビが毛穴に対して発生するトラブルなので、毛穴の開きのような状態で出来るようになります。
にきびなどのトラブルが発生した後は、通常であれば肌の代謝によって炎症を起こした皮膚が新しく作り直されるため痕が残る事はないのですが、ニキビの炎症が悪化して肌の深い部分、特に真皮層部分にまで達してしまうと、肌の再生機能が上手に働かなくなって元通りになる事が出来ず、クレーター状に残ってしまう場合があります。
もう少し詳しく説明すると、クレーター状になってしまう事を「瘢痕化」とも言いますが、真皮まで炎症が広がってダメージを受けた肌の細胞が、再生機能によって復活する際にコラーゲンの消失により柔軟性を失った組織が作られ、肌にへこみが出来た状態で固まってしまうのです。
クレーター状態となっている肌については、一度肌の細胞に小さな穴を開け、この瘢痕化した状態を壊してから肌の再生をさせていく必要があるため、家庭で出来るスキンケアなどでは中々解消することができません。
しっかりと解消するためには、クリニックでのレーザー治療や強いケミカルピーリングなどの施術が必要となります。
加齢などによって生じるたるみが原因の開き
3つ目の原因が、加齢によって生じる肌のたるみが引き起こす毛穴の開きです。
たるみというと肌が重力に負けて垂れ下がってくるだけのイメージですが、肌が下がるという事は、同時に毛穴も下に引っ張られているような状態となるため、毛穴が涙型に開いてしまいます。
また、肌のたるみは真皮層部分のコラーゲンやエラスチンといった肌の弾力を保つための成分が減少する事によって引き起こされますが、コラーゲンやエラスチンの減少はシワが作られる大きな原因でもあります。
毛穴部分とこのシワが重なり、毛穴がつながったような状態になると一つの大きな毛穴のように見える事となり、帯のようにつながった大きな毛穴として「帯状毛穴」と呼ばれるような状態になるケースもあります。
肌のたるみが原因ですので、肌の代謝を促してコラーゲンを増やし、肌にハリを持たせるといった方法が根本ケアに繋がります。
たるみ毛穴は肌にたるみが引き起こされている事が原因で発生しているため、指で肌を少し持ち上げるようにすると目立たなくなるのが特徴です。
ここまでに説明した「詰まり毛穴」、「クレーター毛穴」、「たるみ毛穴」はそれぞれ原因も違えば解消法も違うので、まずは一度自分の毛穴トラブルがどのタイプなのかをしっかり確認してからケアをするようにしましょう。
ケミカルピーリングが効果的なのは「詰まり毛穴」
今回は、毛穴トラブルの解決法の内、クリニックだけではなくエステサロンなどでも行われる事があるピーリング施術についてご紹介します。
毛穴開きは大きくわけて3つの原因があると紹介しましたが、この内ケミカルピーリングが効果を発揮しやすいのは毛穴の汚れなどによって出来る「詰まり毛穴」。
詰まり毛穴は毛穴が角栓汚れによって押し広げられ、また汚れが原因となって毛穴周囲の皮膚がすり鉢状に薄くなってしまう事が原因のもの。
ケミカルピーリングの施術は肌表面を「酸」などによって溶かし、古い角質を剥がす事によって行う施術ですので、ケミカルピーリングを受ければ毛穴の詰まりを引き起こしていた角栓が除去され、毛穴の詰まりも容易に解消できます。
また、ケミカルピーリングによって肌表面の古い角質を均一に除去する事で、新しい肌の再生「ターンオーバー」が促進され、すり鉢状となっていた毛穴周辺の角質層も早く健康的な状態に戻るようになります。
このようにケミカルピーリングは角栓詰まりのトラブル解消に効果的なため、ニキビなどの肌トラブルの防止にも有効です。
ただし、ケミカルピーリングは肌表面を強制的に剥がしてしまう方法であるため、施術後しばらくの間は肌が乾燥して刺激を受けやすくなるという副作用もあります。
日常生活に支障をきたすというようなダウンタイムは存在しませんが、いつも以上に保湿を始めとしたスキンケアを入念に行う必要がありますので、治療を受けるだけではなく日々のケアの見直しもしっかりと気を配るようにしましょう。
ケミカルピーリングで角栓のトラブルを解消しても、生活習慣などが変わっていなければトラブルは再発してきますので、ピーリングはあくまでもスペシャルケアとして、日ごろのケアを見直す事が毛穴の開きを根本的に解消していくためには重要です。
クレーター毛穴にも有効なピーリングがある
ケミカルピーリングは詰まり毛穴に有効な手法ですが、中にはクレーター毛穴に有効なピーリングもあります。
毛穴の開き3タイプの紹介で、クレータータイプの毛穴は肌の深い部分で「瘢痕化」してしまっている細胞を破壊しなければ解消できないという事はお伝えしましたが、皮膚科クリニックで行われているピーリングの中には肌の深い部分まで細胞を溶かして再生を促すものがあり、その一つが「TCAピーリング(トリクロロ酢酸ピーリング)」というものです。
ケミカルピーリングはその殆どが肌表面の古い角質層を溶かす程度の非常に優しい酸によって行われますが、TCAピーリングは強めの酸を使う事で、皮膚の深い部分まで溶かす事ができるピーリング手法です。
皮膚の深くまで溶かして再生を促すため、ニキビ痕にできたクレーターの瘢痕化部分にも作用する事が可能となり、クレーターによる毛穴の開きを改善する事が出来ます。
ただし、クレーターを完全に回復させる事までは難しく、クレーターによって出来る肌の凹凸を少なくして、目立たなくしていくというのが、主な効果となります。
また、皮膚の深い部分まで溶かしていくため、刺激や施術後の乾燥など副作用も強い事がデメリットの一つ。そのため、ケミカルピーリングというと顔全体に行っていくイメージですが、TCAピーリングの場合はクレーターが気になる箇所などをピンポイントで施術していく形となります。
TCAピーリングのように強い施術は医療機関でないと行う事が出来ませんので、まずは一度取り扱いの皮膚科クリニックで相談してみてください。
たるみ毛穴にはケミカルピーリングが効果を発揮しにくい
毛穴の開きを引き起こす原因の内でも、たるみによる毛穴の開きに対しては、残念ながらケミカルピーリングは効果を発揮しにくいといえます。
というのも、たるみ毛穴は肌表面の表皮層ではなく、奥にある真皮層におけるコラーゲンやエラスチンの減少が原因となっているもの。
ケミカルピーリングは主に表皮層に対してアプローチを行い、肌のターンオーバーを促進していくためのものですので、肌のたるみを解消する方法としてはむいていないのです。
ただし、ケミカルピーリングは肌のバリア機能を一時的に弱める効果があるので、イオン導入など別の治療も一緒に組み合わせる場合には意味があるといえます。
イオン導入などの施術の中には、肌のコラーゲン生成を促すような成分の導入を行うものがあり、ケミカルピーリング後の肌への美容成分吸収力が高いタイミングでこの施術を行う事で、効果を発揮しやすい状態にする事ができます。
肌表面のターンオーバー促進をケミカルピーリングで行い、肌内部のケアを別の治療で行うというイメージで組み合わせる事で相乗効果が得られますので、検討してみると良いでしょう。
間違ったピーリングは毛穴トラブルを悪化させる場合も
以上のように、毛穴トラブルの種類によっては効果的なピーリングですが、注意するべき点としては、間違った方法によるピーリングはむしろ毛穴の開きを促進してしまう可能性もあるという事です。
ピーリングにも色々な方法がありますが、どの方法でも基本的な効果は同じで、肌表面にある古い角質層をピーリングによって強制的に溶かし剥がす事で、古い角質によって発生している角栓のつまりやくすみといったトラブルの解消を行い、また肌のターンオーバーを促進する作用によって美しい肌を育てていくというもの。
しかし、これはピーリングが正しく行われ、且つピーリング後のスキンケアについても充分に行われる事が前提の話であって、間違えた方法では逆効果。
例えば、そもそも肌に古い角質などないような状態でピーリングをしてしまえば、ただ単に肌のバリア機能を低下させてダメージを与えるだけになりますし、古い角質が残っている箇所に正しくピーリングを行ったとしても、ピーリング後の肌が乾燥しやすい状態をそのままにしておけば、肌が余計に外部刺激からのダメージを受けやすくなって、肌老化や肌トラブルが引き起こされやすくなります。
ピーリング施術はクリニックだけではなくエステサロンなどでも行われていますし、それこそ酸性の強いピーリング石鹸なども市販されていますが、こうした肌の状態を適切に判断できるかどうかという点や、肌にトラブルが発生した場合に様々な面からケアを行う事ができるかという点で考えれば、なるべくクリニックでしっかりとした施術を受けた方が良いといえるでしょう。
ピーリングは正しく使えばスキンケアの非常に強い味方となりますので、自分自身の肌の状態をしっかりと知り、正しいケア方法を身に着けるという意味でも、まずは一度お近くの皮膚科クリニックなどで相談してみてください。