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毛穴を改善するスキンケアコスメは効果があるのか

シミ取り・肝斑・毛穴治療 (毛穴の引き締め)

解説 口コミ広場編集部
監修 雑賀知歩 医師

公開日:2019/02/06


小鼻周りや頬などにひどく開放している毛穴。ドラッグストアやコスメストアに行けば毛穴改善効果があるとされるスキンケアコスメが多く発売されていますが、果たしてこれらを使ったセルフケアは毛穴改善効果はあるのでしょうか。
今回は、毛穴の悩みを改善するスキンケアコスメの選び方や効果についてと、セルフケアで改善が困難な毛穴の治療法などの情報を含め徹底解説いたします。

監修 雑賀知歩

広島プルミエクリニック 院長

2003年 佐賀大学医学部医学科卒業
2003年 佐賀大学附属病院形成外科 入局
2004年 聖マリア病院研修
2005年 昭和大学形成外科入局
2006年 千葉県こども病院形成外科
2007年 日本美容外科学会JSAPS会員
2008年 聖マリア病院形成外科 美容皮膚科外来担当
2011年 ドーズ美容外科(男たちの美容外科)広島院 勤務
     美容皮膚科・頭髪治療を中心とし た治療に携わる
2016年 広島プルミエクリニック美容皮膚科 院長就任
2017年 広島プルミエクリニック院長就任

毛穴の開き4つの原因

毛穴が目立つというと、何となく「毛穴が開いたままの状態になっている」とイメージしていませんか?

よく、毛穴を引き締めるためのケアなどという言葉が出てきますが、実は毛穴というのは体温調節のために開いたり閉じたりする事はあっても、開きっぱなしの状態になったりという事はありません。そのため、頑張ってケアして毛穴を閉じなければ! というケアは、そもそも間違っている事が多いのです。


毛穴が開いて見えるのは、主に下記の4ターンがあります。


汚れが詰まって押し広げられている

毛穴そのものが開いている唯一の状態が、汚れや角栓によって押し広げられる状態です。

毛穴内部に汚れや皮脂が詰まってしまい、毛穴を内部から押し広げている「にきび」の状態では毛穴が開きっぱなしに近い形となりますが、この場合は詰まっている角栓を除去すれば、自然と毛穴の開きは解消されます。


毛穴周辺の肌がすり鉢状に削れている

毛穴の開きとして多いパターンがこちらで、毛穴自体が開いているのではなく、毛穴周辺の細胞が皮脂によるダメージなどによってすり鉢状に広がり、毛穴が開いて見えるものです。

過剰なケアなどによって未熟な細胞が肌表面に出てきてしまい、肌のバリア機能が低下する事などによって発生しやすいものです。

毛穴パックなどのケアもトラブルの原因となるため、過剰なケアを中止して肌の育成を行う事が大切です。


たるみによって毛穴が広がる

肌のバリア機能が低下し、強い紫外線などを浴びると肌のハリが失われ、たるみやすくなります。

すると肌のたるみと同時に毛穴も重力方向に引っ張られるため、開いて見えるようになります。

解消のためには肌のハリを保つケアが重要です。


ニキビ跡に出来るクレーター

ニキビや怪我などによって、肌が深く真皮層まで傷つくと、瘢痕化といって肌がくぼんだ状態で硬くなる変化を引き起こす場合があります。

とくにニキビは毛穴で発生する肌トラブルですので、ニキビが深く進行した場合、毛穴周囲がくぼんだ状態で固まってしまい、毛穴が目立つようになります。

クレーターの場合は皮膚科などでの専門的な治療が必要です。


肌がちゃんとターンオーバーする状態になれば目立つ毛穴は改善する

以上のように毛穴が広がる要因にはいくつかのタイプがありますが、その多くは「肌のターンオーバーが順調に機能していない」ために引き起こされるという共通点があります。

人間の皮膚とは、一定の周期で細胞の再生が行われています。これを肌のターンオーバーと呼びますが、代謝が活発で正常に行われている状態であれば28日周期で皮膚の細胞が入れ替わり、常に新しく健康な細胞で保たれます。


ターンオーバーの仕組みとは?

人間の皮膚は上から以下の3層の構造になっています。


・表皮

・真皮

・皮下組織


そして、肌がターンオーバーによって入れ替わりを起こすのはこの「表皮」部分の細胞です。

表皮部分はさらに以下の4層に分かれています。


・角質層

・顆粒層

・有棘層

・基底層


新しい細胞はこの「基底層」から生まれ、更に新しく生まれた細胞に押し上げられるようにして、有棘層、顆粒層、そして角質層へと移動していきます。

また、細胞が顆粒層から角質層に移動する際には、細胞の中からは「核」が失われて細胞が死んだ細胞となり、同時に外に細胞間脂質という保湿成分が出ていき、細胞の中では天然保湿因子が作られて肌の強力な保湿機能、バリア機能として働くようになります。

そして、角質層の一番表面まで移動した細胞は垢となって剥がれ落ち、肌の細胞の厚みはある程度一定の状態で保たれるようになっています。


このようなサイクルで肌が生まれ変わり続ける事をターンオーバーといいますが、加齢や食生活、睡眠不足、ストレス、紫外線によるダメージ、ホルモンバランスの乱れなどあらゆる要因によりこのターンオーバーの周期が狂ってしまうことがあります。

ターンオーバーの周期が乱れると、例えば中々剥がれ落ちなくなった古い角質が毛穴を詰まらせてしまったり、必要な細胞が作られずに保湿成分が減少して乾燥しやすくなったりといったトラブルへと繋がってしまいます。


肌のターンオーバーの周期が乱れるというのはどういう事?

一般的に、ターンオーバーは年齢が進むほど遅くなると言われており、「年齢x日数」(例;40歳なら40日に1回)などと例えられます。しかし、これも個人差があり逆にターンオーバーが異常に早過ぎてしまう人もいます。


ターンオーバーが遅くなる場合

加齢や、肌の細胞が紫外線のダメージを受けて代謝が低下するなどの影響により、新しい細胞が作られなくなってくると、新しい細胞が出来るまでの時間が長くなる分、古い細胞が残り続けるようになり、ターンオーバーが遅くなります。

ターンオーバーが遅くなると肌の潤い成分があまり作られなくなるため、肌は潤いを失って乾燥しがちになっていきます。

そして、古い角質が垢になってはがれるためには実は十分な「水分」が重要であるため、潤いの少ない肌では古い角質が剥がれ落ちず、残り続ける状態となります。

この流れによって、ターンオーバーが遅くなると、角質層の厚みが増し、肌がゴワつき、キメも荒くなり、毛穴も詰まりやすくなります。


ターンオーバーが早くなる場合

一方で、過剰な洗顔などによって肌に必要な角質が削られてしまうと、不足したバリア機能を補おうとして、急激に新しい細胞が作られる形となり、ターンオーバーが早くなりすぎる場合があります。

新しい細胞が作られる事自体が大きなトラブルになる事はありませんが、問題は「必要な角質を削り取っている」状態で、新しく作られた細胞はある程度時間をかけて細胞間脂質や天然保湿因子といった保湿成分を作り出すため、生まれてから十分な時間を経ていない細胞が皮膚表面に出てきてしまうと、しっかりと保湿機能が発揮されない肌になってしまいます。

その結果、肌は乾燥しやすく、また紫外線や細菌など外部からの刺激に対するバリア機能も弱い状態となってしまうため、毛穴周辺の細胞が皮脂によって作られた脂肪酸などで削られてしまいやすくなり、すり鉢状となるほか、真皮が紫外線ダメージを受けやすくなるため、ハリが失われてたるみ毛穴が引き起こされやすくなります。


肌のターンオーバーを整えるスキンケアコスメ

毛穴の開きを解消するためには、ターンオーバーの乱れを解消する事がとても大切です。では、実際にターンオーバーの乱れを解消するために役立つコスメにはどのようなものがあるのでしょうか。


ターンオーバーを促す成長因子「EGF」

EGFとは「Epidermal Growth Factor」の略で、アンチエイジング効果が期待できる成分として注目を集めています。1986年にアメリカのコーエン博士によって発見され、博士はこの研究によってノーベル賞を受賞しています。

日本語では「上皮成長因子」と呼ばれており、要するに皮膚の上皮細胞(表皮の細胞)を再生させる因子のことです。


EGFは、特に皮膚の上皮に働きかけることで、新しい細胞の生成を促し、肌の代謝、ターンオーバーを促進します。これにより、新しい細胞が作られて肌の保湿成分が増える他、古い角質が体外に適切に排出されていきやすくなるため、毛穴の開きや、肌のごわつき、ニキビなどの改善が期待できます。

そして、それらは日本では2005年頃から厚生労働省が化粧品の成分としての配合を認めるようになり、今日ではEGF配合入りの様々な種類のスキンケア商品が発売されています。


EGF配合のコスメのパッケージ裏には「ヒトオリゴペプチド-1」または「ヒト遺伝子組換オリゴペプチド-1」と記載されています。近頃ではEGF、アンチエイジングブームに乗っ取り、実際にはEGFが大して含まれていないコスメ商品も多く発売されていますので、高い効果を求めるのであればEGF配合基準値が「1ml中に0.1μmg以上配合」のものを選ぶようにしましょう。


EGFに近い働きのプロテオグリカン

プロテオグリカンとは、ムコタンパク質の一種で、たんぱく質と糖鎖(糖の塊が繋がったもの)が合わさったもので、特に動物の皮膚や軟骨に多く含まれています。美肌に欠かせないコラーゲンなどと同様、体内の細胞と細胞の間を満たす「細胞外マトリックス」とよばれる成分の1つでもあります。

糖類のため、吸水性が高く、ヒアルロン酸より約30%も高い吸水力を持っており、またEGF(上皮細胞増殖因子)と極めて類似した効果が期待できることが実証されています。

プロテオグリカンのこの働きにより、細胞の生まれ変わりや成長を促進し、肌のターンオーバーを正常に整えます。また、高い抗酸化作用に優れていることでも知られています。


乾燥によるターンオーバーの乱れにはヒトセラミドを

前述のように、肌のターンオーバーが乱れ、特に周期が早すぎてしまうと肌を守るためのバリア機能、保湿機能を持った細胞が未成熟のまま表皮に押し上げられ、乾燥の悪循環を作ることになります。肌の乾燥を防ぐ対策としては保湿しかありませんが、中でも最も効果を発揮しやすい成分がセラミドです。

人間の皮膚の中には、肌の水分と油分を細胞と細胞の中で抱え込む細胞間脂質というのが存在します。セラミドとは、人間の皮膚の一番表側である表皮の角質層部分に存在する物質でこの細胞間脂質の50%を占めており、肌の表皮部分の保湿や弾力をキープする上では欠かせない存在なのです。


セラミドにも植物性や天然セラミドなど多くの種類がありますが、その中でも最も高い保湿効果を発揮しやすい成分がヒトセラミドです。ヒトセラミドは元々人の肌に存在するセラミドと同じ構造であるため、肌への親和性が高く、高い保湿効果を発揮します。

このヒトセラミドにもいくつか種類があり、コスメに使用されているヒトセラミドは主に以下の4種類になります。

自分の肌質や、目的とする効果に適したセラミドが配合されているものを選ぶようにしましょう。


・セラミド1―セラミドEOP

  高バリア機能・高保水機能


・セラミド2―セラミドNG・セラミドNS

  高保水機能


・セラミド3―セラミドNP

  保水機能、シワ改善


・セラミド6・6Ⅱ―セラミドAP

  保水機能・シワ改善・新陳代謝促進


以上のようなスキンケアコスメを積極的に利用し、肌のターンオーバーを正常に保つことで、肌のバリア機能を正常に保ち、毛穴のトラブルを防止、改善していく事が出来ます。


たるみや炎症跡など真皮部分からの開きはセルフケアが難しい

これまで、肌のターンオーバーが正常に機能していないことで、毛穴に詰まった汚れや角質の排出、肌の乾燥やバリア機能の低下により毛穴が目立ってしまっている人に有効なセルフケアについてお話しさせていただきましたが、これらは主に皮膚の表面に近い「角質層」でのトラブルに対するケア方法です。

一方で、前述のように毛穴が目立つ原因には「たるみ毛穴」や「クレーター毛穴」のように、表皮より深い部分にある「真皮層」でのトラブルが原因になっている場合もあり、この場合はいくら肌のターンオーバーを整えても、目立ってしまった毛穴を解消する事は難しくなります。

ここからは、こうした毛穴トラブルの解消として有効なクリニックでの治療方法をご紹介します。


たるみ毛穴にはコラーゲン生成を促す治療を

たるみが原因による毛穴に有効な解消方法としては、肌内部のコラーゲン生成を促進する治療があげられます。

肌のコラーゲン生成を促す治療には「光治療(IPL光治療)」「レーザー治療」「RF(ラジオ波)治療」「超音波(HIFU)治療」などがありますが、いずれも共通してコラーゲンを作っている真皮層の「線維芽細胞」に刺激を与える事で、新しいコラーゲンの生成を促進します。

真皮層内のコラーゲン量が増殖する事で肌内部のハリがうまれ、たるみ毛穴を解消していいきます。


ただし、治療によってコラーゲンが増殖しても、一定期間が過ぎれば再度コラーゲン量は減少してしまうので、効果の持続は長いものでも半年から一年程度とされています。

治療の効果が持続する期間や、治療効果の度合いについては光治療が最も弱く、次いでレーザー治療、そしてRF治療と超音波治療は同程度となります。これは治療の際に刺激を与える深さや程度がそれぞれの治療によって異なるためで、効果が高くなる程、治療の際の刺激も強くなります。


炎症跡はレーザー治療や強いピーリングを

ニキビの炎症がもとで真皮が傷つき、「瘢痕化を引き起こしてしまってできるクレーターを解消するためには、瘢痕化を起こしている部分を再度破壊し、正常な細胞に回復させる必要があります。

その為に有効な治療方法が、レーザー治療と強いピーリング治療です。


フラクショナルレーザー治療

ニキビ炎症後にできるクレーターに効果的な治療法の一つが、フラクショナルレーザーです。

フラクショナルレーザーとは、細いレーザー光を広範囲に当てていくレーザー治療の方法で、レーザーの熱によって、真皮層内0.5~1mm程度の深さに微小な細い穴を開けるものです。

細い穴が開いた細胞は、治療後に収縮を起こして引き締まり、また刺激を受けた細胞が肌を回復させようとコラーゲンの生成を行います。イメージとしては、古い皮膚を細かく壊し、その部分で肌を入れ替え、再生させる形です。

フラクショナルレーザーは、1回の照射で平均10~15%ほどの肌が再生するため、この方法で症状の完治を目指すには、3~4週間の期間をおいてから全部で5~6回の通院が必要になります。

フラクショナルレーザーといっても、より深い部分まで熱刺激を与えるCO2レーザーによるものや、表皮に対してダメージが無く、治療後のダウンタイムが軽微なエルビウムレーザーなど色々な種類があります。


強いケミカルピーリング

ケミカルピーリングとは、グリコール酸や乳酸、サリチル酸などの薬剤を使用し、角質を剥離させ、毛穴に詰まった汚れや古い角質や角栓を溶かす治療法です。ケミカルピーリングを行うことで、毛穴に詰まった古い角質を剥がすのと同時に、肌のターンオーバーを促進させ、ニキビの原因となるアクネ菌の殺菌、皮脂分泌の抑制効果も期待できます。

ただし、一般的なケミカルピーリングでは真皮層にまで影響する効果は得られず、ニキビ跡(クレーター)の改善を期待するには効果が弱いため、さらに強めのケミカルピーリングを行う必要があります。

その代表がトリクロロ酢酸ピーリング(TCAピーリング)で、非常に強い酸によって瘢痕化部分の細胞を破壊し、正常なものに入れ替えていくという治療法です。


ただし、強いピーリングはデメリットも大きく、場合によっては余計にクレーターが目立ってしまう可能性がある事や、上手くいっても完全な解消が難しい場合もあります。

そのため、クレータータイプのニキビ跡ケアとしては、レーザーによる治療が中心となります。


まとめ

今回は毛穴の悩みを改善するスキンケアコスメの選び方と医療機関で行っている毛穴の治療の最新情報などを含め詳しく解説させていただきました。

毛穴の悩みをセルフケアでできる限り改善するには、正しい洗顔により毛穴の詰まりを解消する事と、肌のターンオーバーを促進させること、保湿ケアを徹底することが大切となります。毛穴は勝手に開きっぱなしになるわけではないので、「引き締め」という言葉に踊らされず、健康な肌を保つためのケアを心がけるようにしましょう。

しかし、それでは解消されない毛穴のトラブルもありますので、たるみ毛穴やニキビ炎症跡などセルフケアで困難な毛穴の症状を抱えている人は、早めに毛穴トラブルを解消するためにも、一度医療機関での適切な治療方法を相談されることをお勧めします。

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