埋没法をした後に腫れる理由と腫れを抑えるための注意点
目・二重整形 (二重埋没法)
公開日:2018/11/29
しかし、いくらお手軽な二重整形の埋没法と言えど、体の組織に「麻酔」、「糸」、「針」を使用して行う施術であることには変わりがない為、ダウンタイムという術後回復期間が必要になります。その顕著な術後症状の一つが、「腫れ」です。
それにしても、この腫れは一体なぜ起こるのでしょうか?また、この腫れを抑えるために何か事前対策が打てないのでしょうか?
今回は、二重整形埋没法の術後症状である「腫れ」について、あらゆる角度から徹底解説していきます。
監修 藤本卓也
こまちクリニック 院長
大阪医科大学付属病院形成外科にて田嶋定夫教授の最後の門下生として研修医時代より頭蓋顎顔面領域の治療に従事する。
その後、大阪市立総合医療センター形成外科研究医、大阪市立大学形成外科研究医を経て大阪市立総合医療センター形成外科医長となる。
顔面の先天異常の手術を専門とし、頭蓋顎顔面外科学会ガイドライン作成にも委員としてたずさわる。
その後、日本美容医療協会所属クリニックにて年間500件を超える美容外科手術を経験し、 “こまちくりにっく”院長に就任する。
形成外科と美容外科の技術を融合し、美容外科の修正手術や顔面先天異常の成人手術など難易度の高い手術もこなす。
そもそも何故腫れ(内出血)がおこるのか
二重整形施術で腫れが出てくることは、マイナスイメージばかりに捕らえられがちですが、 そもそも、体に「手術」というものを行うと、腫れが起こるのは当然なのです。
人間の体には、病気や怪我に対し、自ら回復する能力=自然治癒力が備わっているため、むしろ、痛みや腫れが出てくる事は、回復するための通常経過となりますので、お体が正常に機能している証拠なのです。
通常、この腫れの症状は、術後1週間程である程度治ってくるはずですが、この腫れは、ひどい人とそうでない人の個人差がかなりあります。では、個人差がここまで出てしまうのは、その人の元々の体質が原因かと言うと、それだけではありません。それには、埋没法の施術方法や、担当してもらうドクターの技量などによっても違いが出てきます。
ただ、二重整形の術後に腫れが出てくることは、ある程度仕方がないことだとしても、目元は顔の最も目立つ箇所ですから、何日もひどい腫れが続くようでは、とても人前に出れず、学校や仕事に行くために外出することも躊躇してしまいます。
できることなら、術後の腫れは少ないに越したことはありません。そこで、元々の体質の原因以外に術後の腫れが増してしまう要素を以下にまとめました。
①術時の内出血 ②糸の結び方と瞼の扱い方 ③瞼板法か挙筋法 |
この①と②は、どちらもドクターの技術により左右されやすい要素になります。
まず、①の内出血は、どちらかというと体質的に血管が細い人が起きやすい症状ではあるのですが、そういった体質で無い方でも、施術時に瞼の血管に糸が何度か強めに触れてしまった場合などによく見受けられます。つまり、血管が細いかどうかという体質的な問題だけが原因ではなく、これも結局は施術時に糸や針が血管に触れないようにするなど、ドクターの技量である程度回避ができます。
深部にある血管は見えないので、気をつけていても傷つけてしまう可能性はあります。ただ、雑に勢いよく糸をかけると損傷しやすくなります。血管は弾力があるので、ある程度ゆっくり丁寧に針を通すことにより血管が逃げて内出血のリスクが減ります。つまり手術が早ければ早い程、上手いということではありません。腫れをすくなくするにはゆっくり丁寧にすることも必要です。
ドクターの技量が影響する点といえば、②の糸の結び方と瞼の扱い方に関する違いの方が、術後の腫れにはかなり密接に関係します。 例えば、糸を留める際、糸を結んでしまう力が強いと、組織を圧迫しやすくなるため当然腫れは起きやすくなります。
それでは反対に、緩く結べば良いのかというとそうではなく、結び方が緩いと今度は糸が余計なとこから出てきてしまい、きっちりとした二重のラインを作ることができなくなるため、二重整形としての完成度が落ちてしまいます。
このため、医師が埋没法施術に対して十分な知見、技量を持っていて、適切な強さで糸を結ぶ事ができるかどうかが腫れの大きさに強く影響してくるのです。
そして瞼の扱い方も大切です。瞼は非常に皮膚の薄い組織です。そこに大きなダメージがかかると腫れてしまいます。腕や足を打撲して内出血がなくても腫れてきますよね?それと同じで瞼にダメージがかかると腫れてしまうのです。埋没手術の場合であれば、瞼をひっくり返す時に強くつかみ過ぎたり、引っ張り過ぎた入りしても腫れが大きくなってしまいます。瞼は優しく丁寧に扱うことが大切です。
また、糸の結び方と腫れという関係ついては、埋没法の施術法である③の瞼板法か挙筋法のどちらで施術を行ったかによっても異なりますので、次の項目で詳しく述べていきましょう。
埋没法には腫れやすい「挙筋法」と腫れにくい「瞼板法」がある
まず、瞼板法とは、瞼の裏にある瞼板というところに糸を引っ掛け皮膚と繋ぎ、1~2箇所ほど点状に糸で留める方法です。そして、挙筋法とは、目を見開く際の筋肉である眼瞼挙筋と瞼の皮膚を、糸で線状に結んで留める方法です。
同じ埋没法でも、これらのどちらを選択したかよって、腫れが出やすいレベルに違いがあり、一般的には挙筋法がより腫れやすいと言われています。
それでは、それぞれの施術法別にこの点を比較してみましょう。
挙筋法が腫れやすい理由
挙筋法は、瞼の裏側にある瞼板を通り越し、さらに瞼裏側奥にあたる、柔らかい挙筋に糸を線状に引っ掛けて皮膚と固定するため、糸がかなり奥の方に埋め込まれることになります。その為、瞼板に糸を点で留めるだけの瞼板法よりは、取れにくいメリットがありますが、その分、どうしても腫れは強く、長引きやすい傾向にあります。
また、挙筋法は瞼板法に比べて糸を結ぶ強さの調整が難しく、施術難度が高い為、ドクターの技量に左右されることになります。
瞼板法が腫れにくい理由
前述しましたように、瞼筋法は、 瞼板に糸を点で留めるだけの非常に簡単な施術方法となり、施術時間も10~15分と、あっという間に終わってしまいます。
瞼筋法の腫れが少ない理由は、この圧倒的な施術のスピーディーさで、そもそも目元に触れてる総体時間が少ない点と、皮膚に針や糸が触れるが点の部分だけの為、瞼へかかる負荷が少ないためです。
埋没法の腫れが治まるまでの流れ
埋没法は、もうひとつの二重整形術である切開法に比べると、圧倒的に術後の腫れや痛みなどのダウンタイムが短い二重施術方法となります。
冒頭に申し上げましたように、術後当日からでもお仕事や学校も問題ないとしているクリニックも実際に少なくありません。
しかし、通常の経過としては、術後当日~3日目ぐらいまでは 、強い腫れが出る為、二重手術を行った事が周りにバレても良い人以外は、腫れを極力早く治める目的で体を休めて安静にする意味でも、休みを取って施術に臨む人が大半となります。
その後の術後の経過としては、約1週間もすると、目で見てわかる腫れはほとんど引いていき、術後に内出血を起こしてしまった人も、最大 2週間以内には目の回りの紫色の変色も回復していくようになります。そして、最終的に腫れが完全に治り、綺麗な二重の状態に完成するまでには約2~3ヶ月の期間が必要となります。
埋没法で腫れやすい体質かどうかのチェック方法
これまで埋没法術後に腫れてしまう原因について述べさせていただきましたが、 やはり自身の元々の体質が、腫れの症状を強くさせるかどうかも重要なカギを握ります。
では、いったいどのような体質の人が埋没法でより腫れやすいのでしょうか?以下にそのチェック方法をまとめました。
・アトピー性皮膚炎の人 ・むくみ体質の人 ・瞼を開ける力の挙筋が弱い人 ・瞼に厚みがある、または脂肪が多い人 |
アトピー性皮膚炎の人
瞼にアトピー性皮膚炎の炎症がある人は、余計に腫れが強く出てしまいます。
これはそもそもアトピー性皮膚炎という症状が肌の免疫機能が強く出過ぎているものであるため、施術後の炎症についても通常の肌と比べて引き起こしやすくなるためです。
同様に、ひどい花粉症などアレルギー体質の方も炎症を引き起こしやすくなります。
また、長年アイプチを 使いすぎて、アイプチかぶれを起こしてしまっている人も注意が必要になり、埋没法の施術前にはまず皮膚のかぶれや炎症を治療してから行うことをおすすめいたします。
むくみ体質の人
むくみは、日本女性に非常に多く見受けられる体質です。
朝目覚めると、瞼がむくんでしまい、ホットタオルなどをあてないと、なかなか回復しないような人、下半身のむくみが慢性的に取れないような人は、ほとんどの確率で瞼の施術箇所も腫れやむくみが強くでますので、術前の体調管理に注意しましょう。
瞼を開ける力の挙筋が弱い人
瞼を開ける力が弱い人の場合、術後の腫れで瞼が開きにくくなります。そうすると瞼が垂れ下がった様な状態になり二重が広く見えることで、まつ毛と糸を通した部分の腫れが分かりやすくなり、腫れが目立つようになります。
瞼に厚みがある、または脂肪が多い人
瞼に厚みがある、瞼に脂肪が多い人は、糸で瞼を支えることに負担がかかりやすい為、埋没法のみで行った施術では、元の状態に戻りやすい傾向にあります。また、瞼が厚い人は薄い人に比べ、微少の腫れでも「ごわごわ」と目立ちやすくなる為、クリニックの方針にもよりますが、こういった瞼の人は、予め瞼の脂肪を少し取り除く事も視野に入れるなど、部分的な切開と併用する方が良いでしょう。
なるべく腫れないようにするためのポイント
埋没法で術後に目元をなるべく腫れないようにするためには、実はある程度ご自身で気をつけることができます。それでは、そのポイントをいくつかご紹介しましょう。
①二重幅を欲張り過ぎない
二重幅は、幅を広げれば広げるほど 、より腫れが強く出やすくなります。 また、二重幅は無理をすればするほど 元に戻りやすくなってしまう、不自然な二重になってしまう、などのリスクが伴いますので、特に埋没法で施術を行う場合は、二重幅をあまり欲張らないようにご自身に合った無理のない幅を選ぶようにしましょう。
②熟練された技術のドクターを選ぶ
二重整形の埋没術は、比較的簡単な方の施術と言われていますが、これは瞼が薄く、簡単に糸が留まる人にはあてはまりますが、瞼の厚みがある人がパッチリ二重を埋没法で手に入れるには、それなりの技術も必要になります。多くの施術経験からまぶたの形状や目的とする二重のラインに合わせた糸の結ぶ強さなどを適切に行う事が、埋没法の腫れを最小限に抑え、良い結果をもたらすためです。
そのため、やはり熟練された技術を持つドクターを選ぶことが、腫れを少しでも軽減する方法ということになります。
③施術中は出来る限りリラックスする
初めての二重整形手術でいきなり診察台に寝転がると、どんな人も緊張してしまうのは当然の事です。しかし、目元の施術は部位が非常に狭く、ドクターの作業もかなりの細かさが要求されます。そんな時に体が緊張してしまい、ガチガチになってしまうと、血圧(動脈圧)が高くなり血管を傷つけた時の出血量が増えてしまいます。また緊張して瞼に力が入るとギュッと閉じてしまい静脈圧もあがり、内出血の原因となります。こういったことを防ぐため、施術中は出来る限りリラックスして受けるように心掛けましょう。
腫れてしまった場合に、腫れを早く解消する方法
埋没法により、瞼が腫れてしまった場合、誰しもが一刻も早くその症状を回復させたいものです。ここでは、術後の腫れをなるべく早く解消する方法を次の①~④にまとめました。
①目元を冷やす(アイシングする) ②激しい運動は避け、とにかく安静に過ごす ③入浴時は湯船を避け、就寝時は枕を高く ④数日経過すると温める |
①目元を冷やす(アイシングする)
二重整形の術後に腫れが出るのは、目元に炎症が起こっている状態ですので、とにかく冷やすことが一番です。術後の当日~3日ほどは、氷またはアイスノンを清潔な薄手のタオルに巻いて、目元やこめかみに、じっとあててください。少し濡らして絞るとより効果的です。この時、熱を冷ますシート状のアイテムについては 、剥がす時に皮膚がかぶれてしまう恐れがありますので、必ず氷、またはアイスノンを使いましょう。
ただし、冷やし過ぎも良くありませんので、氷で冷やすのは、目で見てわかる程度の腫れが引くタイミングの術後3日までを目安にしてください。 ある程度腫れが治まった状態であれば、今度は血流を妨げずに細胞の回復を待つ方が落ち着くスピードが早くなります。
②激しい運動は避け、とにかく安静に過ごす
これは二重整形に限りませんが、術後はとにかく安静に過ごすことが大切です。 特に血流が活性化することは最も避けなければなりませんので、過剰に汗をかくことや、激しい運動、肉体労働などはくれぐれも避けるようにしましょう。
③入浴時は湯船を避け、就寝時は枕を高く
入浴時の湯船にゆっくり浸かる、温泉、岩盤浴もやはり血流、血行を過剰に上げてしまう為、術後しばらくは必ず避けて頂くべき行為となります。お風呂はぬるめのシャワーで済ませるようにしましょう。
そして、就寝時は、血流を目元に集中させない為、枕を高くし、食べ物による血流の活性化も防ぐ為、腫れが引くまでは、香辛料、辛いものなど発汗を促す食物の摂取も控えるようにしましょう。また、むくみを引き起こす原因となる塩分の濃い食事についてもなるべく回避しましょう。
④数日すると温める
最初のアイシングは腫れのピークを低くする効果ですが、腫れのピークが過ぎると代謝をよくして腫れの引きをよくしましょう。内出血なども数日経ってからであれば温める方が早くひきます。
まとめ
いかがでしたか?今回は、埋没法をした後に腫れる理由と腫れを抑えるための注意点を詳しく解説させていただきました。 二重整形を検討する上で、腫れている期間をいかに最小限に抑えるかが、施術成功の明暗を分ける事になります。上記のことからもお分かりいただけるように、術後の腫れ対策は、熟練した技術のあるドクターにお願いすることはもちろん、 施術を受ける際の心構えや、術後のケア次第で随分変わってきますので、自分の理想の二重は、自分で作り上げるのだという心構えで、大切な記念すべき美のイベントに取り組むようにしましょう。