頭皮の日焼け止めは必要? UVケアの効果と選び方
シミ取り・肝斑・毛穴治療 (その他(シミ・毛穴治療))
公開日:2019/01/25
しかし、頭は人間の体の中で最も高い位置にあり、太陽から一番近い場所になります。当然、頭皮にも紫外線の影響は及んでいます。それにも関わらず、頭だけ無防備な状態でいれば、いずれ何らかの影響が出てきてもおかしくありません。
そこで今回は、頭皮の日焼け止めが必要な理由と、頭皮用UVケアの効果や選び方について、お話ししたいと思います。
頭皮に日焼け止めが必要な理由
紫外線を長時間浴びると、人体に様々な悪影響を及ぼします。皮膚に現れる影響には、シミやシワをはじめ、良性腫瘍や皮膚ガンがあります。また、白内障など、目にも影響を及ぼします。
もちろん、頭皮も例外ではありません。頭皮は顔の3倍も紫外線を浴びていると言われており、頭皮が紫外線を浴び続けることで、以下のような影響が現れます。
・乾燥による痒み
・悪臭
・白髪
・抜け毛や薄毛
では、一体なぜこのような影響が現れるのでしょうか?
紫外線の影響で引き起こされる光老化について
紫外線を浴びると、体では「光老化」という現象が起こります。光老化とは文字通り光の刺激による老化の事で、加齢による肌トラブルの原因は、ほとんどがこの光老化によるものだといわれています。
光老化が引き起こされる流れとしては、まず紫外線が肌の奥まで入り込み、活性酸素を発生させます。活性酸素は、酸化させる力が非常に強い酸素ですが、殺菌作用も強いことから、ウイルスや細菌を撃退してくれる作用もあります。
しかし、活性酸素が増え過ぎると、ウイルスや細菌といった体にとって悪影響となるものだけではなく、コラーゲンやタンパク質を攻撃して破壊してしまうため、肌のハリやキメが失われます。さらに細胞のDNAも損傷する事から、場合によっては皮膚ガンをはじめとした様々な病気を引き起こします。
光老化による変化は、純粋な老化による肌の変化と異なる
ちなみに、光老化は老化といっても加齢による老化とは区別されており、本来であれば、加齢による皮膚の変化では、細胞やメラニンを作る代謝の機能が鈍くなっていくため、皮膚の色や厚さが薄くなっていきます。
一方、光老化では紫外線から皮膚を守るためにメラニンを多く生成するので、肌の色が濃くなったり、皮膚が厚くなってゴワゴワします。これがシミやシワの原因となり、実年齢よりも老けた印象を与えてしまうのです。
肌老化の原因の8割が紫外線と言われており、加齢による老化より、光老化は人体に多大な影響を及ぼしているのです。
では、光老化が頭皮に与える影響を、具体的に見ていきましょう。
①乾燥による痒み
頭皮が紫外線を浴びることで、バリア機能が低下します。バリア機能が低下すると、肌の水分が蒸発して、乾燥しやすい状態となります。頭皮が乾燥すると、痒みやフケといったトラブルの元になります。
②悪臭
健康な頭皮は、皮脂膜で覆われています。皮脂膜は頭皮の潤いが逃げてしまうのを防ぐとともに、紫外線などの刺激から頭皮の内側の潤いを守っています。
しかし、光老化によって頭皮が乾燥すると、皮脂が過剰に分泌されるようになります。過剰に分泌された皮脂が酸化すれば、頭皮の臭いは悪化します。
また、皮脂が過剰に分泌されるとバリア機能や免疫力も低下して、雑菌が繁殖しやすくなるので、さらに臭いも悪化します。
③白髪
30代半ば頃から目立ち始める白髪。白髪が増えてくると、老けた印象になりますよね。実は白髪が増えるのも、紫外線が関係していると言われています。
髪の毛を作り出しているのは髪の毛の根元を支えている毛包にある「毛母細胞」という部分。この毛母細胞が、周辺にある色素細胞(メラノサイト)から黒いメラニン色素を受け取って、髪の中にメラニン色素が入る事で、黒い髪が成長していきます。
しかし、色素細胞がメラニン色素を作れなくなるなどの変化が起き、メラニンの供給ができなくなると、色素のない髪である白髪が生えてくるようになります。
色素細胞がメラニンを作れなくなる理由として考えられるのが、血行不良や色素細胞の老化。そして、この変化を引き起こす大きな原因が、紫外線です。
紫外線の中でもUV-A波は真皮層に入り込み、肌の弾力を保つコラーゲンやエラスチンを破壊して、頭皮の表面を硬くします。頭皮が硬くなると血管が圧迫される事によって頭皮の血行不良が引き起こされます。
また、紫外線の影響で活性酸素が増えれば、新陳代謝も遅くなり、血流が悪くなります。血流が悪くなると必要な栄養が運ばれず、色素細胞はメラニンを生成できなくなります。
更に、紫外線は色素細胞を老化させ、DNAも損傷させるので、メラニン色素を作れなくなくなり、白髪が生えくるとも考えられています。
④抜け毛や薄毛
抜け毛や薄毛も老化のサインと言われていますが、直接紫外線を浴びる髪の分け目は、特に気を付けなければなりません。
頭皮も日焼けするので、赤くなったり、炎症を起こすことがあります。頭皮が炎症を起こすと髪を作り出している毛母細胞が損傷してしまい、新たな髪が生えてこず、抜け毛や薄毛の原因になります。
また、キューティクルが傷つくと、髪が抜けやすくなることもあります。キューティクルは髪の毛の一番外側にある層で、髪の毛の表面を覆っているものです。キューティクルは、髪の内側にある水分やタンパク質が失われないよう保護しています。
このキューティクルも紫外線によってダメージを受けるため、水分やタンパク質を保持できなくなって髪が痛みます。ハリも水分も失われて細く痛んだ髪は、切れてしまったり、頭皮から抜けやすくなります。
顔の3倍も紫外線を浴びている頭皮は大きなダメージを受けており、様々なトラブルを招く恐れがあります。頭皮の乾燥だけなら放置してしまう人もいるかもしれませんが、手入れせずにいると、抜け毛や薄毛を引き起こすかもしれません。紫外線から頭皮を守るためには、日焼け止めなどのUVケアが必要です。
頭皮のUVケアの効果と選び方
紫外線の降り注ぐ日中は外出を避けるのが一番ですが、雨でも曇りでも外出する以上、UVケアは欠かせません。室内でさえも、日の当たる部屋の窓際であれば、80%の紫外線が入ってくると言われています。頭皮のケアをしていなければ、いつか紫外線の影響が出てくるかもしれません。
そこで、頭皮のUVケアの効果と選び方をまとめました。今まで頭皮のUVケアをしてこなかった人は、今からでも対策をして、紫外線から頭皮を守りましょう。
①日焼け止めを塗る
UVケアといって真っ先に思い浮かぶのが、日焼け止めではないでしょうか?日焼け止めは塗るタイプだけではなく、頭皮に使いやすいスプレータイプのものなど、様々な日焼け止めがあります。
まずは、頭皮の日焼け止めの効果と選び方から、紹介したいと思います。
日焼け止めの効果
日焼け止めの効果は、「SPF」と「PA」の数値によって変わってきます。SPFはUV-B波、PAはUV-A波の防止効果を表します。
SPF
UV-B波は肌の表面で吸収され、炎症や赤みを引き起こします。シミやソバカスの原因にもなるのが、UV-B波です。SPFはUV-B波の防止効果を表します。
SPFの数値は1〜50+まであり、数値が大きいほど、UV-B波の防止効果も高くなります。この数値はどのくらいの時間、紫外線を防止できるかを表しています。
個人差があるので一概には言えませんが、一般的に強い紫外線を浴びると、大体20分後あたりに影響が出ると考えられています。そこで、SPF1の日焼け止めを塗った場合、20分×1=20分と計算します。ここで導き出された20分という時間は、20分間、紫外線による影響を防止できるという意味になります。SPF30の日焼け止めを使った場合、20分×30=600分となり、600分=10時間、紫外線を防止できるという意味になります。
中には、日焼けしやすい人もいるので、その場合は20分を10分などに変えて考える必要があります。また、汗を掻いて日焼け止めが落ちてしまう時は、こまめに塗り直さないと効果が落ちてしまうこともあるため注意しましょう。
PA
肌の奥の真皮層まで届き、肌に深刻な影響を及ぼすのがUV-A波です。光老化の原因にもなるUV-A波は、地表に届く全ての紫外線の約95%を占めています。
UV-A波を防ぐ効果は+の数で表され、PA+からPA++++までの4段階で表されます。この数値は日本化粧品工業会が定めたもので、UV-A波を防ぐ効果は以下の通りです。
PA+:効果がある
PA++:効果がかなりある
PA+++:効果が非常にある
PA++++ :きわめて効果が高い
炎天下のレジャーやマリンスポーツ、照り返しの強いスキー場でのウィンタースポーツには、PA++++が効果的です。
日焼け止めの選び方
日焼け止めを選ぶ際は、SPFの数値とPAの+の数を目安にして選びますが、SPFの数値が高ければ、肌にかかる負担も大きくなることを忘れてはなりません。炎天下のレジャーやスポーツで日焼け止めを使うなら、国内最高値のSPF50+、PA++++の日焼け止めが効果的ですが、普段使いではSPF30前後でも十分です。
また、紫外線は頭皮だけではなく、髪にも様々な影響を与えます。紫外線を浴びた髪はキューティクルが剥がれ、栄養や水分が抜け出し、乾燥してパサパサします。切れ毛や枝毛が増えることもあります。そこで、頭皮と髪、両方に使える日焼け止めを選ぶと安心です。
スプレータイプ
頭皮用の日焼け止めでおすすめなのが、ベタつきも少ないスプレータイプの日焼け止めになります。ただし、噴射するだけだとムラになりやすいので、十分に効果を発揮しないことも。噴射する時は髪の毛から10〜15cm程離して、満遍なくスプレーするのがポイントです。
また、日焼け止めには、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤を使ったものがあります。紫外線吸収剤の日焼け止めは、紫外線を吸収して肌に当たる紫外線を減らしますが、効果は高いものの、肌にかかる負担は大きくなります。
一方、紫外線散乱剤は、紫外線を跳ね返してダメージを防ぎます。効果は弱まるものの、肌にかかる負担は少なく、天然成分でできているものが多いことから、敏感肌の人でも使用できます。
肌にかかる負担は大きくても、紫外線吸収剤を使用した日焼け止めが多く出ているのは、効果がなければ日焼け止めを塗る意味がないからです。紫外線吸収剤と紫外線散乱剤、それぞれにメリット、デメリットはありますが、最近では刺激が最小限に抑えられた紫外線吸収剤の日焼け止めもありますので、使うシーンや肌質に合わせて選ぶのがおすすめです。
トリートメントタイプ
UVケアと同時に保湿効果も期待できるのが、トリートメントタイプの日焼け止めです。洗い流さないトリートメント(アウトバストリートメント)は、シャンプー後にタオルドライしてから使います。
中でも、オイルトリートメントは紫外線から髪を守る効果が高く、補修効果が期待できるものもあります。オイルは少量でもよく伸び、頭皮にも優しく浸透します。髪にも頭皮にも嬉しいトリートメントです。
紫外線対策に加え、保湿効果や補修効果も期待できるのがミルクタイプやクリームタイプのトリートメントです。翌日の紫外線対策として、お風呂上がりに使います。髪馴染みが良く、潤いを与えてくれるので、髪がしっとりとした質感になります。
②日傘を差す
紫外線が強く降り注ぐ夏は、日焼け止めに加えて日傘を併用することで、より頭皮を守ることができます。
日傘の効果
日傘にはUVカットコーティングを施したUVカット傘と、生地の裏側にフィルムを施した遮光傘があります。
日本洋傘振興協議会(JUPA)では、遮光率99.00%以上の生地を使用している日傘を「遮光傘」、遮光率99.99%以上の生地を使用した日傘を「遮光1級傘」と定めています。
遮光率99.99%以上の日傘であれば、大幅に紫外線をカットできるのですが、中には遮光率100%の「完全遮光日傘」もあります。たとえば、サンバリア100の完全遮光日傘は、表面がフィルムラミネート加工になっており、コーティングの塗りムラがなく、乾燥する際に空いてしまう穴もありません。とはいえ、地面からの照り返しなどもありますし、日傘の使い方によっても遮光性が変わってきます。
日傘の選び方
UVケアに日傘を使うなら、UVカット率と遮光率が高いものを選びます。
UVカット率は紫外線をカットする率を表し、カット率が高くなるほど日焼けしにくくなります。遮光率は人に見える色の可視光線をカットする率を表し、遮光率が高くなるほど影が濃くなり、日除けとしての機能も果たします。
UVカットされていて、遮光率の高い日傘を選べば、日傘の表面は何色を選んでも構いません。黒を選ぶ人も多いかもしれませんが、黒は熱を吸収するので、日傘が熱くなることも。逆に、白は熱を反射するので、生地の温度の上昇を抑えることができます。
また、地面からの照り返しがあることも、忘れてはなりません。日傘の内側は黒や紺などの濃い色を選ぶと良いでしょう。
③帽子を被る
手が塞がっていて日傘が差せない時は、帽子が便利です。帽子は被るだけなので、最も手軽にUVケアできるアイテムになります。
帽子の効果
帽子を被ると、紫外線を浴びる量を20%減らせると言われています。
帽子でUVケアを行う際も、日傘と同じように、UV加工の施された生地で作られた帽子を被るのがポイントです。ちなみに、UVカット加工の帽子には、紫外線を反射する微粒子を繊維に織り込んだものと、紫外線を吸収するコーティング剤を施したものがあります。日傘同様、100%完全遮光の帽子もあります。
加工を施してなくても、ポリエステルやウール素材の帽子なら、紫外線を90%以上カットします。
帽子の選び方
帽子は圧迫感がなく、通気性の良い素材を選びましょう。きつい帽子を被ると、摩擦で毛根を傷めたり、血行不良で毛根を弱めてしまうことも。
また、通気性が悪いと頭が蒸れて不潔な状態となり、細菌が繁殖して、炎症も起きやすくなります。通気性に優れている素材は綿や麻、メッシュ(ポリエステル)、天然草になります。帽子の形は、ツバの広いものがおすすめです。
UVカット加工されていれば、特に色を気にする必要はありませんので、好みの色を選べます。
薄毛の状態で紫外線を浴び続けると、薄毛治療が受けられなくなることもある
頭皮のケアとして注意したい点の一つとして、将来的に薄毛治療を検討している場合、紫外線ケアをしっかり行っておかないと、薄毛治療が受けられなくなったり、治療効果が低くなってしまったりするというものがあります。
頭皮は毛髪によって紫外線から守られていますが、薄毛の状態で紫外線を浴びるとその刺激が直接肌に届きやすくなるため、前述のような頭皮環境の悪化が進んでしまいます。
薄毛治療にも様々なものがありますが、内服薬による治療でも、HARGなどの注入系による治療でも、基本的に薄毛治療は自分の毛根細胞を活性化させて、再度生えてくる事を促進するというものであるため、紫外線により強いダメージが加わり続けると毛根細胞が強いダメージを受けてしまい、再生できなくなってしまう可能性があるのです。
完全に生えなくなるという事ではなかったとしても、治療効果が低くなってしまう事は間違いありませんので、薄毛になってきた場合こそ、紫外線ケアをしっかりと行うようにしましょう。
自毛植毛などの方法であれば直接毛を植えるため問題なさそうに思えますが、やはり紫外線刺激により頭皮が硬くなってしまうと治療効果は低減してしまうため、いずれにしても頭皮をしっかりと保護しておく事は重要です。
まとめ
顔のように普段から注目しているわけではない頭皮。シミが現れるなど、目に見える変化が出ない限り、UVケアを怠ってしまう人も多いのではないでしょうか?
しかし、頭皮は実際には顔より紫外線を浴びているので、何もしなければ、より大きなトラブルを引き起こす可能性もあり、むしろしっかりとケアをすることが大切な部位でもあります。
痒みなどの症状が現れていたら、頭皮が何らかの影響を受けているサインです。抜け毛や薄毛の原因が紫外線にあるかもしれませんので、普段からしっかり日焼け止めや日傘などを使って、頭皮のUVケアを行いましょう。