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蓄熱式脱毛の効果と本当のメリット&デメリット

医療脱毛 (その他(脱毛))

解説 口コミ広場編集部

公開日:2018/12/19


近頃の医療脱毛の広告を見ていると、「蓄熱式脱毛」という情報を目にされる機会が増えてきたのではないでしょうか。この蓄熱式脱毛は、従来の脱毛用医療レーザー機より痛みが少ない、もしくはほとんどないという広告も多く、これまで脱毛のデメリットの一つであった「痛み」の問題を軽減し、痛みが原因で医療脱毛を迷いがちだった人を中心に、高い人気となっています。
しかし、この蓄熱式脱毛が痛みがないというのは本当なのでしょうか?また、脱毛効果はきちんと実感できるのでしょうか?
今回は、まだまだその実態が知られていない新型脱毛機である蓄熱式脱毛について、本当のメリット&デメリットをあらゆる角度から検証いたします。

蓄熱式脱毛とは?従来の脱毛との違い

では、話題の蓄熱式脱毛とは一体どういう仕組みの脱毛機なのでしょうか?その主な特徴と従来式の脱毛機との違いを簡単にご説明いたします。


蓄熱式は発毛因子を分泌する部位を破壊する方式

蓄熱式の脱毛機は、人間の体毛の「発毛因子」を分泌する組織ごと破壊してしまう方式です。

従来のレーザー脱毛機は、毛を成長させるための場所である毛根組織(=毛乳頭)を破壊して、毛が成長する土台の働きを停止させる事で永久脱毛の効果を得ていく仕組みですが、蓄熱式の場合は、毛の成長する土台ではなく、そこに「毛を育成せよ」という命令である「発毛因子」を送り出す「バルジ領域」という部分を破壊する方法です。

少し分かりやすく例えると、従来の医療レーザー脱毛は植物の根っこを破壊する行為であるのに対し、蓄熱式脱毛は植物に水や肥料を与えないようにするというイメージに似ています。(厳密には水や肥料といった栄養成分と発毛因子の働きは違いますので、次の項で説明します。)


発毛因子とは何?

この「発毛因子」とは何なのかについて、改めて簡単におさらいしておきましょう。

人間の体毛は、毛周期というサイクルに従って、随時生え変わりの活動が行われています。

毛の「発毛因子」について、皆様に最もわかりやすい例は髪の毛です。髪の毛は、日常の洗髪やブラッシングなどで髪の毛が自然に抜けていきますが、またすぐにどんどん伸びてきますよね。これが「発毛因子」の影響によるものです。

この発毛因子による発毛命令とは、毛穴の奥である毛根から発生しているものではなく、皮膚のもっと表面に近い真皮層部分にあるバルジ領域というところから発生しているということが、近年の研究で明らかになってきたのです。

バルジ領域から分泌された発毛因子が、毛の育成を行う毛乳頭の細胞に届くと、毛乳頭は毛の作成を始めるという流れで毛の成長が行われるため、従来の脱毛方法のように毛乳頭の細胞を破壊しなくても、このバルジ領域を破壊すればそもそも「毛を作る」という行為が起こらないため、毛が生えたり、成長したりする事が無くなるというものが、蓄熱式脱毛になります。


蓄熱式脱毛は痛みが少ない。その理由は?

従来の方式とは異なる新型レーザー脱毛機として、既に人気が広まってきている蓄熱式脱毛ですが、その人気の理由の1つとして「痛みが少ない」ことがあげられます。

従来方式のレーザー脱毛機は、毛の黒い部分に反応して熱エネルギーを作り出すレーザーの照射を行い、毛穴の最も深い部分にある毛根組織を破壊していくというもの。

毛の根本部分にだけ熱エネルギーを発生させられれば痛みも軽減できますがそれは難しく、レーザーを照射された部位にある毛は全体的に熱くなるため、広い範囲で皮膚への刺激が加わり、更に言えば毛穴の最も深い部分にまで届くような強いレーザーを当てるため、熱による刺激もとても強いものになり、それなりに痛みが発生していました。

しかし、蓄熱式の場合は、毛根を破壊するのではなく、それよりも皮膚の浅い部分にあるバルジ領域を破壊すれば良いというもの。そのため、レーザーの強さも弱めで効果を発揮する事が可能となり、痛みの軽減が可能となっています。

また、従来の単射式と呼ばれるレーザー脱毛では毛が200度にもなるような施術であったのに対し、蓄熱式脱毛は弱いレーザーを繰り返し同じ部位に当てていく事で、肌の温度を60度程度まで引き上げていくというもの。

60度まで引き上げるとバルジ領域の細胞は十分に破壊される強さになりますが、従来程の高温にはならないため、熱による刺激も大きく軽減する事が可能なのです。


とはいえ痛みがゼロな訳ではない

では、蓄熱式の機械は痛みが全くゼロなの?と言えば、必ずしもそうとは言い切れません。レーザーによって肌に熱を加えているという点では従来と同じであり、毛の濃い部分や密集している部分ではやはり熱刺激が加わりやすくなるため、蓄熱式脱毛でも多少の痛みは感じます。

脱毛施術による痛みの感じ方は人により千差万別で、元々痛みに強い人と、ちょっとしたことでもすぐに痛いと感じてしまう人とでは、同じ脱毛機をあてても痛みに関して受ける印象は全く異なりますし、肌質や毛質によってもその刺激の度合いは変わるので、誰でも完全に無痛というものは難しいと言えます。


一般的に従来式の機械は、「輪ゴムで弾かれたような痛み」によく例えられますが、蓄熱式の施術中の感覚を同じように例えると、「熱い飲み物を入れたマグカップを肌にあてられた時の感覚」に近いと言われています。

また、蓄熱式脱毛は従来の脱毛と違い、同じ部位に何度もマシンを往復させて徐々に熱を貯めていくというもの。機器を肌に当てながら往復させていくため、例えば「すね」や「ひざ」のように骨が近い部分では、ゴリゴリと機械が当たる痛みなども発生します。

蓄熱式機械の痛みや熱さに関しては、出力や施術者の技術によっても異なりますので、この点が不安な人は、一度クリニックでテスト照射などを依頼し、体感させてもらってから、回数契約をするようにしましょう。


蓄熱式脱毛は肌に優しい?

蓄熱式の脱毛が人気になってきている理由のもう1つは、肌に負担が少ない点です。前述しましたように、蓄熱式はレーザーの照射時に毛穴や皮膚表面にかかる刺激が弱く、毛包にじんわりと熱が加わっていくので、肌へのダメージが少なくなります。


蓄熱式脱毛では最終的にターゲットとなるバルジ領域が60度程度になると、その照射が終わります。この熱は肌全体に対して蓄えられるのではなく、基本的には毛穴の内部に蓄えられます。

というのも、蓄熱式脱毛も基本的にはレーザーによって毛の黒い色と反応させて熱を作りだすため、毛が生えている毛穴部分は熱くなり、毛が無いところでは強い熱を発生するという事はありません。


一方で、従来式の強いレーザーでは、毛を中心として非常に高い熱エネルギーが発生して毛穴周囲にまで刺激が及ぶ事に加え、レーザーの出力が強いためにどうしてもある程度は肌のメラニン色素にも反応を起こしてしまい、肌に対してのダメージが加わります。


蓄熱式脱毛は肌への負担が少ないため、敏感肌やアトピー肌の人にも適している脱毛機といえる他、従来の脱毛方法では対応が難しかったような日焼け肌や、ほくろ・アザなどの多い人が行う事もある程度安全に施術が可能となります。


蓄熱式は毛周期関係なく通えるから完了が早いは間違い?

このように蓄熱式を使った脱毛は、従来型より何かとメリットが多そうで、web上などで色々情報検索をされている人もおられるかと存じますが、その中で、「蓄熱式は、毛周期に左右されないので早く脱毛が完了する」と言った情報をご覧になったことのある人も少なくないのではないでしょうか。


それは、従来型の医療レーザー脱毛機をつかって施術を行う場合の照射間隔は、皆様もご存知の通り毛周期において毛と毛乳頭が接している成長期の毛にしか反応しないため、毛周期に合わせて2~3カ月に1回を推奨されていますが、この蓄熱式を使った場合は、毛周期に関係なく毛があればそこに熱を発生させバルジ領域を破壊することができるため2~4週間に1回の照射もOKとしている内容です。

しかし、クリニックによっては、「蓄熱式機を使っても、毛周期を考えて照射する必要があることは変わらず、照射間隔は従来通り2カ月に1回にするべき」という方針のクリニックも多く見受けられます。では、クリニックによってこれほど照射間隔の方針が分かれるのはどういった理由なのでしょうか?また、一体どちらの理論が正しいと言えるのでしょうか?


蓄熱式脱毛は本当に照射間隔を開けなくても良い?

蓄熱式による脱毛が毛周期を無視して照射しても問題ないとされている理由は、蓄熱式脱毛が従来型のように毛のメラニン色素に対して反応させている仕組みではなく、肌に熱をためていくレーザーを照射するからというもの。

毛の色と反応させるものではないため、必ずしも成長毛が生え揃う時期の2~3カ月に1回である必要がないというものが、毛周期と関係無しに施術が行えるという理論です。


しかし、もしこの理論が正しいとすれば、蓄熱式脱毛では単純に肌の中に熱を加えていくという方法であり、レーザーは毛穴部分だけではなく、肌全体に影響を及ぼすという事になってしまい、肌の温度が、万遍なく60度まで引き上げられる形となります。

肌を構成しているタンパク質は40度を超えてくると変質が始まり、60度というのはこのたんぱく質が変質して他の部位に代わる事から、バルジ領域を破壊するために適した温度の目安として設定されているものですが、肌全体が60度まで引き上げられてしまうと、毛穴周囲だけではなく肌全体が強いダメージを負って、ヤケドのような状態になってしまいます。

人の肌は60度のお湯に5秒浸かると熱傷を負うとされていますが、肌全体がこの温度まで引き上げられてしまえば大惨事です。


このことからも、実際には蓄熱式脱毛は肌全体に万遍なく熱が加わるという事はなく、メラニンの多い毛の生えている周囲の部分のみに熱が加えられ、毛包内にあるバルジ領域を破壊する事であり、毛が全くない部分では効果を発揮しないまたは効果がかなり限定的であるという事が言えるため、やはりある程度は毛が生える毛周期に合わせる必要があるといえます。


蓄熱式脱毛で使われるレーザーの波長もアレックスレーザー、ダイオードレーザー、Nd:YAGレーザーと従来、医療レーザー脱毛で使われているレーザーの波長と同じで、毛のメラニンに反応することで熱を発生させ、周囲の組織(バルジ領域)に損傷を与えるというメカニズムには変わりはありません。


毛周期が無関係といわれやすいもう一つの理由

また、蓄熱式脱毛が毛周期と無関係だと言われやすいもう一つの理由が、脱毛後の毛の残り方です。

従来の脱毛の場合、強いエネルギーを照射するために毛が根本から焼き切れ、それまでに生えていた毛が脱毛直後から毛が抜けていくという状況が発生します。

そのため、脱毛後は一度今まで成長期となっていた毛が抜け落ち、次の毛周期の毛が生えてくるまでの暫くの期間は、毛が無い状態が維持されます。

毛が無い状態であれば明らかに脱毛に適さない状態なので、次の毛周期の毛が生えそろうまでしばらく待つという行為がされます。


一方、蓄熱式脱毛の場合は毛に加わる熱エネルギーが比較的弱いため、毛が焼き切れるという状況まではならず、十分にバルジ領域を破壊した毛も、暫く残り続けます。

(そのため、脱毛から暫くするとまた毛が生えてきたように見えやすく、ともすれば脱毛の効果が無かったと感じやすい面もあります。)

また、毛がすぐに伸びて来るように見えるため、次の照射を行っても問題の無い時期と勘違いされやすく、このことから毛周期を無視して脱毛が行えるという判断がされている可能性もあります。

ただし、実際には照射後すぐに生えてくる毛はすでに脱毛の効果が発揮されている毛穴の毛の可能性もあり、繰り返し脱毛を行ってもその効果は限定的です。


以上の事から、やはり蓄熱式脱毛は成長期以外の毛であっても効かせることは可能であり、理論どおりであれば、従来と比べてより素早く脱毛を行える可能性がありますが、現状の学術的に報告された論文ではそれほど大きな差はない、というのが実際のところです。


何故「スピード脱毛」が可能といわれるのか

しかし、世の中では蓄熱式脱毛が「スピード脱毛」として、より素早く脱毛できるものという広告や、実際の体験談も多く存在しています。

この理由は、どちらかというとエステサロンにおける脱毛の体験によるものの可能性が高いといえます。


というのも、従来の単射式の脱毛の場合、エステサロンで行われている光脱毛では出力が非常に弱く、医療レーザー脱毛のようにしっかりと永久脱毛効果を得る事は難しく、頑張っても少しずつ毛の成長を弱らせる程度のものでした。

その理由の一つが肌へのダメージの大きさで、光脱毛はその特性から光の出力を上げれば肌への負担が大きくなりすぎ、ヤケドなどの可能性も跳ね上がるためとても弱い出力で照射を行う必要があるという点があります。


しかし、蓄熱式脱毛の場合はそもそも弱い出力を繰り返し肌に照射する事で、肌の温度を無理のない範囲で上げていけば可能という点や、毛根よりも浅い部分にあるバルジ領域にアプローチすれば良いという点から、弱い出力でしか行えないエステサロンの脱毛でも比較的高い効果を発揮しやすくなっているのです。

そのため、従来の脱毛では非常に多くの回数をかけていた光脱毛と比べると、より少ない回数脱毛効果を発揮する蓄熱式脱毛が「スピード脱毛」とされているという面があります。


ただし、そもそも肌の細胞を破壊して傷つけるような行為は医療行為であり、エステサロンで行う事は法律の上でもグレーゾーン。今まではエステの光脱毛が、肌の細胞に軽いダメージを与えている=永久脱毛効果の無い脱毛であったため、完全な違法行為となっていませんでしたが、蓄熱式脱毛によって逆にはっきりとした永久脱毛効果がでるようであれば、完全に違法行為となって店舗での対応が法律上中止となる可能性も高くなるといえます。


蓄熱式のデメリットとは?

それでも蓄熱式を使った場合に考えられるデメリットとはどういうところがあるのでしょうか?これは、前項でお話しした「効果の実感が遅い」点が挙げられます。従来型の毛根組織を破壊するタイプのレーザー脱毛器の場合は、施術後約2週間程で毛がするすると抜けていく感覚を早期に実感することができますが、蓄熱式の場合は、じんわりと熱を加えていく方法のため、脱毛施術後すぐに毛が抜けるというわけではなく、実感として脱毛効果が得られたと思いにくい面があります。


また、蓄熱式は新型脱毛機としてまだ開発されて間がない為、脱毛効果の症例や実績を示すデーター、エビデンスがまだまだ不足している点も、デメリットの一つといえます。これらのデータが少ないと、脱毛効果がどの程度まで実感できるのか、つるつるという状態になるまでにはどの程度の期間を要するのか、またクリニック側もどのような照射方法が最大限効果を得るために最適であるのかといった情報が無く、手探りの状態となっています。


まとめ

いかがでしたか?今回は蓄熱式脱毛の特徴とそれぞれのメリット&デメリットについて詳しく解説させて頂きました。まだまだ知られていない蓄熱式脱毛ですが、痛みが極めて少なく、肌に優しい為、肌の弱い人でも安心して行って頂ける施術方法であることは確かです。

まだ施術症例も従来の方法と比べ少ない事から、やや手探りな部分も多い脱毛方法ではありますが、紹介したメリット、デメリットを踏まえ、最適な脱毛方法とクリニック選びを行ってくださいね。

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