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わきが治療の他院修正なら剪除法をおすすめします。

ルネッサンスのわきが・多汗症治療「剪除法」に対する考え

(1 ) 他の方法と比較した剪除法の位置付け

わきが・多汗症治療における「剪除法」は、脇の下の皮膚を切開(4〜5cm程度)し、皮膚の下を剥離して皮膚を伸展させながら裏返して、直視下で汗腺を削除する治療法です。わきが・多汗症の治療法で剪除法を除いて直視下で汗腺類を取り除くことができる処置方法はありません。この「直視下で処置できる」ということが、この剪除法の強みです。しっかりと処置を行えば、においのもとであるアポクリン腺を9割以上、汗のもとであるエクリン腺は5割から7割程度除去することが可能です。数あるわきが・多汗症治療の中で、汗腺を除去することが可能な処置方法と言えます。

(2) 剪除法の長所と短所

長所

(a)「剪除法」を理解しかつ「剪除法」の専門医師が処置を行うのであれば、汗腺類の除去は非常に高い。

(b) わきが・多汗症の「再手術」時の瘢痕化している皮下組織でも他の処置法に比べ対処が容易である。
                                            
短所

(a)
他の処置法と違い、皮膚を皮下脂肪層と離断するので、術後の合併症(皮膚壊死・皮膚拘縮等)の頻度が高くなる。そのため、術後の脇の固定が他の処置に比べより厳格になる。

(b)
他の処置法と比較すると切開線が大きく、傷痕が目立つこともある。また皮膚の色素沈着も長引くことがある。

(3) 剪除法を適用することが好ましい症例、好ましくない症例

僕は、すべての症例において剪除法が好ましいとは考えていません。現在、剪除法は保険診療を行っている施設では(当院は自費診療のみ)保険適応が可能です。もちろん、本人の意志で保険適応で剪除法を受けることに関して、全く否定するつもりはありません。しかし上述した長所の反面、合併症の頻度も高くなることと、結果としてわきの皮膚の美容面での問題が発生することも多いので、「わきがの程度」や「傷を気にするかどうか」などを考慮して、その人に適した治療を提案することが大切だと僕は考えます。例えば、「時々においが気になることもあるのでエチケットとして受けたい」と比較的軽く考えている人に僕は剪除法を勧めることは無いでしょう。

剪除法が好ましい症例

(a) 以前に他院でわきが・多汗症の処置を受けたことがあるが、効果が不十分なので再手術を希望する場合。
こういう症例では、以前の手術の影響で皮下組織で瘢痕・癒着を形成し、シェーバー法などでは十分な汗腺削除ができず、不十分な処置になってしまうことがあるので、剪除法が第一選択です。

(b) においの程度が特に強い症例
においが特に強い症例では、残存した汗腺からでもにおいを認めることがあるので、直視下で汗腺類を処理することが望ましいと考えます。

剪除法が好ましくない症例

(a) 汗の量だけを気にしている症例
剪除法でもエクリン腺を完全に除去できるわけではありません。エクリン腺は皮内に存在するので、においのもとになるアポクリン腺よりも除去率は低くなります。現在の汗の量の半分くらいになると考えて頂ければよいでしょうか。もちろん半分に減れば、少なくなったという実感は強いでしょうが、わきに切開痕まで残してまでする処置では無いと個人的には考えます。特に若いご婦人であればボツリヌストキシンの注射による多汗症治療を積極的に検討して頂くほうが良いでしょう。

(b) 肥満等でわきの下(腋窩部)の皮下脂肪層が多い症例
皮下脂肪が多いと、術後の皮膚と皮下組織の癒着が遷延する傾向にあり、皮膚壊死等の術後合併症の頻度が高くなります。

(c) わきの下(腋窩部)の処置対象エリアの面積が特に広い症例
上記(b)と同様、皮膚壊死等の術後の合併症の頻度が高くなります。

(d) 時々においを自覚するのでエチケットとして気軽な感じで処置を希望している症例
このような症例では、比較的合併症の頻度が高い剪除法を敢えて選択する医学的意義は全く無いと考えます。

(4)まとめ

剪除法は、わきが・多汗症治療中でもっとも効果をだせる「可能性が高い」手術です。なぜ敢えて「可能性が高い」という表現を使ったかというと、どの医師でも同じように高い効果を出せる処置ではないからです。腋窩(脇の下)の皮膚の構造を熟知していなければ、たとえ剪除法で処置を行ったとしても十分な効果を出せないばかりか、合併症の頻度だけ高くなってしまうでしょう。また、上述したように、医師側が剪除法が好ましい症例と好ましくない症例を見極めて、適用させるかどうかを適切に判断する必要があるのです。