家庭用脱毛機の永久脱毛効果と医療脱毛の違い
医療脱毛 (医療レーザー脱毛)
公開日:2019/01/11
最近では、男性でもムダ毛を処理している人が増え、女性向けの脱毛だけではなくメンズ脱毛なども人気になってきていますね。
そんなムダ毛の処理。カミソリや毛抜きで処理するのは頻度も多く大変で、しかも肌への負担がかかる。であれば、クリニックでの永久脱毛を受けたいが、それもそこそこ高い金額がするし、通うのも面倒です。
そこで気になる方法が、家庭用脱毛器による脱毛。
家庭用脱毛機の紹介や口コミでは毛が無くなったというようなものも多く見かけますし、自宅にいながら永久脱毛を行えそうな気がしますが、本当のところはどうなのでしょうか?
現在、さまざまな家庭用脱毛器が出回っていますので、このような脱毛器で手軽に、そして安価に永久脱毛できればこんなに嬉しいことはありませんよね。
今回は、家庭用脱毛器ではどこまでの効果を期待できるのかご紹介していきます。
監修 宇井千穂
やさしい美容皮膚科・皮フ科 秋葉原院/シミレーザー東京 院長
・日本美容皮膚科学会
・日本抗加齢医学会
・日本レーザー学会
・日本胎盤臨床医学会
・アラガンボトックスビスタ注入認定資格
・アラガンジュビダーム注入認定資格
家庭用脱毛機で行えるのは「抑毛」と「減毛」まで
結論からお話ししますと、家庭用脱毛器では永久脱毛を行うことができません。こう聞くとがっかりしてしまうかもしれませんが、その理由としては永久脱毛は毛根組織を破壊するという医療行為であるため、そもそもご家庭でこのような行為を行えるような危機は、人体に対して危害を与えてしまうものという事になるため、販売自体が難しいといえます。
では、家庭用脱毛器にはどこまでのムダ毛に対する効果を期待できるのでしょうか?
家庭用脱毛機と一口にいっても色々な種類がありますので、種類別に期待できる効果の度合いなどをご紹介します。
家庭用レーザー脱毛器
家庭用脱毛機の中でも、最も医療脱毛に近い原理で行われるものがレーザー脱毛機。市販されている商品の数は限定され、販売価格も比較的高額なものになります。
照射されるレーザーは脱毛の医療用レーザーと同じようにムダ毛のメラニン色素に反応しやすいレーザー光であり、肌に負担をかけにくい事からある程度強いパワーのレーザーを照射することができるタイプの美容機器ですので、ある程度までは脱毛の効果を期待できるでしょう。
機器の安全性などのチェックが行われている事を考えれば毛根組織など細胞を破壊する程度、本当に永久脱毛といえるレベルの処置は難しいものの、細胞にダメージを与えて働きを弱らせる程度であれば現実的に可能で、エステサロンで行われているようなレベルのケア(毛を細く目立たなくしていく)であれば可能であるといえます。
ちなみに、レーザーのパワーの強さは「ジュール」という単位で表され、医療脱毛では主に14ジュール/㎠以上の出力数で施術を行います。この出力が強いほどレーザーによって発生する熱が強くなり、細い毛やVラインなど深い部分に毛根がある毛でも脱毛を行う事が出来るようになります。
家庭用レーザー脱毛器でも、確認できる範囲では最大22ジュールの出力数でレーザーを照射できるものもあるため、出力の強さで考えると永久脱毛を行う条件を満たす可能性はあります。実際、レーザーが反応しやすい太く色が濃い毛であれば、家庭用脱毛機でも永久脱毛効果を発揮させる事は可能ではあるでしょう。
しかし、ある程度細い毛や色が薄い毛、軟毛などになってくると、相応に強い出力でなければ永久脱毛効果を発揮する事が難しいため、医療脱毛以外で永久脱毛というのはまずできません。これは、機器の扱える出力の他にも、出力を上げると肌トラブルが発生する可能性も高くなってくるため、その最適な処置を行える医療機関でしかまず行われないという理由もあります。
また、家庭用レーザー脱毛器を使用して永久脱毛を謳い、他人に施術を行うと医師法違反という法律に触れますので、こちらもあわせて注意しなくてはなりません。
永久脱毛できないと知ると少々残念な気もしますが、家庭用とはいえレーザーを照射する以上高い減毛効果は期待できますので、美容外科や美容皮膚科に中々通えないという方や、エステサロンと同程度のケアを家庭で試したいというような方にとっては便利な方法であると言えます。
家庭用フラッシュ脱毛器
光照射による熱でムダ毛の処理を行うという点ではレーザーと一緒ですが、クリニックと近いレーザー光ではなく、IPLという種類の光を照射するタイプのものが、家庭用フラッシュ脱毛機です。
IPLによる脱毛は主として脱毛サロンやエステティックサロンで行われている方法ですので、そもそも医療行為ではなく美容行為であり、家庭用ではなく業務用のものだとしても永久脱毛は行えません。
この理由の一つが光の性質による違いで、医療機関で使われているレーザーであれば、熱刺激をある程度狙った部分のみに集中させる事ができますが、IPLなどの光は毛のメラニンだけではなく、肌のメラニンなど色々な部分に刺激が分散してしまうため、光を強くするとその分毛根組織以外の肌も傷つきやすくなります。そのため、肌のダメージを避けて施術を行うためにはある程度光の強さを抑えなければならず、結果として脱毛効果も不十分になってしまうのです。
このレーザーとIPLの性質の違いは家庭用脱毛機でも同じで、やはりレーザーではないフラッシュ脱毛機の方が、同じ出力で照射した場合は脱毛効果が弱く、かといって強い出力にすると肌がダメージを受けやすくなるという問題点があります。
家庭用脱毛機も改善が繰り返されているため、現在販売されている家庭用フラッシュ脱毛器の中にはかなり高性能な製品も出てきてはいますが、やはり多少の減毛処理が限界といえます。こちらもエステサロンと近い効果であれば得る事が出来るといえますので、エステレベルの脱毛を体験したいという場合には良いでしょう。
また、家庭用フラッシュ脱毛器で照射するIPLは脱毛効果以外に、肌の細胞を活性化させる作用も期待できますので、光によるムダ毛処理とともに美白効果などを得たいという方にはおすすめできそうです。
毛抜きマシン
家庭用脱毛機とされている商品の中には、レーザーや光でムダ毛を処理するのではなく、肌がいたみにくいように毛抜きを行うというようなものもあります。
このタイプは当然のことながら永久脱毛効果は無く、また毛が生えてくるのを遅くしたり、細くしていくという減毛の効果もありません。
利用から一定期間すれば、また同じように毛が生えてくる事を繰り返すのみなので、ムダ毛の処理が面倒という方にはおすすめできません。
ヒートカッター式
機械を使うムダ毛処理方法で、かつ「熱」を使うという事からレーザーや光による脱毛と勘違いされる事もあるものが、ヒートカッター式のムダ毛処理方法です。
これは簡単にいえば、熱によってムダ毛を剃る方法で、鋭い刃の代わりに熱を使ってムダ毛を処理するだけのもの。基本的な原理はカミソリなどと変わりません。
シェービングを肌になるべく負担がかからないように行いたい場合に利用しましょう。
永久脱毛の定義
ちなみに、ここまでに使っている「永久脱毛」という言葉を聞くと、脱毛した後には完全に毛が生えてこない状態というものを想像しますが、実際には永久脱毛は「最後の施術を行った日から30日後のムダ毛の再生率が20%以下」の脱毛方法と定義されています。
これは裏をかえせば、30日以降にムダ毛が再発したり、再生率が20%以内であれば、多少なりムダ毛が再発しても永久脱毛と呼ぶ事が出来るという意味になりますが、このレベルでいってもやはり永久脱毛が出来るのは医療脱毛のみ。
家庭用脱毛機やエステサロンによる脱毛は、どの方法であっても永久脱毛にはならないため、本当に自己処理から解放され、ツルツルの肌を目指すのであれば医療脱毛を選ぶようにしましょう。
家庭用脱毛機のメリット
以上のように、家庭用脱毛器による自己処理は医療行為ではなくあくまでも美容行為ですので、永久脱毛の効果はまず発揮されません。
太く濃い毛のみであれば生えて来なくなる可能性もありますが、特に女性の場合は比較的薄い毛が多いので、確実な永久脱毛効果を求めるならクリニックによる脱毛一択だといえます。
それでは家庭用脱毛機は使わない方が良いかというと、そういうわけではありません。
クリニックでの脱毛レベルでは無いものの、家庭用脱毛器を使う事でエステサロンでの施術のような減毛効果を求めることは可能ですし、好きなときに好きな部位の処理を行えるというメリットがあるため、なかなか店舗での施術に行けないような人が、ある程度気軽に利用するためには良い方法です。
また、無理に毛抜きなどでムダ毛を処理するよりは肌トラブルにも軽減できるため、継続する自己処理の一環として考えた場合も一定の利用価値があるでしょう。
永久脱毛なら美容外科または美容皮膚科へ!
永久脱毛は、美容外科や美容皮膚科といった医療機関で受けることができ、ニードル脱毛または医療レーザー脱毛のいずれかで永久脱毛することが可能です。これらの永久脱毛の特徴についてご紹介します。
ニードル脱毛(絶縁針脱毛)
電極針(絶縁針)を毛穴から差し込んで電流を流し、毛根組織を焼き切って破壊する方法です。
この方法はひとつひとつの毛穴ごとに電気を流して処理していくので、永久脱毛の確実性が高いというメリットがあります。
しかし、その方法から1部位あたりの脱毛が完了するまでには非常に時間がかかり、また施術中の痛みが強いというデメリットがあります。施術が大変である事から、コストも比較的高くなる傾向にあります。
以前の医療脱毛ではこの方法が主流でしたが、医療レーザー脱毛の登場によって現在ではこの脱毛方法を導入する医療機関が減っています。また、施術中に強い痛みを伴うという理由から、この方法による脱毛を希望する方も減少の傾向にあるようです。
医療レーザー脱毛
アレキサンドライトレーザー、ダイオードレーザー、YAGレーザーなど、さまざまな種類のレーザーを毛根組織に照射して破壊する方法です。この方法では、毛穴に針を差し込むことがないため、ニードル脱毛よりも少ない痛みで施術を受けることができるというメリットがあります。また、一回のレーザー照射で一定の範囲の毛穴を施術する事が可能なためスピーディに行え、コストも抑えられるという点がおおきなメリットです。
なお、これらのレーザーはムダ毛の黒い色素に反応を示す性質を持っているため、色素が濃いほど高い脱毛効果を期待できます。しかし、レーザーの反応が強ければ強いほど施術中の痛みは強くなります。特に脇やVIOラインのムダ毛は色素が濃いことが多く、また、これらの部位は毛穴が密使有している可能性があるため、施術中には強い痛みを感じることがあるでしょう。
このようにレーザーには黒い色素に反応する性質があるため、白髪になってしまうと脱毛効果を期待できません。白髪になった部分を脱毛したいのであれば、ニードル脱毛に頼るしかないということになります。
また、肌が黒く日焼けしているなど肌の色が濃い状態の場合にもレーザーが反応する可能性があるため、日焼け肌や、シミなどがある場所には照射することができません。
日焼け肌でもある程度の濃さであれば脱毛が行える場合がありますが、脱毛に利用される機械などによっても対応可能かどうかは変わります。
肌の色が濃くても脱毛が可能なものとしてはYAGレーザーやダイオードレーザーを使った脱毛がありますが、最近では「蓄熱方式」と呼ばれる脱毛の方法も、日焼け肌の脱毛に向いているとされています。
蓄熱方式の脱毛とは
一般的な医療レーザー脱毛は、レーザーの熱エネルギーによって毛根組織にダメージを与えて破壊する方法です。毛根にまで届く強いレーザーを照射し、毛根部分を200度程にまで熱する事で脱毛を行います。
一方の「蓄熱方式」では毛根部分を強いレーザー照射によって破壊するのではなく、毛根組織よりも少し浅い部分にある「バルジ領域」に低いパワーのレーザーを照射して、破壊する事を目指します。「バルジ領域」は毛を直接育てる毛根組織とは異なりますが、ムダ毛の成長を促す部分であるため、この部分の機能を弱らせることが脱毛につながるということです。
毛包の比較的浅い場所に対してアプローチするという事や、強いレーザーを単発で当てて熱するのではなく、弱いレーザーを繰り返し当てて肌全体を温めていく(蓄熱していく)という方法であるため、肌への刺激が優しい脱毛を行う事ができます。
「蓄熱方式」の医療レーザー脱毛の場合でも白髪に対する脱毛効果はあまり期待できませんが、単発でのレーザー出力が弱いため、ある程度の日焼けであれば十分に対応することが可能です。
「蓄熱方式」の医療レーザー脱毛器には「メディオスター」や「ソプラノ」などがありますので、日焼け肌でも医療ザー脱毛をしたいという方は、これらの機種を導入している医療機関に相談し、医療レーザー脱毛が可能かどうか確認してみてはいかがでしょうか。
永久脱毛なら医療機関に任せましょう
家庭用脱毛器に期待できる効果は抑毛または減毛に留まり、永久脱毛効果を期待することはできません。これを知らずに家庭用脱毛器を購入してしまうと、後悔することにもなりかねませんので、家庭用脱毛器の購入をお考えの方は、まずはこの点をしっかりと押さえておきましょう。
最近では、施術料金が安いクリニックがたくさんありますので、確実に永久脱毛したいのであれば、ひとまず美容外科や美容皮膚科を訪れて、どの程度の効果を期待できるのか医師に直接確認してみてはいかがでしょうか。