抑毛剤やコスメはどの程度効果が期待できるもの?
医療脱毛 (その他(脱毛))
公開日:2019/01/11
そんな時に役立つのが抑毛剤やコスメなどのアイテムです。これらにはどのような効果を期待できるのか、またどのような商品を選べばいいのかについてご紹介します。
監修 宇井千穂
やさしい美容皮膚科・皮フ科 秋葉原院/シミレーザー東京 院長
・日本美容皮膚科学会
・日本抗加齢医学会
・日本レーザー学会
・日本胎盤臨床医学会
・アラガンボトックスビスタ注入認定資格
・アラガンジュビダーム注入認定資格
知っておきたい、抑毛・除毛・脱毛の基礎知識
よく見聞きする言葉に、抑毛、除毛、脱毛があります。これらは文字だけを見ていると似ているようですが、実は全くのベツモノです。それではまず、これらの違いについて簡単にご紹介しておくことにしましょう。
抑毛
抑毛とは、ムダ毛の成長力を抑えるという意味合であり、根元からムダ毛を抜くことではありません。また、毛が成長するスピードを抑えるというものであって、毛が生えてこないようにするというものでもありません。
では、抑毛はどのような原理によって行われるものなのでしょうか?
まず、髪の毛も含め人の体にはえるすべての体毛は、毛周期という周期によって生え変わりを繰り返しています。
この毛周期は大きく分けて「成長期(髪が誕生してから育ち続ける期間)」「退行期(成長が止まって抜けるるまでの期間)」「休止期(抜けてから新たな毛が誕生するまでの準備期間)」という3つの段階となっていて、毛が生えている部位によっても異なります。
例えば髪の毛で言えば、健康な毛根の場合では、成長期が4~5年、退行期が3カ月前後、退行期が3カ月前後といわれていて、髪の毛がほかの部位の毛と比べて長く伸びるのは、このうちの成長期が長いため。髪の毛は1日に0.3~0.5ミリ程度伸びるため、伸びる速度が早ければ10日で5ミリ、1月で15ミリ、1年で18センチ伸び続け、この状態で仮に5年間成長期が続けば90センチ程度まで伸びるという計算になります。
逆に、例えばまつ毛などの短い毛は成長期が短く、毛周期全体で3か月から6か月程度と言われています。
抑毛は、この3つのサイクルの中の成長期の毛に対し、成長を遅らせる事で行われます。
成長を遅らせるための手段としては、毛の育成を行う細胞を弱らせる事や、毛の成長のために送られる栄養や、成長を促進する成分を阻害する方法などが上げられ、抑毛を目的としたコスメやエステサロンでの光脱毛は、こうした働きによって毛が生える速度を制限しているとされています。
除毛
根元からムダ毛を除去するのではなく、伸びたムダ毛を短くし、一時的にムダ毛をなくす処理を除毛といいます。除毛はカミソリやシェーバーなどによる処理のほか、除毛クリームによる処理があります。
毛を短くしているだけですので当然永久脱毛効果は無く、またムダ毛の成長スピードを抑えることもありません。
カミソリやシェーバーによる処理では、肌表面の深さでムダ毛を処理するため、多少でも伸びればムダ毛が目立つ事となり、早い方では翌日にムダ毛が目立ってきます。
除毛クリームでは毛穴のやや奥まった部分からムダ毛を取り除くことができるためカミソリやシェーバーよりもやや長い期間の除毛効果を期待できますが、処理した後はすぐにまた伸び始めるため、数日から1週間程度もすれば再び毛が生えてくる形となります。
尚、除毛クリームは毛のたんぱく質を溶かすチオグリコール酸カルシウムという成分などによって、毛を柔らかくして除去する方法ですが、この成分は毛を溶かすだけではなく肌に対して刺激性があるため、敏感肌の方の場合では炎症や痒み、赤みなどの肌トラブルが起こることがあります。
脱毛
ムダ毛を根元から除去する方法で、一時脱毛と永久脱毛に分類されています。
一時脱毛とは、毛抜きやワックスでムダ毛を抜き、一時的な脱毛効果を得られる方法で、毛を抜いた後には再度毛の成長が始まるため、一定期間が経過すれば再度ムダ毛が目立つようになります。
毛を根元から除去するため、除毛によるケアよりかは長い期間ムダ毛のない肌を保つ事ができますが、毛を育成する細胞そのものに干渉するわけではないので、ムダ毛が生えてこなくなったり、薄くなったりすることはありません。
無理に毛を抜くと、毛穴内部がダメージをおって炎症や埋没毛といったトラブルを引き起こしやすいため、肌への負担が大きい処理方法です。
一方、永久脱毛は最終処理日から1カ月後のムダ毛の再生率が20%以下の方法で、繰り返す事でムダ毛が生えてこない状態を作る事ができます。
ムダ毛の生えてこない肌を目指すものとしては、一般的には医療機関で行われている医療レーザー脱毛やニードル脱毛のほかに、脱毛サロンでの光脱毛(フラッシュ脱毛)や電気脱毛があると認識されていますが、エステサロンで行われている脱毛ではどの方法でも毛の育成を行う毛根組織を破壊することができず、ムダ毛の再生率が高いという特徴があるため、厳密には永久脱毛ではなく、前述のとおり抑毛または一時脱毛の処理ということになります。
医療機関で行われているニードル脱毛や医療レーザー脱毛については、毛根組織を破壊できるため、永久脱毛に分類されます。
体の細胞を傷つけるという内容であるため、医師または医師の監督下にある正看護師や、准看護師のみしか施術を行う事はできません。
以上が抑毛、除毛、脱毛と使い分けられる言葉の違いとなります。
抑毛はムダ毛の成長を遅らせる効果に留まり、毛が生えてこないようにしたり、本数を減らしたりするものではないのです。
抑毛剤やコスメにはどの程度の効果を期待できるの?
現在市販されている市販の抑毛剤やコスメの多くは、豆乳などに含まれる大豆イソフラボンなどの抑毛成分を利用したものとなっていて、イソフラボンのもつ女性ホルモンに近い働きが、ムダ毛の成長を抑制するとされています。
ただし、実際にはこのイソフラボンを肌に塗布する事による抑毛効果ははっきりと科学的に検証されているものではなく、あくまでも民間療法としてのものであるため、継続して使用していたとしてもムダ毛の成長が遅くできるとは限りません。
あくまでも保湿などを目的としたスキンケアの一つとして利用する程度で考えたほうが良いでしょう。毛は肌を守るために生えているという事もあり、肌の健康がきちんと維持されていれば、過剰なムダ毛の成長などを防ぐ事ができる可能性はあります。また、スキンケアによって肌の透明感が上がる事でも、多少のムダ毛が気にならなくなるという場合がありますので、しっかりとしたスキンケアは大切です。
抑毛コスメの中にはムダ毛を柔らかくするとして肌に刺激となる成分が含まれているものもあるので、注意が必要な場合もあります。
肌に使ってみて刺激を感じたり、かゆみなどの症状が出たりするようであれば、商品の利用を控えたほうがいいでしょう。
セルフケアでの抑毛は家庭用脱毛器などで
もしセルフケアでの抑毛効果を目指すのであれば、家庭用脱毛器の利用という手段は有効となる可能性があります。
家庭用の脱毛器は原理としてはエステサロンやクリニックで行われている脱毛方法と同じですが、出力の違いなどから永久脱毛効果を得ることはできません。しかし、エステサロンでの脱毛と同じように、ある程度毛根組織にダメージを与え、抑毛効果は得られる可能性があります。
ただし、抑毛効果を目的として利用していても、弱い出力が逆に毛根を活性化させる丁度いい刺激となって、細い毛が太く硬くなる「硬毛化」という現象が起こる事もあります。
医療脱毛であれば硬毛化がおこっても、適切な施術を行う事で永久脱毛ができますが、エステ脱毛や家庭での脱毛では解消が難しい場合もあるので、こうした症状が引き起こされた場合は一度クリニックでの永久脱毛を検討したほうが良いでしょう。
抑毛剤やコスメでは永久脱毛はできません
永久脱毛は毛根組織を破壊する医療行為であるため、医療機関でしか行うことができません。たまに、抑毛剤やコスメ、脱毛サロンで永久脱毛できると思いこんでいる方の声を耳にしますが、それは間違った認識です。
仮に抑毛剤やコスメが広告通りの効果を発揮するとしても、期待できる効果はムダ毛の成長力を弱らせるに留まりますので、これらの使用をお考えの方は、正しい認識を持った上で使用するようにしましょう。