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  ドクターインタビュー

下半身美容の専門医として“誰にも言えないお悩み”に挑む

ドクター
インタビュー

下半身美容の専門医として“誰にも言えないお悩み”に挑む

ヴェアリークリニックは、婦人科形成領域をはじめとした下半身美容を総合的に扱うクリニック。下半身美容と聞くと脚やせやヒップケアをイメージするが、こちらでは女性器形成に力を入れている。
「専門性が高い領域ながら、他の美容施術の付属的に扱われていることが多いと知り、総合的な診療を行うクリニックを作りたかった」と、井上裕章院長。
下半身のお悩みを抱えて苦しんでいる方は多い。そして、ほとんどの方はお悩みを解消する施術の存在を知らない。井上院長は、施術があることを広く伝え、一人でも多くの患者さまのお悩みを「おしまい」にしたいと考えている。

ある患者さまとの出会いが医師としての価値観を変えた

ヴェアリークリニックは下半身美容に特化したクリニックとうかがいました。
開院の経緯に興味があるのですが、まず先生の経歴から教えてください。

大学卒業後、一般的な初期研修を経て、がん治療を中心とした外科の領域に進みました。
子宮を含めた生殖器、外性器、直腸、肛門、ぼうこう、下肢など、骨盤臓器の悪性疾患を取り扱う外科医をしていました。


そこから美容医療に進んだのはどうしてですか?

ある患者さまと出会ったことがきっかけです。
それまでの僕は、がんなどの病気が人にとって一番大きな問題だと信じて医者をしていました。でも、その方は婦人科領域の美的なお悩みを理由に「大腸がんの手術は受けません」とおっしゃったんです。そのときは本当に驚きましたね。
その後、改めてお話をうかがって信頼関係を築き、美容面のサポートを行うことでがんの手術も受けてもらえました。無事に根治して「がんになったおかげで先生に出会えて、コンプレックスまでなくなってよかった」と言っていただけたんです。


病気を治すことを重視する先生に対し、患者さまは美容面のほうが重要だったわけですね。

そうですね。医者としての価値観が凝り固まっていたのかなと思わされましたし、医者としての価値観が180度変わりました。

それ以降、がん治療以外のお悩みにもしっかり耳を傾けるようになり、保険診療でカバーしきれない美容的なお悩みを持つ方がたくさんいることを知りました。


それがヴェアリークリニックにつながったわけですね。

はい。自分なりに調べたり、周りの先生に聞いたりしたところ、女性器や脚などそれぞれの分野で一生懸命やっている先生はいますが、総合的に診ているクリニックが存在しないことを知りました。

自身の経験を生かして総合的かつ最善の治療が提供できると思い、クリニックの開業を考えるようになったんです。
患者さまの「先生に全部診てほしい!」という声に背中を押されたところもありますね。


総合的に診たほうがいい理由を具体的にご説明いただけますか?

骨盤周りの臓器はそれぞれが密接に関わっています。もちろんあってはならないことですが、女性器の施術中にぼうこうや尿道、直腸、肛門などに傷をつけてしまうことは起こり得ます。
速やかにリカバリーするためにも、総合的に診療するのが理想だと思っています。

万が一のときというのは極端な話ですが、治療方針を決めるにも解剖的知識は生きてきますし、あるとないとでは仕上がりにも差が出ると思います。


下半身のお悩みを解消する施術があることを広めていきたい

ヴェアリークリニックの理念を教えてください。

「美容医療をがん診療の高みへ」という理念を掲げています。

医者のあいだでも、一般の方にも、がん治療は立派で崇高なもの、美容医療は邪道というイメージが浸透しているのではないでしょうか。正直、僕も昔はそう思っていました。
でも、先ほどお話ししたように、美的なコンプレックスは病気を抱えてしまう以上につらいと感じる方がいらっしゃるのです。

医療が人の苦しみを取り除くものであるならば、がん治療と美容医療に上下があるはずはないですよね。だから、まずは自分から、そのような風潮を変えていきたいと思っています。


がん治療と美容医療の位置付けのイメージはどうして生じているのでしょうか?

私が根本の原因と思っているのが、がん治療はものすごく客観的で、データに基づいて治療法が決まっていくけれど、美容医療はあいまいな部分が多いということです。美容医療は同じ治療でもいろいろな名前があって非常にわかりにくい。そのせいで透明性が失われているのではないでしょうか。

美的な部分は患者さまの感覚を最大限尊重しますが、治療基準や内容においては、もっと客観的なものを示したうえで選択することが理想だと思います。


次に診療についてうかがいます。
下半身美容に特化しているとのことですが、具体的にどのような診療を行っているのでしょうか?

カテゴリーは、婦人科形成、美脚形成、ヒップメイクの3つに分けられます。
婦人科形成では、女性器の見た目を整える施術や膣の機能改善を目指す施術を行っています。
美脚形成は注入系施術による脚やせ、そしてヒップメイクはダーマペンや特別なピーリング剤を使った美肌治療がメインです。


特に力を入れている施術をご紹介ください。

膣ヒアルロン酸です。簡単に言うと、膣の粘膜内に直接ヒアルロン酸を注入し、膣を狭くし、膣圧を高める施術です。

この施術を受ける方のお悩みは大きく2つ。1つは自分の感度が悪い不感症のケース、もう1つは膣が緩かったりしてパートナーを満足させられていないケースです。

お悩みによってヒアルロン酸を打つ場所や量が変わりますので、しっかりヒアリングしたうえで施術を行っています。


そのようなお悩みを抱えている方は多いのでしょうか?

はい。お悩みはとても多いのですが、このような施術があることを知らない方も多いと思います。しかも、女性器のお悩みはあまり周囲に言えないので、お悩みを抱えて過ごしている、もしくは諦めている方がとても多い印象です。

一人でも多くの方のお悩みを「おしまい」にしたいと思っているので、このようなインタビューもそうですし、当院のYouTubeなどで施術があることを伝えていきたいですね。


一人で抱え込まず、クリニックでお悩みを吐き出してほしい

医師としてのこだわり、信念を教えてください。

先ほどお話したことに含まれていますが、強調したいのは、美容医療においてもエビデンスを重視したいということです。

みなさんあまりご存じないと思いますが、医療の現場でなにかを決めるときには2つのアプローチがあります。
1つがエビデンス。論文や蓄積されたデータによって確立されたものです。多くの方がこれだけで決まっていると思っていますよね。でも、もう1つ「いにしえからの言い伝え」みたいなものもあるんです。


「いにしえの言い伝え」ですか...。

わかりやすい例でいうと、大腸がんの手術で腸を切除した場合、日本では、まず流動食からはじめ、徐々に慣らしていきます。でも、アメリカなどでは手術翌日からステーキとかを食べているんですよ。
流動食から食べなければいけないというエビデンスはないのに、日本全国で流動食からなんです。

もちろん全てが必要ないとは思いませんけど、美容医療は言い伝えの占める割合が多い印象なので、少しでもエビデンスの量を増やしていきたいと思っています。

ただ、エビデンスがこうだからと一方的に押し付けるのではなく、全てを提示したうえで、患者さまと話し合って決めていきたい。そのためにも患者さまの根本的なお悩みをしっかり聞き出すことを心がけています。


最後に読者へのメッセージをお願いします。

20年前と違って今は、目や鼻の施術をしたことやクリニックの良し悪しを友だちと気軽に話せる時代です。でも、婦人科を中心とした美容医療はまだまだ周囲に話せない。この「誰にも言えない」ことが、下半身のお悩みの一番の問題であり、つらいところだと思います。

誰かに相談できるだけで楽になると思うので、お悩みを吐き出す場としてクリニックを使ってほしいです。実際に施術を受けるかどうかは話を聞いてから決めればいいので、まずは相談してください。

編集後記

インタビューを終えて印象に残っているのは、こちらの疑問や質問に言葉を選びながら丁寧に答えてくださるので、内容がスッと入ってくることでした。患者さまとの信頼関係を築くためにカウンセリングに時間をかけているそうですが、しっかり話を聞いて、わかりやすく説明してくれるんだろうなぁ、と感じました。
ご自身のことをうかがうと「人に優しく、自分にも優しい(笑)」とのお返事でしたが、それを言うと周りからは「自分にはかなり厳しい」と言われるとか。そのストイックさが、下半身美容を総合的に扱うクリニックという新しい試みを可能にしたのかもしれません。

ドクター紹介

院長

井上裕章

女性器形成の治療は日本でまだまだ浸透していません。
どんな治療があるのか、本当に解決できるのか、そんな風に治療を知らない方々へ向けて、安心して受けていただけるよう情報を発信し、「誰にも言えない」お悩みに寄り添いたいと思っています。
「女性や男性のどちらか一方のみに偏った治療にせず、男女ともに幸せになるための治療」を通して、あなたがより美しくなるためのお手伝いをすることができれば幸いです。

所属学会・資格

<所属学会など>
日本外科学会
日本性機能学会
日本フットケア・足病医学会
日本大腸肛門病学会

<称号・資格>
日本外科学会認定外科専門医
ボトックスビスタ認定医
ジュビダームビスタボリューマ認定医
ジュビダームビスタバイクロス認定医

略歴

2014年 東京大学医学部 卒業
2016年 国際医療福祉大学三田病院 初期研修 修了
2019年 国立国際医療研究センター病院 外科専門研修 修了
     東京大学医学部附属病院 勤務
2020年 東京大学医学部附属病院 外科学専攻 大学院進学
     都内美容クリニック 勤務
2021年 都内美容形成クリニック 勤務
2022年 veary clinic 開院

井上先生の回答した質問

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