ニキビを潰す行為はNGの理由と、早く解消したい場合のケア方法
ニキビ・ニキビ跡の治療 (ケミカルピーリング)
公開日:2019/02/12
そこで今回は、ニキビを潰す行為がNGな理由と、ニキビを早く解消したい時のケア方法を、ニキビの種類別に紹介します。また、潰して良いニキビと、ニキビを潰す時の注意点もまとめましたので、参考にしてみてください。
監修 浜口雅光
浜口クリニック梅田 院長
昭和60~62年・・近畿大学病院「形成外科研修医」を務める
昭和62年4月・・・近畿大学大学院「医学研究科」に進学(平成3年卒業)
平成3~5年・・・・近畿大学医学部助手として勤務
平成5~7年・・・・八尾徳洲会総合病院(関連病院)「形成外科医」を務める
平成7年4月・・・・東京整形浜口クリニックを開設し、梅田院院長就任
ニキビの種類
ニキビは、段階によって4つの種類に分類されます。初期段階のニキビは白ニキビといって、皮脂が毛穴の中に溜まり、毛穴が詰まって膨らんだ状態です。黒ニキビは白ニキビの毛穴が皮脂によって押し広げられた状態で、酸化した皮脂などが黒く見えます。白ニキビと黒ニキビは、炎症のないニキビになります。
一方、炎症を起こしている状態のニキビが、赤ニキビと黄ニキビです。赤ニキビはアクネ菌が増殖し、赤く腫れて炎症を起こしている状態です。治療をしないでいると、ニキビ跡になる可能性もあります。赤ニキビが更に悪化して、炎症の酷くなった状態が黄ニキビです。黄ニキビは、炎症によってダメージを受けた皮膚に膿が溜まっている状態のため、ニキビの最終段階ともいわれます。
ただし、黄ニキビの状態でも治癒せず、炎症が更に深くまで進行すると皮下で出血が引き起こされ、血液と膿が混ざった状態になる事で「紫ニキビ」と呼ばれる状態になる事もあります。ニキビとしての悪化は膿が作られるところまでですが、見た目としては更に一段悪化する場合があるという形になります。
潰しても良いニキビは炎症前まで
炎症を起こす前のニキビであれば、潰しても問題ないと言われています。
ニキビの初期段階である白ニキビや、白ニキビが酸化した黒ニキビはコメド(角栓)と呼ばれていて、毛穴に皮脂が詰まっているだけの状態。この状態は肌のダメージまでは繋がっていないので、コメドを除去してしまえばそれでニキビが解消される形となります。
逆にコメドを放置しておくと、毛穴内部でアクネ菌が増殖して、赤ニキビや黄ニキビに進行することがあります。ニキビを治すには、溜まった皮脂を早めに取り出すと良いでしょう。
ニキビの潰し方と注意点
ニキビを潰す時に、気を付けなくてはならない点が幾つかあります。
まず、ニキビを潰す前に、患部や手を清潔にしておきます。清潔にせず菌が付着したままニキビを触ってしまうと、その菌が更なるニキビの悪化に繋がる場合があるため、通常の手洗いだけではなく、出来ればアルコールなどでの殺菌も併用した方が安心です。
コメドを押し出すのにおすすめのタイミングは、お風呂上がりや洗顔後になります。入浴後や洗顔後は清潔な上に毛穴も開いているので、ニキビを押し出すのに最適です。皮脂を取り出す時は、コメドプッシャーやピンセットなど、専用の器具を使います。
自分の爪を使って押し出す人もいるかもしれませんが、患部がさけてしまうなど、傷口が広がってしまうこともあります。また、爪のは清潔にしても雑菌が残ってしまいやすい場所であるため、爪で触る事で雑菌が入り、化膿する恐れもあるため、爪で押し出すのは避けてください。
コメドプッシャーを使う時は、ニキビの上から優しく押しあてます。コメドが出てきたところで、ピンセットを使って取り除きます。
コメドを残してしまうと、再びニキビが出来てしまうので、なるべく最後までコメドを取り除いてください。1回で取りきれない時は、2、3回に分けて取り除きます。
ただし、軽く押してみても芯が出てこない時は、無理矢理潰すのではなく、別の日に行ってみてください。無理やりに強く押すと、その刺激が肌へのダメージとなって肌トラブルが発生しやすくなってしまう場合があります。
ニキビの芯を取り除いた後は、患部を消毒しておきましょう。また、処置後は毛穴が開いているため、雑菌も入りやすくなっています。ニキビを潰した後は、引き締め効果のある化粧水でのケアをすることも忘れないでください。
炎症したニキビを潰す行為がNGの理由
ニキビを潰すことがいけないと言われているのは、ニキビを潰す時にニキビの周りの皮膚を傷つけてしまうからです。ニキビに圧力をかけたり、ニキビの芯を取ろうとして、皮膚に凸凹したクレーターのような跡が残ってしまうことがあります。
肌の奥深くにある真皮が傷ついて修復できないと、肌が凹んで跡が残ります。ただし、ニキビを潰しても、真皮に傷が残らなければ、クレーターにはなりません。何度も同じ場所に出来るニキビを毎回潰していると、真皮にダメージが到達し、クレーターになるリスクは高くなります。いつも同じ場所にニキビが出来るということは、ダメージが深く、皮膚もかなり傷ついている状態と考えられます。
ニキビが原因でシミが出来る事も
ニキビを潰すことで、シミになってしまうこともあります。ニキビを潰して皮膚に刺激を加えると、毛細血管が傷ついて膿と血が滲み、赤紫や紫のニキビへと一気に進行しやすくなります。
この紫ニキビは肌の深くまでダメージを負っている状態なので、クレーターなどのニキビ跡になりやすいだけではなく、皮膚の炎症が刺激となってメラニンの分泌が促進され、さらに肌のターンオーバーが乱れるため色素沈着を引き起こしやすくなって、茶色のシミのようなニキビ跡として残るのです。
一般的にシミは紫外線の影響で出来ると認識されていますが、ニキビの痕や傷跡にも「炎症後色素沈着」と呼ばれるシミが出来やすいので、ケアには十分に気を付けましょう。
ニキビを早く解消したい時のケア方法
ニキビを早く解消したい時は、正しいケアを行いましょう。そこで、ニキビの種類別に、ケア方法を紹介します。
①白ニキビと黒ニキビのケア方法
白ニキビ、黒ニキビの出来る原因
白ニキビは、皮脂や老廃物が毛穴に詰まった状態です。
主な原因としては肌の乾燥などによって剥がれやすくなった毛穴周辺の角質と皮脂が混ざってドロドロの状態になり毛穴を塞いでしまう事や、油性の化粧品の厚塗りによって毛穴を塞いでしまう事などが挙げられます。
メイクを落とさずに寝てしまったり、普段のスキンケア不足によって古い角質が蓄積することも毛穴が塞がる要因となるため、白ニキビの原因になります。
また、白ニキビの段階できちんとケアできないと、黒ニキビに進行する事があります。
白ニキビが黒くなるのは、毛穴の入り口に溜まった皮脂や古い角質が、空気に触れて酸化するからです。黒ニキビは毛穴がぽつぽつと黒く見える状態のため、不潔な印象を与えてしまいます。
洗顔を見直す
白ニキビや黒ニキビの皮脂汚れや古い角質を取り除くためには、洗顔が必要です。ですが、強い洗浄成分の入った洗顔料を使ったり、洗顔のし過ぎで刺激を与え続けると、肌が傷ついてしまい、傷ついて剥がれやすくなった肌(角質)と皮脂が混ざる事で毛穴が詰まりやすくなります。
また、皮脂を始めとした肌の保湿成分を洗顔によって落とし過ぎると、逆に肌が乾燥から身を守ろうとして皮脂の分泌が過剰になります。
適切な洗顔回数は1日2回、朝起きた時と夜がおすすめ。
メイク汚れや分泌された皮脂などを就寝前にしっかりと落とす事と、睡眠中に付着したホコリなどを起きた時に軽く洗い流す程度で洗顔するようにしましょう。
入浴中は皮膚表面の角質層が柔らかくなって毛穴が開くので、入浴中の洗顔もおすすめです。お湯は32〜35℃のぬるま湯で、石鹸や洗顔料をよく泡立ててから、顔を洗いましょう。
顔を洗う時は手で肌をゴシゴシ擦らないように、よく泡立てた洗顔料を優しく押し当てながら、肌を摩擦せず丁寧に洗う事が大切です。
また、洗顔後は肌の乾燥を防ぐためにも、化粧水や乳液でしっかりと保湿してください。保湿を行うことで、肌のバリア機能もアップします。
ビタミンを摂取して体の中からもケア
ニキビが出来た時は、なるべく初期の段階で治したいものです。飲み薬ならば、ビタミンが摂取できるものを選ぶと良いでしょう。ビタミンが不足していると、肌荒れやニキビになりやすいので、ビタミンを摂取するよう心がけてください。
ちなみに、ビタミンAは、新陳代謝を促進し、ターンオーバーを正常にしてくれます。ビタミンBは肌のターンオーバーを促進するほか、皮脂の分泌を抑え、ニキビが出来にくい肌へと導いてくれます。ビタミンCは炎症を抑えるほか、肌のハリを作るコラーゲン生成にも重要な役割であるため美肌効果も期待できる成分です。ビタミンEは抗酸化作用や活性酸素除去、肌荒れ改善などの効果があります。
②赤ニキビのケア方法
白ニキビで毛穴に詰まった皮脂を餌にしてアクネ菌が繁殖し、アクネ菌の出す酸性の物質などによって肌の細胞がダメージを受けて炎症を起こし、赤くなった状態が赤ニキビです。
赤ニキビには、抗菌作用や抗炎症成分配合の塗り薬がおすすめです。
ニキビの原因菌でもあるアクネ菌を減らすため赤ニキビの原因を抑える事ができます。
また、赤ニキビの状態で毛穴がまだ詰まっている時には、ビタミンA誘導体の作用をもつ薬や過酸化ベンゾイル配合の薬など炎症性にも非炎症性ニキビにも有効な薬もありますので
ニキビの状態に合わせて薬を選ぶ事が大切です。
どの薬がケアとして最適なのか見極めるのは難しいので、出来れば一度専門の皮膚科医に相談して最適な薬を処方してもらうようにすると、早くキレイに治す事が出きます。ニキビの症状は保険診療で治療が可能なため、価格も抑えられる事も利点です。
③黄ニキビのケア方法
赤ニキビより炎症の酷い状態が黄ニキビで、中心に膿が溜まっています。黄ニキビを自分で潰してしまうと跡が残りやすいですし、黄ニキビまで悪化していると跡を残さないために適切な治療が必要であるため、酷い時は皮膚科で診てもらったほうが安心です。
黄ニキビのような炎症が悪化しているニキビについては、薬でのケアだけでは無く、光線による治療なども組み合わせるとより効果的です。
気になるニキビがある場合は、一度クリニックで相談してみてください。
ニキビがある時の化粧品の選び方
ニキビのトラブルをケアする目的で販売されている化粧品も数多く販売されていますが、ニキビのように肌に炎症がある状態に対しては、スキンケア化粧品の適切な選び方も大切です。
ビタミンC誘導体入りの化粧水などもお勧めです。
また、スキンケアだけではなくメイクアップアイテムの選び方も重要で、なるべく毛穴を詰まらせるような事のない商品を選ぶ事も大切です。
最近では「ノンコメドジェニック」といって、毛穴を詰まらせる角栓になりにくいような処方のメイクアイテムも多く販売されていますので、ニキビが出来やすい場合はこうしたものを選ぶようにすると良いでしょう。
まとめ
潰しても良いと言われている白ニキビや黒ニキビも、適切な処置を行わないと、ニキビも改善しないどころか悪化してしまう場合があります。
また、赤ニキビや黄ニキビは、潰そうとする行為がニキビによる肌のダメージを余計に悪化させてしまう行為であり、跡が残ってしまう可能性が高まるだけではなく、ニキビの範囲を広げるだけになってしまうこともあります。
ニキビはその症状に合わせた薬の使用や、ピーリングや光線などを使った治療を行う事で、キレイに、素早く解消していく事も可能となりますので、綺麗に治したいのであれば、自分でニキビを潰すより、皮膚科での治療がおすすめです。