脱毛クリームで永久脱毛はあり得る?
医療脱毛 (その他(脱毛))
公開日:2018/12/12
そんな脱毛クリームですが、たまに広告などで「脱毛クリームで永久脱毛」なんていうものを見かけたことはないでしょうか。もしクリニックでの医療脱毛に通わなくても、クリームを使い続けるだけで永久脱毛ができたり、毛が薄くなったりするとしたら、それは非常に嬉しい事ですよね。
今回は、そんな脱毛クリームについて、使用する事によって得られる効果やムダ毛を処理する仕組み、そして永久脱毛効果が本当にあり得るのかどうかなど、詳しくご紹介します。
監修 平野温子
医療法人美静会 スキンケアクリニック 院長
2000年「医療法人美静会 スキンケアクリニック」を開業。
脱毛クリームとは? その効果について
脱毛クリームと一般的に呼ばれるクリームは、商品の分類としては大体の場合で「除毛クリーム」と表現されているもの。
商品の多くはまずクリームをムダ毛が気になる部分の肌に万遍なく塗り、5~15分程度の時間放置してから、クリームをふき取りまたは洗い流す事で、クリームを塗った場所のムダ毛を除去するというものになっています。
なぜクリームを塗るだけでムダ毛が除去できるのかというと、脱毛クリームは毛のタンパク質を溶かすアルカリ性の薬剤になっているため、毛がある部分に塗ってしばらく時間を置く事でムダ毛を溶かして柔らかくし、毛穴から引き抜きやすくする働きがあるためです。
そのため、脱毛クリームで除去した毛はボロボロと崩れやすくなっていたり、すぐにちぎれてしまうような柔らかさになります。
脱毛クリームのメリット・デメリット
脱毛クリームはドラッグストアや通販、バラエティストアなどで購入することができ、しかも安価で誰でも手に入れやすいアイテムですが、何となく使うよりもどういう利用価値があるのか、また注意点などが無いかしっかり知っておく事で、より便利に安全に使う事ができます。
それではまず、脱毛クリームとのメリットやデメリットについて考えてみることにしましょう。
脱毛クリームのメリットとは?
なんといっても安価で入手でき、続けやすいという点がいちばんのメリットでしょう。そして、塗ってからの放置時間は5~15分程度と短いため、時間的な余裕があまりない方でもお手軽にケアできるというメリットもあります。
他のムダ毛処理としてはカミソリなどによるシェービングや毛抜きといった方法がありますが、目視で毛の状態を確認しながら丁寧に剃って行かなければならないシェービングと比べ、塗って放置して洗い流すだけの脱毛クリームは非常にお手軽ですし、毛抜きで処理するよりも当然楽に行え、痛みも少なくすみます。
また、カミソリやシェーバーによる処理では、毛を剃っても剃り口から黒いムダ毛が見えて目立つことがあります。毛の先端がとがった状態から平たんな状態になるため、毛が太くなったように見えやすいという点もシェービングのデメリットである一方、脱毛クリームであれば毛穴から少し奥に入った部分にまで成分が到達するため、処理後の毛穴が目立つ心配がありません。
そして、ムダ毛を毛穴の奥から処理できるという事は、次にムダ毛が目立ち始めるまでの期間が長いという事でもあり、シェービングと比べ少ないムダ毛処理の回数でも、ムダ毛の無いキレイな肌を維持する事が出来ます。
さらに、広範囲のムダ毛を処理できるというメリットもありますので、足全体を丸ごと、腕全体を丸ごとといったムダ毛処理も短時間で行うことができます。
脱毛クリームのデメリットとは?
脱毛クリームには、チオグリコール酸カルシウムなどのアルカリ成分が配合されています。この成分は強いアルカリ性で、ムダ毛の主成分であるケラチン(タンパク質)を溶かす作用を持っています。
これによってムダ毛が根元で溶かされてムダ毛がなくなるため、脱毛クリームには必須の成分であるわけですが、この成分はムダ毛だけを溶かすわけではなく、肌も多少なりとかしてしまう作用がある事から、お肌への刺激が強く、肌質によっては炎症や、アレルギー症状が現れることがあります。肌質が弱い方は脱毛クリームを塗った直後から強い痒みなどを感じる場合もあるため、充分に効果を発揮させるほど使用できないという場合もあります。
炎症などの肌トラブルにまで繋がらなくても、角質層を削り取ってしまうため肌本来の保湿機能が低下し、肌が乾燥しやすくなったり、バリア機能が低下してニキビなどが出来やすくなったりするというリスクもデメリットとして挙げられます。
最近では低刺激性成分配合の脱毛クリームも登場してきてはいますが、ムダ毛を溶かして除毛するという製品の性質上、お肌への刺激は多少なりとも覚悟しなくてはならないでしょう。特に、VIOラインのような粘膜が含まれる部分の場合では、脱毛クリームの成分に強い反応を示すことが考えられるため使用することができません。この部分も脱毛クリームのデメリットとして挙げることができるでしょう。
ショック! 脱毛クリームでは永久脱毛できない!?
さて、冒頭で紹介した「脱毛クリームで永久脱毛が出来るのか」という点についてですが、結論からお話ししますと、脱毛クリームで永久脱毛することはできません。
というのは、永久脱毛は毛の育成を行う細胞である、毛根組織の細胞を破壊しなければ成立せず、この行為は医療行為である医療脱毛でしか行えないためです。
脱毛クリームを塗ると、毛穴のやや深い部分にまで成分が入り込みますが、基本的にはムダ毛のタンパク質を分解する作用しかないため、それによって毛根組織が破壊されることはありません。もしも破壊できてしまうような製品があれば、人の細胞を溶かしてしまう威力を持った薬剤という事になりますので、脱毛クリームを塗った箇所全体の肌が溶けてただれてしまいます。もちろんそんな威力の商品であれば、薬機法違反に該当するため日本国内において販売する事すらできません。
さらに言えば、脱毛クリームで永久脱毛が出来るというような広告は、実はそれ自体が違法行為。永久脱毛が出来ると明言していなくても、脱毛クリームを何度か使えばムダ毛が生えて来なくなるというような、まるで永久脱毛の効果があるような表現をする事も、誇大広告となり違法です。
永久脱毛はできなくても、除毛クリームには短時間で除毛できる、美しい仕上がりを期待できるなどのメリットがありますので、上手に活用することをおすすめします。
永久脱毛とはどんな方法?
永久脱毛は医療行為であり、毛根組織を破壊できるのはニードル(針)脱毛または医療レーザー脱毛に限定されます。本当にムダ毛が生えてこない状態を目指すなら医療機関での永久脱毛が必要となりますので、脱毛クリームを始めとした自己処理の繰り返しから解放されたい場合は、クリニックに通う事を検討してみましょう。
ニードル脱毛
特殊な電極針を毛穴から差し込み、毛穴内部に電流を流して毛根組織を熱凝固する方法です。ムダ毛は毛根組織によって育成されるため、この部分が破壊されてしまえば二度と毛が成長する事はなく、永久脱毛の効果を得る事ができます。
この方法は直接電流を流して行う事から毛根組織破壊の確実性が高く、一度施術を受けた毛穴からムダ毛が再生することはありません。毛質や毛の色素などに関係なく脱毛でき、その場でムダ毛を抜くことができるというメリットがあります。
しっかりと永久脱毛したい方には最もおすすめできる方法ですが、一方で施術中に強い痛みを伴う可能性が高く、費用も高額になりやすいというデメリットがあります。また、ひとつの毛穴ごとに地道に処理しなければなりませんので、1部位あたりの脱毛完了までには長期間を必要とするというデメリットがあります。
医療レーザー脱毛
以前はニードル脱毛が主流として行われていましたが、現在多くのクリニックが導入している方法は医療レーザー脱毛です。
この方法は、レーザーを皮膚の上から照射して、熱のパワーで毛根組織を破壊するという方法です。レーザーは黒い色素に強い反応を示す性質を持っているため、ムダ毛の黒い色と反応して強い熱を発生させます。そのため、ムダ毛の色素が濃いほどに高い脱毛効果を期待できるという特徴があります。
これは裏を返せば色素の薄い毛には効果が発揮されにくいという事で、毛に色素の無い白髪や、毛が細い産毛、軟毛などは医療レーザー脱毛による効果が得られにくく、永久脱毛しにくいという事ができます。
また、医療レーザー脱毛はニードル脱毛のように直接毛根にアプローチするのではなく、ムダ毛に一度熱を与え、その熱が毛根組織を破壊するという事で行われる方法です。
そのため、ムダ毛が存在しない毛穴には効果が無く、ムダ毛は「毛周期」という一定の期間で毛穴内部から伸び続けたり、抜けおちたりを繰り返していますので、毛周期の毛が伸びている期間に合わせて施術を繰り返す必要があります。
部位にもよりますが、一つの部位で活動している毛穴(毛が伸びてきている毛穴)の数は20%程度と言われており、そのためムダ毛を全て永久脱毛するためには少なくとも5回程度の施術を繰り返す必要があるとされます。
また、1回施術を行って脱毛が終わったあと、次の20%が生えそろってくるまでには2~3ヵ月程度の期間がかかるため、脱毛は2~3ヵ月毎に通う形となり、5回の施術を終えて全ての毛穴の永久脱毛が終わるまでには、約1年程度の期間が必要となります。
このように、1回で完了することができないのが医療レーザー脱毛です。ですが、施術中にはニードル脱毛ほど強い痛みを感じることはなく、また、ニードル脱毛よりも安価で施術を受けることができ、施術にかかる手間が少ないため1度に広範囲の処理が可能というメリットがあり、多くのクリニックは医療レーザー脱毛を採用しています。
医療レーザー脱毛の注意点としては、肌質によっては脱毛が行えなくなる可能性があるという点で、例えば日焼けによって肌が黒くなっている場合には医療レーザー脱毛を受ける事ができません。
これは、医療レーザーは毛の黒い色であるメラニンに反応する性質を持っているため、日焼け肌のように肌にメラニンが大量に蓄積されていると、ムダ毛では無く肌のメラニンと反応してヤケドなどのトラブルを引き起こす可能性が高くなるためです。
日焼け以外に、シミやほくろがある場所についても施術が行えないものとなります。
また、レーザーによって熱刺激が肌に加わるため、ニキビのように炎症を起こしている箇所についてもレーザー脱毛は受ける事ができません。
炎症は紫外線刺激によっても引き起こされるもので、日焼けで肌の色が黒くならなくても、強い紫外線を浴びて炎症を起こせば医療レーザー脱毛が受けられなくなりますので、医療レーザー脱毛で医療レーザー脱毛を受ける際には、紫外線による日焼けにはくれぐれも注意しましょう。
最新の医療脱毛用のレーザーの中には、機種によっては日焼けしている肌にも使用できるレーザーも開発されています。クリニックによって扱っている機種が違いますので、カウンセリングの際にしっかり相談してみてください。
永久脱毛の最中は脱毛クリームの使用は避ける
永久脱毛の方法は以上のように2つの方法がありますが、そのいずれも脱毛中の脱毛クリーム使用は避けるべきです。
その理由は2つあり、まず一つが脱毛クリームでの自己処理は肌への炎症やバリア機能低下を引き起こしやすいという点で、脱毛クリームで炎症や痒みなどの症状が現れたり、お肌がガサガサするなどの症状が現れたりすると、次回の施術が不可となることがあります。
また、もう一つの理由がより重要で、特に医療レーザー脱毛では毛穴の中にムダ毛が存在していないと効果を発揮できない事から、ムダ毛の処理を脱毛クリームによって行ってしまうと、ムダ毛に対してレーザーで熱を蓄積する事が出来なくなり、脱毛自体がしっかり行えなくなる可能性があります。
医療レーザー脱毛を受ける場合は、多くのクリニックで直前にムダ毛処理して来院するよう指示されますが、この場合の処理はなるべく電気シェーバーなどを利用したシェービングで行うようにしましょう。
ニードル脱毛であればムダ毛が無くても施術自体は可能ですが、ニードル脱毛は毛が生えてくる毛穴を目視でチェックしながら施術していくため、基本的には施術時にムダ毛を多少伸ばしてくる事を前提としています。そのため、やはり脱毛クリームによるムダ毛の処理を行ってしまう事はNGです。
脱毛クリームの効果は除毛効果止まりです
今回ご紹介してきたように、脱毛クリームの効果は除毛効果に留まり、永久脱毛を行うことはできません。しかし、とりあえずの急場しのぎとして優秀な能力を発揮するのが脱毛クリームですので、パッチテストでお肌に異常が現れなかったら、上手に活用してみてはいかがでしょうか。
また、永久脱毛でおすすめできるのは医療レーザー脱毛ですので、ご興味がある方はクリニックでカウンセリングを受けてみましょう。カウンセリングでは、どの程度の効果を期待できるのか、およそ何回くらいの施術が必要になるのかなど、詳細についての説明がありますので、受けてみるだけでも損はないはずですよ。