お腹の毛は脱毛可能? 効果の程度と注意するべき点
医療脱毛 (背中・お腹の脱毛)
公開日:2018/12/07
監修 宇井千穂
やさしい美容皮膚科・皮フ科 秋葉原院/シミレーザー東京 院長
2004年 公立福生病院勤務
2006年 土佐清水病院勤務 同時に非常勤として銀座の某クリニック勤務
2019年 やさしい美容皮膚科・皮フ科秋葉原院 開院
お腹のムダ毛は脱毛で綺麗になくすことができます
お腹のムダ毛の処理として、シェービングなど自分で行う自己処理以外では、ワックス脱毛、フラッシュ脱毛、医療レーザー脱毛といった方法があります。
これらの脱毛方法の中で、最も肌への負担やキレイの持続などを考えた場合におすすめできるのは医療レーザー脱毛です。それでは、それぞれの脱毛方法とお腹脱毛の効果について見ていきましょう。
ワックス脱毛
最近ではブラジリアンワックスの専門店なども増えてきていますが、ムダ毛の処理方法の一つとして一定の人気がある方法が、ワックス脱毛です。
ワックス脱毛は、ワックスを塗ってムダ毛を固め、一気に引き抜く方法で、店舗ではなく自宅でのワックス脱毛用商品なども販売されています。
この方法は、お腹の広い範囲のムダ毛を一気に処理できるという点や、シェービングなどと比べて比較的深い部分からムダ毛を処理できるため、施術後は一定期間ムダ毛が無い肌の状態を保つ事が出来るというメリットがあります。
しかし、ムダ毛を巻き込んで引き抜くようなワックスを使うため、肌表面の角質も剥がしてしまい肌のバリア機能が低下しやすいという問題があり、特にお腹の皮膚は薄いためワックスを剥がす際にダメージを負う可能性が否めません。
また、毛根細胞から生えている毛を強制的に引きちぎって抜く事になるため、毛穴がダメージを受けて炎症を起こ脚、毛穴の入り口がポツポツと赤くなることがありますので、特に水着を切る直前などのワックス処理は避けるべきでしょう。
また、ワックス脱毛はムダ毛が生える仕組みを断ち切る方法ではない為、永久脱毛の効果はありません。
どんなワックスを使っても、技術力がある専門店に通っても、必ず施術から一定期間が経過すればムダ毛が再発しますので、ムダ毛の無いツルツルの肌を目指すのであれば不向きだと言えます。
コストもそれなりにかかり、肌トラブルの可能性も高いため、あまり推奨出来ないムダ毛の処理方法です。
フラッシュ脱毛
毛の黒い色に反応して熱を発生させる光を照射して、毛根組織の働きを弱めることによって脱毛を起こさせる方法です。
エステサロンを中心に取り扱われている脱毛方法で、光脱毛とも呼ばれています。
光の照射によって毛が温まり、その熱が毛の周囲にある、毛を育てる細胞に伝わる事で、毛を育てる細胞にダメージを与えていきます。
ただし、フラッシュ脱毛では毛を育てる細胞を完全に破壊する事は出来ないため、永久脱毛の効果はありません。細胞の働きを少し弱め、毛の成長スピードを遅くしたり、が薄く目立ちにくいような状態にしていくという効果は得られる可能性があります。
次に紹介する医療レーザー脱毛と原理は似ていますが、フラッシュ脱毛の方が光の刺激が弱いため、皮膚が薄いお腹の脱毛に適している面はあるのですが、お腹の毛はワキやスネのように太い毛が少なく、産毛のように色素が薄いムダ毛が多いため、脱毛の光の反応が少々弱いという弱点があります。
フラッシュ脱毛は太い毛を細くしていく事はある程度可能ですが、細い毛の脱毛は困難であるため、この方法でお腹のムダ毛を処理するのであれば、相応に長いスパンで考えておく必要があるでしょう。
医療レーザー脱毛
フラッシュ脱毛と同じように、毛の黒い色であるメラニン色素に反応して熱を発生さあせるレーザーを毛根部分に照射して、毛に蓄積された熱によって毛根組織を破壊する方法です。
この脱毛はしっかりと毛を育てる細胞を破壊する事ができるため、永久脱毛の効果を発揮し、施術完了後にはムダ毛の再生率が非常に低くなるというメリットがあります。
エステサロンでのフラッシュ脱毛との違いは光の性質と強さで、フラッシュ脱毛の光は肌表面やムダ毛など色々な部分に反応しやすい光が混ざっているのに対し、レーザー脱毛は毛の特定の深さに反応を集中させやすいという違いがあります。この違いにより、光の強さを上げた時にレーザーであれば狙った部分を集中して破壊できるため、肌によけいなダメージを与えず、高い脱毛効果を発揮できるようになります。
レーザーも基本的に毛のメラニンに反応するため、色素が薄い軟毛、産毛に対するしては反応が弱くなりますが、フラッシュ脱毛とは違い強い出力を扱える医療レーザー脱毛であれば、軟毛でもしっかりと脱毛していく事が可能です。
お腹のムダ毛処理にはある程度のスパンが必要となりますが、フラッシュ脱毛と比較すれば大幅に少ない回数で脱毛が完了するでしょう。
お腹脱毛で起こる可能性があるトラブルについて
ここでは、主にお腹の医療レーザー脱毛で起こる可能性があるトラブルについてご紹介します。お腹のムダ毛のほとんどは色素が薄い産毛のような状態で、このようなムダ毛に対して脱毛のレーザーを照射すると、以下のトラブルが起こることがあります。
硬毛化、増毛化
脱毛中や脱毛後に、それまでには無かったような硬いムダ毛が生えてくる状態を、硬毛化といいます。これが起こる原因についてははっきりと解明されているわけではありませんが、レーザーを照射することによって毛根組織が活性化することが原因ではないか?という説があります。
医療脱毛ではレーザーの光によって作られた熱が、毛を育てる細胞に伝わって細胞を破壊する事で達成されますが、レーザーの当たり方などによっては細胞が破壊されきらず、かえって熱刺激によって活性化し、毛の成長を促進してしまう可能性があるのです。
また、同じような理由でムダ毛の成長が促進され、ムダ毛自体が増えたように見える状態は増毛化と呼ばれます。増毛化の殆どは毛の総量が増えるわけではなく、産毛が硬毛化によって濃くなる事で、濃く太い毛が増えたように見えるために増毛化と言われる形になります。
ただし、もしも硬毛化や増毛化の状態が起こったとしても、毛を再生する組織を破壊すれば永久脱毛は可能ですので、再照射することでトラブルは解消することができます。
むしろ、一時的に太い毛になっている方が、レーザーによる脱毛効果が得られやすくなりますので、次の照射時にその部分が脱毛しやすくなるとも言えます。
もし脱毛後に毛が増えたと感じるようであれば、脱毛を受けた医療機関に相談してみましょう。
毛嚢炎
脱毛のレーザーによって肌の細胞が傷つき、バリア機能が低下しているところに雑菌がくっついて繁殖する事で、ニキビのようなぽつぽつとした膨らみが出来る症状が毛嚢炎です。
毛嚢炎は太い毛が密集し、脱毛によって肌がダメージを受けやすい箇所で起こりやすいため、Vラインの脱毛時などに起こりやすいものですが、肌のコンデイションなどによってはお腹の脱毛でも発生します。
毛嚢炎になると、菌を殺菌して炎症を抑えるような治療が必要となり、放置しておくと悪化する可能性もあるので早めの治療が必要です。
トラブルが起こるのを防ぐためには脱毛後のケアも大切で、雑菌がつく可能性のある銭湯やサウナといった場所の利用を避ける事や、衣服を清潔に保つ事。また肌のバリア機能を高めるために、保湿ケアをしっかりと行う事などが重要です。
お腹脱毛を受ける際にはここに注意!
お腹脱毛をはじめ、脱毛を受ける際には以下の点に注意しましょう。
生理中の脱毛
お腹脱毛に限らず、生理中の脱毛はあまりおすすめできません。それは、VIOラインであれば衛生面やエチケット面で問題が生じますし、生理によるホルモンバランスの崩れでお肌がデリケートな状態になり、施術中や施術後の肌トラブルが起こりやすいからです。また、お腹であれば照射の刺激が腹痛などの原因になる可能性も考えられます。
せっかく時間とお金をかけて脱毛を受けるわけですから、それによって肌トラブルが生じてしまったら悲しいですよね?そんな悲しい思いをしないためにも、生理中の脱毛は避けましょう。
妊娠中、出産後
妊娠中や出産直後には、多くのクリニックで脱毛を受けることができません。
妊娠中には女性ホルモンのバランスが崩れて、お腹を含む全身が毛深くなることがあるため、それだけに脱毛を受けたいという気持ちが強まるかもしれませんが、このようにホルモンバランスが崩れた状態で脱毛を受けたとしても、思うような効果を得ることは難しいでしょう。というのは、ホルモンバランスが崩れている間は脱毛を適切に行うために重要となる「毛周期」も乱れている可能性が考えられるからです。
脱毛自体がお腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼすことはありませんが、妊娠中には体調の急変も心配ですし、わざわざそのようなときに施術を受ける必要はありません。また、出産後も半年くらいはホルモンバランスが崩れていますので、脱毛に適した時期ではありません。出産後の脱毛再開らについては、各医療機関によって基準が異なりますので、これから妊娠のご予定がある方は、この部分についても頭に入れた上でクリニックを選びましょう。
契約後に妊娠などが発覚した場合、無条件でコースの契約期間を延長できるようなところを選ぶと安心です。
お腹の脱毛には時間がかかります
お腹のムダ毛の多くは産毛のように色素が薄くて光やレーザーの反応がやや弱いため、脱毛完了までには時間がかかります。早く脱毛を完了されたいのなら医療レーザー脱毛がおすすめできますが、それでもお腹の産毛の脱毛は他の部位よりも時間がかかります。
また、産毛に光やレーザーを照射すると硬毛化や増毛化が起こることもありますので、お腹の脱毛を開始したら、これらのリスクも頭に入れてじっくりと取り組む姿勢で臨みましょう。