「婦人科形成」や「女性器形成」と言われる美容医療分野は、比較的新しい領域です。
しかし、整形大国であるお隣の韓国はもちろん、欧米などの諸外国では、非常にポピュラーな美容医療領域となりつつあります。
実は、我が国でもここ5年ほどで、「婦人科形成」や「女性器形成」の治療件数がどんどん増えてきています。
中でも、「小陰唇縮小手術」は、最も施術件数の多い手術の一つです。
これは裏を返せば、それだけ多くの人が小陰唇に何かしらのお悩みを抱えているということになります。
このように治療件数が増えてきている背景としては、欧米文化流入の影響でV I O脱毛が大変流行していることが少なからず影響を与えているのかもしれません。
デリケートゾーンを脱毛することでそれまで見えにくかった自分の女性器外観に関して、お悩みを初めて持つ方も多いようです。
この小陰唇というのは、外性器のヒダ状になっている部分で、尿道口や膣に菌が侵入しないようにする役割を持ちますが、見た目の上でも最も目立つ部分であることから気にされる方が特に多い部位です。
他人と気軽に比べられる場所でもないことから、いわゆる「普通」の形状というのがわからない、と人知れずお悩みを持ち続ける方が多くいます。
また、小陰唇が肥大していると、
・衛生面
・きついズボンを履いたときの痛み
・スポーツの時の痛み
・尿が飛び散りやすい
など外見以外にも問題が生じる可能性もあります。
こうした問題を解決する方法として、余分な小陰唇を切除、縫合するというシンプルな手術が「小陰唇縮小手術」です。
「小陰唇縮小手術」で調べれば、この他にも色々な情報が出てくるため、そうした一般的な情報は他の方に任せるとして、ここでは、他ではあまり出てこないであろう少しマニアックなお話をしたいと思います。
今回のテーマは、
「小陰唇縮小手術の出来栄えを決める要素とは何か?」
です。
小陰唇縮小手術の出来栄えを決める要素。
これは、「術前デザイン」と「糸をかける深さと間隔」の2点にほぼ尽きると言って良いでしょう。
順に説明していきます。
①術前デザインについて
小陰唇縮小手術の術後に最も問題になるのは、過剰切除ですが、簡単に言うと「小陰唇を切り過ぎてしまう」ということです。
小陰唇は、前述した通り、膣内への雑菌の侵入を防ぐ役割も担っているため、過剰切除は乾燥の原因や膣炎が頻発する原因になります。
また、切り足りないところを切り足すのは簡単ですが、切り過ぎてしまったものを戻すのは非常に難しいため、施術する上では絶対に避けたいところです。
この過剰切除が起きてしまうパターンとして、患者さんの希望のままに小陰唇ほぼ全てを切るようなデザインにしてしまうことが挙げられます。
小陰唇縮小手術を希望される患者さんは、コンプレックス故に小陰唇の黒ずみ部分を全て切除してほしいという要望を持っていることが多く、全て切除してほしいという方もいらっしゃいます。
ですが、小陰唇は切除した直後から最終的には皮膚が縮んで馴染む、ということにも留意しておかなければなりません。
医師側にこうした過剰切除のリスク管理が不足していることが原因で、取り返しのつかない結果が生まれてしまうことも残念ながら少なくはないのです。
よって経験のある医師の多くは、患者さんが希望する切除ラインよりも、小陰唇を大きく残すようなデザインを勧めるようにしています。
この際、何よりも重要になってくるのが、術前に行う医師患者間でのディスカッションです。
すり合わせをきちんと行なって、納得していただいてから手術に進むということが、患者さんにとって何よりも大事になってきますので、事前のカウンセリングではしっかり話し合いましょう。
②糸をかける深さと間隔について
これは手術用語でバイトとピッチと言います。
我々外科医は、最初はスポンジとかタオルにひたすら針糸をかけてこのバイトとピッチを自在に操れるようになるまで練習します。
そして、各部位に最適なバイトとピッチを先輩医師から直接学んで、自ら経験することで体得していくのです。
こうしたことは教科書では学べない部分ですので、経験が重要になってきます。
バイトとピッチがいい加減だと、仕上がりがでこぼこしてしまうという悲劇が起きかねません。
より良くするための施術ですので、我々外科医は常に技術を向上することで、患者さんの術後の不安を減らすよう心がけています。
いかがでしたでしょうか?
少しマニアックな話になったため、患者さんの立場からはすぐに直接活かせるといった話ではなかったかも知れません。
ただ、単純に切って縫うという手術においても、我々外科医はこうした深い思慮を持って行なっているのだと知っていただければ幸いです。
解説
veary clinic ヴェアリークリニック